「遺産分割の話し合いの前に、預金を下ろしてもらうのはあり?」
2023年06月21日
ある方が亡くなると、遺言がない場合には遺産分割の話し合いを行う必要があります。 その話し合いが終わる前に、全員で預金だけ先に下ろしてしまうというケースも考えられますが、何か問題はないのでしょうか? 例えば次のようなケースです。 Aさんが遺言を残さずに亡くなりました。 Aさんの法定相続にはお子さんのB、C、Dさんのみで、AさんとBさんは同居しており、C、Dさんは遠隔地に住んでいました。 現時点では遺産分割協議は全く進んでいません。 このようなケースでAさんの預貯金を下ろすために、Bさんが銀行にAさんが亡くなったことを連絡し、相続手続の書類を準備しました。 そして自分が「代表相続
「『二次相続』ってなに? 何か特別な対策が必要なの??」
2023年06月12日
相続問題について検討する中で、「二次相続」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?? 二次相続は法律用語ではなく、正確な定義というのはありません。 一般的な使われ方としては、両親の一人が亡くなった時のことを一次相続、残された配偶者が亡くなった時のことを二次相続とされています。 例えば、AさんBさんという夫婦がいたとします。 A・Bさんの間には子ども・CさんDさんがいました。 Aさんが亡くなった時にはBさんが全て相続をすることにしました(一次相続)。その後、Bさんが亡くなったので、Cさん、Dさんが遺産分割協議を行うことになりました(二次相続)。
「遺産分割でトラブルになるのは『お金持ち』だけなんじゃないの?」
2023年06月07日
ご相談を受けていると、「うちは財産はないから」として、トラブルが起きる可能性は低いと話される方が一定数いらっしゃいます。 遺産を巡ってトラブルが起きるのは、お金持ちだけと誤解をされている方も多くいらっしゃいますが、実際には誰にでも起こる可能性があります。 最高裁判所が公表している司法統計 家事令和3年度における遺産分割事件のうち認容・調停成立件数を見てみると、成立した件数のうち約77パーセントが遺産総額5000万円以下となっています。 当然、遺産分割調停の申し立てをしなければ成立はしないので、遺産総額5000万円以下の場合でもトラブルになり、遺産
「認知症の人でも遺言を作成することはできるの??」
2023年06月02日
認知症と診断された方は、遺言の作成は可能なのでしょうか? まず遺言の作成には「遺言能力」が必要とされています。 簡単に言ってしまえば、ご本人が作成する遺言の内容自体を理解していること、遺言の結果として起こる事態を理解していることと考えられています。 この遺言能力ですが、遺言は15歳から作成することができるので、一般的な法律行為の時に要求される能力とは異なる、という見解もあります。 ただ法律上は明確な定義はなされていません。 次に、認知症を患ったからといって、上記能力が全て失われるというわけではありません。 そのため認知症になったからといって、遺言を全く作成できない、ということ
「遺産分割協議は口約束でもよいの??」
遺言がない、遺言で遺産の具体的な分け方が書かれていない場合、相続人同士で遺産の分割について話し合いをする必要があります。 この話し合いの結果に基づいて遺産を分けることになりますが、これを書面に残しておく必要はあるのでしょうか? 次のような場合を考えます。 Aさんが亡くなり、その相続人は子どものBさん、Cさんです。 Aさんの遺産は自宅不動産と預貯金でした。 BさんとCさんはAさんの遺産をどう分けるかを話し合いました。 結果、Bさんが不動産と預貯金の一部を、Cさんが残りの全ての預貯金を受け取ることとなりました。 そしてBさんが手続を行うことになり、不動産の相続登記をし、預貯金を全て
「遺産分割調停はどのように進むの?③」
2023年05月31日
最後に今までお話ししてきたこと以外で、遺産分割調停でトラブルになりやすいことについて、いくつかお話しします。 ・使途不明金 例えば、被相続人Aさんの預貯金を子であるBさんが生前から管理していたとします。 Aさんが亡くなった後で、Aさんの生前に、預貯金から多額の引き出しがなされていることが分かりました。 この引き出しについて、BさんはAさんのために使ったと説明をしましたが、他の相続人はそれでは納得ができない、という場合、この「生前に引き出された預貯金」をどう処理するかという問題が起こります。 この点について、相続人全員で合意ができない場合には、別途民事裁判で決着をつける必要があります。 この
「遺産分割調停の手続はどのように進むの?②」
2023年05月30日
前回の続きです。 相続人の範囲・遺産の範囲・遺産の評価について確定した場合、遺産をどのように分けるかを話し合います。 遺言が存在しない場合には、法定相続分に基づいて遺産を分割をすることになります。 この時、「特別受益」や「寄与分」といった法定相続分を修正する要素が主張されることがあります。 例えば、相続人の一人が被相続人の生前に多額の贈与を受けている、あるいは相続人の一人が被相続人を経済的に支援していた、といったことで、法定相続分どおりに分割するのは不公平だという主張がなされることがあります。 こちらについては、主張をする人がそれを証明する資料などを出して立証する必要がありま
「遺産分割調停の手続はどのように進むの?①」
2023年05月29日
遺産分割の協議がまとまらない場合、家庭裁判所で調停で解決を求めることになります。 この遺産分割調停はどのように進むのでしょうか? 今回はこの遺産分割調停の手続がどのように進むのかについてお話しします(今回は遺言が存在しないことを前提しています)。 遺産分割調停では、まず「相続人の範囲」の確認が行われます。 これは法定相続人が誰か、という点について相続人全員が合意ができるかの確認が行われます。 法定相続人は被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍から確認ができますが、例えば被相続人が認知症だったのに養子縁組をしているなど、生前の身分関係が争われるということもあります。
「自筆証書遺言のようなものを見つけたけれど、どうすればいいの?」
2023年05月23日
亡くなった親の自宅を整理していたら、「遺言」のようなものがみつかった、というご相談を受けることがあります。 例えば、自宅の金庫の中から遺言書と書いてある封筒が見つかった、といったことが考えられます。 この場合、どのように対応すればよいのでしょうか? まず、相続人が「遺言書」を発見した場合には、家庭裁判所に対して検認の請求をしなければならないことが定められています(民法1004条 参照)。 また、封印のある遺言は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ開封することができないと定められており、家庭裁判所外で開封をした場合には、5万円以下の過料に処する旨も定められています(
「遺産分割の時に約束したことを守ってくれない場合、遺産分割のやり直しはできるの??」
2023年04月28日
遺言が存在しない場合、相続人同士で遺産分割の話し合いを行うことになります。 その際、遺産分割の条件などが付けられることがあります。 例えば長男が残された親の面倒を見る代わりに、遺産を全て相続するというような内容で遺産分割協議がなされたとします。 ところが、そのあと長男が親の面倒を全く見なくなったという場合に、この遺産分割のやり直しを求めることができるのでしょうか? まず遺産分割協議は「相続人全員の合意」があればやり直しをすることは可能です。この場合、長男を含めた全員の合意があればやり直しをすることができます。 では長男がやり直しを拒んだ場合はどうで
「遺言書は公正証書で作らないとダメなの??」
2023年04月25日
遺言書の作成は相続トラブルを防止するためにとても有用です。 一般的な遺言は公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類が挙げられますが、ご自身が作成する際に、「どちらがよいか」と悩む方も多いのではないでしょうか。 今回は公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらがおすすめなのかをお話しします。 公正証書遺言は、公証役場で作成する遺言です。 原則として遺言者が直接公証役場に行き、公証人の前で遺言書を作成することになります(実際には作成日の前に文案をやりとりし、内容の確認を行います)。 また費用は掛かるものの公証人に出張してもらい、作成をすることも可能です。 公証人が遺言者が希望する
「子どもの一人に全部遺産を相続させたいけど、他の相続人から遺留分を請求されない方法はないの??」
2023年04月19日
遺言作成のご相談・ご依頼を受ける中で、このようなご質問を受けることもあります。 遺留分は、配偶者・子・直系尊属(親)に保障された遺産に対する一定割合の取り分、と考えていただければわかりやすいかと思います。 これは、その人の法定相続分の2分の1(直系尊属のみが法定相続人の場合には3分の1)とされています。 例えば法定相続人が子ども3人、そのうちの一人に遺言で全て遺産を相続させた場合を見てみます。 この場合、遺産をもらえなかった他の子どもから、相続を受けた子どもに対して、自分の遺留分相当額を金銭で払ってほしい、という請求をすることが可能です(これを遺留分侵害額請求といいます。民