Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
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「遺言は自分でも作れる??」

2023年04月02日

遺言を作りたいと思っているけど、あまりお金はかけたくないという方も多いのではないでしょうか。 まず、遺言はご自身だけでも作ることができます。 自筆証書遺言と言って、全文を自分で書き、日付、氏名を書いたうえで押印をすれば遺言は完成します。 (なお、相続財産の目録を添付する場合には、その目録自体は自書でなくともよいとされています。ただ、その目録部分には全頁、署名と押印が必要になります)。 ただ自筆証書遺言は法律上の要件を満たさない場合には、無効となってしまう可能性もあります。その有効・無効をご自身だけで判断するのも難しいと言えます。 また形式的な要件を満たしたとしても、遺言の中の言葉に解釈が分

遺産分割に関する新しいルールが導入されました(2023年4月1日より施行)

2023年04月01日

2023年4月1日より、遺産分割に関して次のようなルールが導入されました。   相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)による。(新民法904の3)   これはある方が亡くなり、相続が開始した後10年が経過したのちにする遺産分割においては、原則として特別受益や寄与分を考慮した具体的相続分が主張できなくなり、法定相続分もしくは遺言によって定められた相続分によって画一的に遺産分割がされるということを示しています(ただし、法定相続人全員が合意した場合には除きます) これは遺産分割を早期に行うことが目的の

「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの?? 3」

2023年03月30日

お子さんがいらっしゃらない高齢者ご夫婦がしておくべき対策について、前回は「認知症や病気などにより財産が管理できなくなってしまった時」のことについてお話ししました。 今回は「相続が発生した時」のことについてお話しします。   <遺言書の作成> Aさんという方が亡くなりました。 Aさんの妻BさんはAさんの預金を相続しようと思って、Aさんの相続人を確認しました。Aさんにはきょうだいが3人いて、兄のCさんは認知症を患っていて、施設で生活をされていることが分かりました。また妹のDさんはすでに亡くなっていて、Dさんにはお子さんが2名いることが分かりました。 この場合、Cさんが認知症の影響で判断能

「自分が生きている間に、『相続放棄』をしてほしい人がいる」

2023年03月13日

ご自身が生きている間に、推定相続人に「自分の相続について相続放棄をしてほしい」と希望される方がいます。 次のような場合です。 Aさんには長男、長女がいます。Aさんは長女に全てを相続させたいと思っているので、長男には予めAさんの相続について、相続放棄をしてほしいと希望しています。 まず、被相続人が生きている間に、予め相続放棄をすること自体ができません。 またご長男に、Aさんが亡くなった場合には相続放棄をする旨の合意書を書いてもらっても、法的な効力は生じません。   そのため、Aさんとしてご長女に全ての遺産を相続させたい、という希望をお持ちの場合には、遺言の作成をすることが考えられ

「連絡がつかない・できない相続人がいる場合はどうすればいいの?」

2023年03月09日

相続が開始されたあと、相続人を調べている中で、「連絡がつかない・できない相続人の方がいた」という場合があります。 例えばAさんが亡くなり、その相続人がお子さんであるBさん、Cさん、Dさんだったとします。 Bさんが相続手続を進めようとしたところ、Cさんの住所が分からず、電話番号も分からないという事態が生じました。 この場合、まずはAさんが生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せ、相続人を確定します。そして、その相続人の方の戸籍の附票を取得することで、住所を調べることができます。   この手続きは、Aさんの「相続人」の立場で、相続手続を行うためであれば行うことは可能です。ただ、戸籍

「デジタル遺産ってなに?? 何が問題になるの??」

2023年03月08日

デジタル遺産とは、なんでしょうか??  法律上の定義があるわけではないのですが、一般的にじゃインターネット上で管理されている財産やデジタル形式で保管されている遺産などとされることが多いです。 最近は、銀行口座でも紙媒体の通帳を発行しないことも増えてきました。株式も、取引報告書などを電子交付する場合も増えています。   今までは、紙の通帳や証券会社から送られてくる書類などを見て、遺産の存在に気が付く、ということが多くありました。 ところが、手続きが全てインターネット上で完結しているような場合には、遺族はそもそも「デジタル遺産」の存在に気が付かないこともあります。 例えば、亡くなった

「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの?? 2」

2023年03月07日

お子さんがいらっしゃらない高齢者ご夫婦がしておくべき対策についてお話をしましたが、今回はその具体的な対策についてお話しします 対策しなくてはいけない事態は、「認知症や病気などにより財産が管理できなくなってしまった時」と「相続が発生した時」の二つです。   今回はそのうち、前者の対策として任意後見契約についてお話をします。 <任意後見契約の締結> 例えば、AさんBさんというご夫婦がいたとします。BさんはAさんの年金と預金で生活をしていましたが、Aさんが認知症になり、判断能力がなくなってしまいました。 この場合、Aさんの施設入所のために預金を下ろそうと思っても、金融機関がAさんが認

「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの??」

2023年03月06日

ご夫婦だけの高齢者世帯の場合、特に気を付けなければいけないことがあります。 それは、今後の財産管理と相続です。   例えば次の事案を見てみましょう。 AさんBさんご夫妻。年齢はお互いに75歳。 ある日、Aさんの認知症が進んでしまい、施設に入る必要が出てきました。 BさんはAさんの施設入居のためにまとまった預金を下ろそうとしましたが、Aさんの意思が確認できないということで、金融機関から拒否されてしまいました。   またAさんには甥・姪がいるところ、Bさんはその甥・姪の連絡先すらも知りませんでした。 もし、Aさんが亡くなった場合、Bさんは遺産分割のためにその甥・姪と遺産分割

「不公平な内容の遺言を作ってもいいの?」

2023年03月04日

遺言を作成されるときに、特定の相続人に全て相続をさせたいという希望をお持ちの方もいらっしゃいます。 例えば、Aさんという方がいたとします。 Aさんの配偶者はすでに亡くなっており、お子さんは2人います。 Aさんは長女Bさんに遺産を全て相続させたい、長男Cには何も相続させないことを希望していました。 そこで、AさんはBさんに全部相続させるという公正証書遺言を作成しました。 このような「不公平な」遺言であったとしても、それ自体は有効です。 そのため基本的にはその遺言に基づき、財産が相続されることとなります。 ただCさんは自分の「遺留分」が侵害された、としてBさんに対して、遺留分侵害額請求を行うこ

「自分や親の相続に備えて家族で会議はしておいた方がいい??」

2023年03月03日

ここ数年、相続問題についての関心が高まっています。 それに伴い、ご自身の相続や親の相続について考えた時に、「家族」で話し合いをしておいた方が良いかどうか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。 結論から言えば、家族で話し合いをしておくに越したことはないのですが、その前にご本人が意思をきちんと決めておくことも大切です。 まずはご本人が自分の財産をどうしたいのか、どう処分したいのか、どう相続されたいのかというのを決めてから、それをご家族と共有しておくことで、ご家族にもその意思が伝わり、スムーズな相続に繋がるかと思います。 ただご本人の希望を叶えるためには家族で話し合うだけではなく、遺言を作成

「遺言を書いても、将来考えが変わったらどうするの?」

2023年02月17日

遺言を作成される時には、将来考えが変わったらどうするのかということを気にされる方もいます。   遺言は一回書いておけば、亡くなるまで有効です(亡くなることで効果が生じます)。そのため何十年前に書いた遺言であろうと問題はありません。 ただ、遺言はご本人の遺言作成能力がある限り、何度でも書き直すことができます。 例えば長男に全部相続させるという遺言を書いた後で、長男と仲たがいしてしまったことから、その遺言を撤回して、長女に全部相続させる、という遺言を書くことも可能です。 また自筆証書遺言を作成していたとしても、それを公正証書遺言で撤回をするといったことも可能です。 このように、遺

「相続が始まったらやることは??」

2023年02月16日

ある方が亡くなると、相続が開始します。   この場合に、相続人の方がやらなくてはいけないことは多く存在しますが、今回は相続手続に限定して、やるべきことをお話しします。 (相続放棄などはしないことを前提にした手続です) まず、「相続人の確定」が必要になります。 これは亡くなった方の法定相続人が誰なのか、を確定させる作業です。 亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せて法定相続人を確定させます。 また「遺産の調査」も行う必要があります。金融機関などに連絡をして、相続開始時点での残高・評価証明書を発行を申請します。 亡くなった方が不動産を持っていた場合、全部事項証明書を取