遺言を作成している人の数
2015年08月11日
相続税制の改正に伴い、相続や遺言についての関心が高まっているようにも思えます。 それでは、遺言を作成している人は、全国でどれくらいいるのでしょうか? 日本公証人連合会のHPに公表されている資料によれば、平成26年における公正証書遺言の作成数は、10万4490件ということです。 平成25年は9万6020件、平成24年は8万8156件ということなので、ここ数年で公正証書遺言を作成している人が増えていることが分かります。 自筆証書遺言はご本人のみでも作成できるので、作成数を正確に把握することは不可能だと思いますが、公正証書遺言の作成数が毎年増えていることからすれば、自筆証書遺言の作成も
遺言を作る上で気を付けたいこと
2015年08月05日
今回は遺言を作成する上で気をつけることをお話ししたいと思います。 遺言を残しておくことで、その方が亡くなった後にご自身の財産をどのように処分したいのか、意思表示をすることが出来ます。 例えば、相続人として子どもが3人いる場合、介護をしてくれた子どもに多く渡したいと思ったら、そのことを予め遺言に残しておくことで実現することもできます。 ですが、遺言を残しておく方法を間違えてしまうと、結果として作成した方の意思が反映できない場合もあります。 まず、遺言は要式行為とされ、法律に定められた形式を満たさないと無効になってしまいます。つまり、せっかく「遺言」を作っても、要件を満たさなければ
成年後見人と成年被後見人に対する手術の同意について
2015年08月04日
成年後見人が選任されている場合、被後見人が高齢者であることも多いと思います。 そのため、被後見人の方が入退院を繰り返したりするといったことも起きることが考えられますが、 その被後見人の方に手術などの医療行為が必要になった場合、成年後見人は本人に代わって、手術について同意をすることが出来るのでしょうか? まず、成年後見人は被後見人の財産管理権を有し、包括的な代理権を有しています。 もっとも、成年後見人は入院などに関する契約については代理をすることが出来ますが、手術などの身体的侵襲を伴う行為については、成年後見制度の趣旨から、代理権が及ばないと考えられています。 そのため、病院側から
平成26年における成年後見制度の概況について
2015年07月31日
最高裁判所事務総局家庭局から、平成26年1月から12月までの成年後見関係事件の概況が公表されています。 全体の申立件数は34373件で、平成25年に比べると、約0.5パーセント減少しているとのことです。 後見開始の審判の申立ては1.9パーセントの減少、保佐開始の審判の申立ては約6.6パーセント、補助開始の審判の申立ては約2.5パーセント「増加」しているとのことでした。 また、成年後見人等と本人との関係でみると、親族が選任されたものが、全体の約35.0パーセント、親族以外の第三者が選任されたものは全体の約65.0パーセントとのことでした。中でも、弁護士、司法書士が選任される割合は上昇
介護事業所の従業員が、業務時間中に自転車を利用することについて
2015年05月19日
利用者のご自宅にケアマネージャーさんやヘルパーさんが訪問する際に、自転車を使っている場合も多いかと思われます。 自転車による交通事故は、神奈川県内では、平成26年に6916件発生しているとのことです(神奈川県警察本部 交通部交通総務課公表の かながわの交通事故 平成26年より)。 ここで、介護事業所に勤めるAさんが、業務時間中、利用者宅への訪問するために自転車に乗っていたところ、Bさんに接触してしまい、Bさんを怪我をさせてしまった場合のことを考えます。 この場合、Aさん自身がBさんに対して損害賠償責任を負う場合(不法行為(民法709条)が成立する場合)、Aさんの雇用主である介護事
成年後見制度を利用するきっかけ
2015年04月29日
成年後見制度を利用するきっかけは何でしょうか? 最高裁判所 事務総局家庭局が発表している成年後見関係事件の概況(平成25年1月から12月)によれば、申し立ての動機としては預貯金等の管理・解約が1位で、介護施設入所等(介護保険契約)が2位とされています。 相談に来られる方からも「本人名義の預貯金を解約しようと思ったら、金融機関から本人の同意が確認できないので断られた。」、「介護サービス事業者から、本人が認知症なので成年後見人をつけてほしいと言われた。」といったことも伺います。 預貯金の解約や、介護施設の入所などが必要になるときは、事態が切迫している場面も少なくないと思われます。 そ
介護サービス施設・事業所が弁護士と顧問契約を結ぶメリット
介護サービス施設や事業所が弁護士と顧問契約を結ぶメリットは何でしょうか? 施設や事業所として問題が起きてしまい、相談をしなくてはいけないという場面は必ずしも多くないと考えられる方もいらっしゃいます。 ですが、施設や事業所で働いている方が、現場において介護に関する法律問題(例えば、成年後見制度)について悩むことはとても多いと相談を受けていると感じます。 そのように従業員の方がそういった問題に直面した場合には、従業員の方から直接相談いただくことも可能です。そして、そのような相談事例について施設内での勉強会などを通じて、その施設内で共有化することもできます。 また事業所や施設についてより
セカンドライフのために備えておくべきこと
2015年04月25日
高齢者の方から相談を受けていると、今は元気だけれども、今後判断能力が落ちて来たり、自分で出来ないことが増えて来た時のことが心配、という方が多くいらっしゃいます。 そのような方が今から準備しておいた方が良いことについて、紹介したいと思います。 まず、ご自身に判断能力があるけれども、今の時点ですでに財産管理が心配という方の場合(例えば、以前に比べて判断能力が落ちていて、複雑な契約を行うことに不安があるなど)には、財産管理契約を結ぶことが考えられます。 例えば、ご親族や弁護士との間で、財産管理契約を締結し、預貯金や賃貸用不動産といった、財産の管理を任せるということが考えられます。 ご本
子どもに知的障害がある場合、親が亡くなった後の財産管理をどうするか
2015年04月22日
お子さんに知的障害があり、成人後もご両親が財産管理をしているということもあります。 もし、ご両親が亡くなった場合、残されたお子さんの財産管理をどうするか、ということが気になる方も多いと思われます。 そのような場合に備えて、お子さんの障害の程度に応じて、取れる手段を説明します。 まず、お子さんの知的障害が軽度で、判断能力がある場合には、お子さん自身が第三者との間で財産管理を締結しておくことが考えられます。例えば、お子さんのご兄弟や、信頼できる第三者とお子さんとの間で財産管理契約を結んでおき、その方がお子さんのために、財産を管理するという内容です。 もっとも、この場合には財産管理が適正
相続対策のための成年後見制度の利用
2015年04月21日
遺産分割に関する紛争についても、多くの案件を取り扱っていますが、最近多いのは相続人の一人が、被相続人の財産を管理していた場合、その管理態様について後から問題となる事案です。 例えば、Aさんという人がいて、その子どもB、Cがいたとします。 Bが同居をしてAさんの介護と財産を管理していたような場合に、Aさんが亡くなったあと、遺産分割手続きの際に、Cさんから「Bさんが勝手に財産を管理していた」、「Bさんの財産管理に不明な点がある(使途不明金がある)」といったことで、争いになってしまうこともあります。 実際には、BさんがAさんのためにきちんと管理していても、領収書などを保存していないことも
弁護士に相談するメリットは?
2015年04月20日
今回は弁護士に遺言や成年後見について相談するメリットをお話しします。 弁護士は争いになった場面、裁判まで至ってしまった場面を多く経験していることから、そのような実際に経験した事例から、起こりうる問題を予測することもできます。 そして、問題が起こりうる場合には、問題が起こらないように、問題が起きたとしても最小限度になるように対策を一緒にとることも考えられます。 また、相談の結果、現時点では何も行わなくてよいと分かることもあります。 実際に、ご依頼を頂いた場合には、弁護士は依頼していただいた方の代理人として、活動を行うことができます。書類の収集だけでなく、書類作成や交渉なども代わって
成年後見制度の利用数はどれくらいなのか
2015年03月01日
成年後見制度(法定後見制度)という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際にはどのくらいの数が運用されているのでしょうか。 最高裁判所事務総局 家庭局が公表している資料によれば、成年後見制度を利用している方々は、平成25年12月末時点で、「17万6564人」とのことです。平成22年12月の時点が「14万0309人」だったことに比べると3年で約3万6000人増加しているようです。制度の利用目的については、本人の預貯金解約や、施設入居といったことが多いようですね。 今後、ますます高齢化社会が進むことからすれば、成年後見制度の利用を必要とされる方は、より増えていくのではないでしょうか。実際、