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「自分が生きている間に、『相続放棄』をしてほしい人がいる」

2023年03月13日

ご自身が生きている間に、推定相続人に「自分の相続について相続放棄をしてほしい」と希望される方がいます。 次のような場合です。 Aさんには長男、長女がいます。Aさんは長女に全てを相続させたいと思っているので、長男には予めAさんの相続について、相続放棄をしてほしいと希望しています。 まず、被相続人が生きている間に、予め相続放棄をすること自体ができません。 またご長男に、Aさんが亡くなった場合には相続放棄をする旨の合意書を書いてもらっても、法的な効力は生じません。   そのため、Aさんとしてご長女に全ての遺産を相続させたい、という希望をお持ちの場合には、遺言の作成をすることが考えられ

「連絡がつかない・できない相続人がいる場合はどうすればいいの?」

2023年03月09日

相続が開始されたあと、相続人を調べている中で、「連絡がつかない・できない相続人の方がいた」という場合があります。 例えばAさんが亡くなり、その相続人がお子さんであるBさん、Cさん、Dさんだったとします。 Bさんが相続手続を進めようとしたところ、Cさんの住所が分からず、電話番号も分からないという事態が生じました。 この場合、まずはAさんが生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せ、相続人を確定します。そして、その相続人の方の戸籍の附票を取得することで、住所を調べることができます。   この手続きは、Aさんの「相続人」の立場で、相続手続を行うためであれば行うことは可能です。ただ、戸籍

「デジタル遺産ってなに?? 何が問題になるの??」

2023年03月08日

デジタル遺産とは、なんでしょうか??  法律上の定義があるわけではないのですが、一般的にじゃインターネット上で管理されている財産やデジタル形式で保管されている遺産などとされることが多いです。 最近は、銀行口座でも紙媒体の通帳を発行しないことも増えてきました。株式も、取引報告書などを電子交付する場合も増えています。   今までは、紙の通帳や証券会社から送られてくる書類などを見て、遺産の存在に気が付く、ということが多くありました。 ところが、手続きが全てインターネット上で完結しているような場合には、遺族はそもそも「デジタル遺産」の存在に気が付かないこともあります。 例えば、亡くなった

「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの?? 2」

2023年03月07日

お子さんがいらっしゃらない高齢者ご夫婦がしておくべき対策についてお話をしましたが、今回はその具体的な対策についてお話しします 対策しなくてはいけない事態は、「認知症や病気などにより財産が管理できなくなってしまった時」と「相続が発生した時」の二つです。   今回はそのうち、前者の対策として任意後見契約についてお話をします。 <任意後見契約の締結> 例えば、AさんBさんというご夫婦がいたとします。BさんはAさんの年金と預金で生活をしていましたが、Aさんが認知症になり、判断能力がなくなってしまいました。 この場合、Aさんの施設入所のために預金を下ろそうと思っても、金融機関がAさんが認

「うちは子どもがいないけれど、何か準備する必要はあるの??」

2023年03月06日

ご夫婦だけの高齢者世帯の場合、特に気を付けなければいけないことがあります。 それは、今後の財産管理と相続です。   例えば次の事案を見てみましょう。 AさんBさんご夫妻。年齢はお互いに75歳。 ある日、Aさんの認知症が進んでしまい、施設に入る必要が出てきました。 BさんはAさんの施設入居のためにまとまった預金を下ろそうとしましたが、Aさんの意思が確認できないということで、金融機関から拒否されてしまいました。   またAさんには甥・姪がいるところ、Bさんはその甥・姪の連絡先すらも知りませんでした。 もし、Aさんが亡くなった場合、Bさんは遺産分割のためにその甥・姪と遺産分割

「不公平な内容の遺言を作ってもいいの?」

2023年03月04日

遺言を作成されるときに、特定の相続人に全て相続をさせたいという希望をお持ちの方もいらっしゃいます。 例えば、Aさんという方がいたとします。 Aさんの配偶者はすでに亡くなっており、お子さんは2人います。 Aさんは長女Bさんに遺産を全て相続させたい、長男Cには何も相続させないことを希望していました。 そこで、AさんはBさんに全部相続させるという公正証書遺言を作成しました。 このような「不公平な」遺言であったとしても、それ自体は有効です。 そのため基本的にはその遺言に基づき、財産が相続されることとなります。 ただCさんは自分の「遺留分」が侵害された、としてBさんに対して、遺留分侵害額請求を行うこ

「自分や親の相続に備えて家族で会議はしておいた方がいい??」

2023年03月03日

ここ数年、相続問題についての関心が高まっています。 それに伴い、ご自身の相続や親の相続について考えた時に、「家族」で話し合いをしておいた方が良いかどうか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。 結論から言えば、家族で話し合いをしておくに越したことはないのですが、その前にご本人が意思をきちんと決めておくことも大切です。 まずはご本人が自分の財産をどうしたいのか、どう処分したいのか、どう相続されたいのかというのを決めてから、それをご家族と共有しておくことで、ご家族にもその意思が伝わり、スムーズな相続に繋がるかと思います。 ただご本人の希望を叶えるためには家族で話し合うだけではなく、遺言を作成

「遺言を書いても、将来考えが変わったらどうするの?」

2023年02月17日

遺言を作成される時には、将来考えが変わったらどうするのかということを気にされる方もいます。   遺言は一回書いておけば、亡くなるまで有効です(亡くなることで効果が生じます)。そのため何十年前に書いた遺言であろうと問題はありません。 ただ、遺言はご本人の遺言作成能力がある限り、何度でも書き直すことができます。 例えば長男に全部相続させるという遺言を書いた後で、長男と仲たがいしてしまったことから、その遺言を撤回して、長女に全部相続させる、という遺言を書くことも可能です。 また自筆証書遺言を作成していたとしても、それを公正証書遺言で撤回をするといったことも可能です。 このように、遺

「相続が始まったらやることは??」

2023年02月16日

ある方が亡くなると、相続が開始します。   この場合に、相続人の方がやらなくてはいけないことは多く存在しますが、今回は相続手続に限定して、やるべきことをお話しします。 (相続放棄などはしないことを前提にした手続です) まず、「相続人の確定」が必要になります。 これは亡くなった方の法定相続人が誰なのか、を確定させる作業です。 亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せて法定相続人を確定させます。 また「遺産の調査」も行う必要があります。金融機関などに連絡をして、相続開始時点での残高・評価証明書を発行を申請します。 亡くなった方が不動産を持っていた場合、全部事項証明書を取

「相続対策は何から始めたらいいの??」

2023年02月15日

相続対策と一口に言ってもいろいろあります。調べ始めると、それこそたくさんありますから、何から始めたらいいか分からないという方も多いのではないでしょうか? 相続対策を考える時には、まずは「何が起きてほしくないのか」ということを具体的に考えることをお勧めしています。 例えば、相続人に争ってほしくないと考えた場合、どのようなことで争いになると考えられるのかをイメージすることが大切です。 自宅不動産と預貯金があり、この不動産をめぐって争いになりそうということであれば、予め遺言を作成して不動産を相続する人を指定してしまうことも考えられます。   また相続人同士は争わなさそうだけれども、相続

「親族が認知症と診断されたので、今のうちに相続対策をしたい」

2023年02月14日

このような相談をいただくこともあります。 結論から言えば、認知症と診断されたあとに相続対策を行うことは、問題があります。 たしかに、認知症をり患したからと言って、判断能力が0になるわけではありません。 しかし法律行為としての相続対策を行う場合、その行為の内容や効果などについて、ご本人が全て把握した上で、ご本人の希望に基づき行う必要があります。 このような条件を満たさない場合も多々ありますので、あとから問題が生じてしまうということがあります。 例えば、その方が亡くなったあとで、別な相続人から相続対策として行ったことが無効だ!などと争われることがあります。 このような事態を防ぐためにも、相続

どういう場合に相続トラブルが起きるの?

2022年08月25日

「相続トラブル」という言葉がここ数年よく使われます。「争続」などと揶揄されることもありますよね。 では、実際に相続トラブルはどのような場合に起きるのでしょうか? ご相談が多い事例を紹介します。   ・遺産の分け方について意見がまとまらない 遺産に不動産と預貯金がある場合、ある方は不動産を残しておきたい、ある方は不動産を売った現金をもらいたいというように意見が分かれてしまうことがあります。この場合、他の遺産で調整ができればいいのですが、難しいことがあります。   例えば価値が5000万円の不動産と1000万円の預貯金のみ、相続人は子ども2名というような場合で考えてみます。 一人当たりの相続分は3