「自筆証書遺言のようなものを見つけたけれど、どうすればいいの?」
2023年05月23日
亡くなった親の自宅を整理していたら、「遺言」のようなものがみつかった、というご相談を受けることがあります。 例えば、自宅の金庫の中から遺言書と書いてある封筒が見つかった、といったことが考えられます。 この場合、どのように対応すればよいのでしょうか? まず、相続人が「遺言書」を発見した場合には、家庭裁判所に対して検認の請求をしなければならないことが定められています(民法1004条 参照)。 また、封印のある遺言は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封することができないと定められており、家庭裁判所外で開封をした場合には、5万円以下の過料に処する旨も定められています(
「遺産分割の時に約束したことを守ってくれない場合、遺産分割のやり直しはできるの??」
2023年04月28日
遺言が存在しない場合、相続人同士で遺産分割の話し合いを行うことになります。 その際、遺産分割の条件などが付けられることがあります。 例えば長男が残された親の面倒を見る代わりに、遺産を全て相続するというような内容で遺産分割協議がなされたとします。 ところが、そのあと長男が親の面倒を全く見なくなったという場合に、この遺産分割のやり直しを求めることができるのでしょうか? まず遺産分割協議は「相続人全員の合意」があればやり直しをすることは可能です。この場合、長男を含めた全員の合意があればやり直しをすることができます。 では長男がやり直しを拒んだ場合はどうで
「遺言書は公正証書で作らないとダメなの??」
2023年04月25日
遺言書の作成は相続トラブルを防止するためにとても有用です。 一般的な遺言は公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類が挙げられますが、ご自身が作成する際に、「どちらがよいか」と悩む方も多いのではないでしょうか。 今回は公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらがおすすめなのかをお話しします。 公正証書遺言は、公証役場で作成する遺言です。 原則として遺言者が直接公証役場に行き、公証人の前で遺言書を作成することになります(実際には作成日の前に文案をやりとりし、内容の確認を行います)。 また費用は掛かるものの公証人に出張してもらい、作成をすることも可能です。 公証人が遺言者が希望する
「子どもの一人に全部遺産を相続させたいけど、他の相続人から遺留分を請求されない方法はないの??」
2023年04月19日
遺言作成のご相談・ご依頼を受ける中で、このようなご質問を受けることもあります。 遺留分は、配偶者・子・直系尊属(親)に保障された遺産に対する一定割合の取り分、と考えていただければわかりやすいかと思います。 これは、その人の法定相続分の2分の1(直系尊属のみが法定相続人の場合には3分の1)とされています。 例えば法定相続人が子ども3人、そのうちの一人に遺言で全て遺産を相続させた場合を見てみます。 この場合、遺産をもらえなかった他の子どもから、相続を受けた子どもに対して、自分の遺留分相当額を金銭で払ってほしい、という請求をすることが可能です(これを遺留分侵害額請求といいます。民
「相続トラブルが起きるのはどんな家庭?」
2023年04月17日
相続トラブルが起きてしまうと、それが解決したとしても、その後も尾を引くことがあります。 そのため、相続トラブルはできる限り避けたい問題ではあります。 ただ相続トラブルでご相談に来られる方で、「まさか自分の家がこんなことになるとは思わなかった」とおっしゃられる方もたくさんいらっしゃいます。 そこで、今回は相続トラブルが起きるのはどんな家庭なのか、ということをお話しします。 まず家族内の関係がそもそも悪かったというご家庭ではトラブルが起きてしまうことがあります。 例えば父親と長男が仲が悪かった、母親と次女が絶縁関係というような場合、遺産分割協議の時点で感情的な軋轢が
「今からできる『生前対策』ってどんなことがあるの?②」
2023年04月14日
今回も今からできる生前対策についてお話をします。 今回は相続対策に目を向けてみたいと思います。 相続対策で考えられるのが「相続税対策」と「相続トラブル対策」が挙げられます。 相続税対策については話題に上ることも多く、漠然と相続税は高いものだという意識もあるかもしれません。 ただこのような場合に大切なのは、今の時点で相続が発生した場合には、どの程度相続税がかかるのかということを正確に把握しておくことだと考えます。 相続税対策を考える前に、まずはご自身が亡くなった場合に相続税がどれくらいかかるのかということを、税理士の先生に相談し、確認をしておくことをお勧めします。 次に相続トラブル対策ですが
「今からできる『生前対策』ってどんなことがあるの??①」
2023年04月07日
最近、生前対策について話題に上ることが多いように感じます。 生前対策というと、相続対策というように考えられる方も多くいらっしゃいますが、例えば突然の病気や事故によって、ご本人の意思確認ができなくなってしまった場合に備えておく、ということも含まれると考えます。 そんなことになってしまった場合に、ご家族や周りの方が慌てずに対応できるようにするためにも対策は重要です。 今回は、今からできる生前対策について、お話ししていきます。 まず、ご本人の意思確認ができなくなってしまった場合に困るのは、①預金の管理や契約、そして②医療行為についてです。 ①
「結局、遺言は作っておいた方がよいの??」
2023年04月03日
遺言作成の必要性については、以前からお伝えをしてきております。 ただ、最近、案件対応をさせていただく中で、遺言の有無によって残された人の負担が大きく変わってきてしまうことを実感しています。 そのため、今回も改めて遺言を残すメリットについてお話しします。 遺言を残す法律上のメリットはいろいろありますが、やはり何と言っても最大のメリットは、「自分の意思が尊重される」ということです。 遺言がある場合には、亡くなった方(被相続人)の意思に基づいて、遺産を分け、お墓を承継させ、それ以外の形見と言えるものの取り扱いなども決めることができます。 たしかに不公平な内容であれば、相続
「遺言は自分でも作れる??」
2023年04月02日
遺言を作りたいと思っているけど、あまりお金はかけたくないという方も多いのではないでしょうか。 まず、遺言はご自身だけでも作ることができます。 自筆証書遺言と言って、全文を自分で書き、日付、氏名を書いたうえで押印をすれば遺言は完成します。 (なお、相続財産の目録を添付する場合には、その目録自体は自書でなくともよいとされています。ただ、その目録部分には全頁、署名と押印が必要になります)。 ただ自筆証書遺言は法律上の要件を満たさない場合には、無効となってしまう可能性もあります。その有効・無効をご自身だけで判断するのも難しいと言えます。 また形式的な要件を満たしたとしても、遺言の中の言葉に解釈が分
遺産分割に関する新しいルールが導入されました(2023年4月1日より施行)
2023年04月01日
2023年4月1日より、遺産分割に関して次のようなルールが導入されました。 相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)による。(新民法904の3) これはある方が亡くなり、相続が開始した後10年が経過したのちにする遺産分割においては、原則として特別受益や寄与分を考慮した具体的相続分が主張できなくなり、法定相続分もしくは遺言によって定められた相続分によって画一的に遺産分割がされるということを示しています(ただし、法定相続人全員が合意した場合には除きます) これは遺産分割を早期に行うことが目的の
「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの?? 3」
2023年03月30日
お子さんがいらっしゃらない高齢者ご夫婦がしておくべき対策について、前回は「認知症や病気などにより財産が管理できなくなってしまった時」のことについてお話ししました。 今回は「相続が発生した時」のことについてお話しします。 <遺言書の作成> Aさんという方が亡くなりました。 Aさんの妻BさんはAさんの預金を相続しようと思って、Aさんの相続人を確認しました。Aさんにはきょうだいが3人いて、兄のCさんは認知症を患っていて、施設で生活をされていることが分かりました。また妹のDさんはすでに亡くなっていて、Dさんにはお子さんが2名いることが分かりました。 この場合、Cさんが認知症の影響で判断能
「自分が生きている間に、『相続放棄』をしてほしい人がいる」
2023年03月13日
ご自身が生きている間に、推定相続人に「自分の相続について相続放棄をしてほしい」と希望される方がいます。 次のような場合です。 Aさんには長男、長女がいます。Aさんは長女に全てを相続させたいと思っているので、長男には予めAさんの相続について、相続放棄をしてほしいと希望しています。 まず、被相続人が生きている間に、予め相続放棄をすること自体ができません。 またご長男に、Aさんが亡くなった場合には相続放棄をする旨の合意書を書いてもらっても、法的な効力は生じません。 そのため、Aさんとしてご長女に全ての遺産を相続させたい、という希望をお持ちの場合には、遺言の作成をすることが考えられ