Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
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帰省時期のあとには後見、相続のご相談をよくいただきます

2022年01月25日

以前にも書いたことがありますが、年末年始やお盆の後には、「相続」、「後見」に関するご相談を多くいただきます。   帰省された際に、ご両親の様子が以前と変わっていた、認知症かもしれないと思った、相続対策が不安になった、ということで相談をされる方が多くいらっしゃいます。   新型コロナウィルス感染症の影響で、なかなかご実家に帰れないという方も多かったと思います。   久しぶりに会ったご両親に、次のようなことが見られた場合には、ご相談をすることをお勧めします。   日時が分からなくなっていた、以前できたことができなくなってしまった    年齢やご病気などの影響で、記憶力、認知能力の低下されている可能

争いは無くても相続手続は大変!? ~法定相続情報証明制度を利用しましょう

2021年07月30日

「法定相続情報証明制度」をご存知でしょうか。     ご親族が亡くなると、預金等の相続手続きを行う必要があります。   ここで、金融機関の口座の相続手続には、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍を提出する必要があります。 基本的には、提出した戸籍の原本の返却を希望すれば、返してもらえますが、同時に複数の機関で手続きを行う場合には、同じ戸籍を何通か準備しておくか、戸籍が返ってきてから1件ずつ     このようなときに役立つのが法定相続情報証明制度です。 法務局に戸籍などの書類と一緒に法定相続人を家系図のような一覧表を提出すると、その一覧図が戸籍上の法定相続人がもれなく記載されている

相続は争いがなくても大変!?〜相続手続きのお話〜

2021年06月24日

「あなたの本籍地は?」と聞かれてすぐに正確に答えられる自信はありますか?     まして親御さんやご兄弟の本籍地となってくるとさらに難しくなってくるのではないでしょうか? 運転免許証にも本籍地が記載されなくなりましたから、なかなか本籍地がどこだったかを意識する機会はないと思います。       しかし相続の場面になると戸籍がどこにあるのか、ということが大切になってきます。     たとえ争いのない相続であっても、金融機関などで手続きを行うとき、亡くなられた方の、生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍を提出することが求められるからです。 本籍地がわからない場合は、本籍地が書かれている住民票を取得し

遺言に書いてあることは誰が実現してくれるの?? ~遺言のお話し~

2021年06月17日

遺言のことについて、いろいろとお話をしてきました。 遺言に関するご相談の中で、「自分が亡くなった場合に、誰が遺言の内容を実現してくれるのか?」というご質問をいただくことが多くあります。今回はそのことについてお話しします。   Cさんは、自分がなくなった後に残された財産を、「慈善事業に役立ててもらいたい」と思うようになりました。 そこである団体に自分の財産を寄付する、という遺言を書こうと思いつきました。 でもCさんは、自分がいなくなった後に誰がその遺言どおりに手続きを進めてくれるのだろう?と疑問に思いました。     まずは、遺言で財産を渡したいと思う方(法人)に、ご本人から生前に遺言

自分のお金の管理を誰かに任せたい ~後見制度のお話~

2021年06月10日

今回はご自身で財産の管理ができなくはないけれども、不安があるという方について、利用できる制度をご紹介します。   Bさんは一人暮らしをされています。 今までは、必要に応じて銀行に行き、生活費を引き出して自分で管理をしていました。 お医者さんからは、Bさんは年相応の物忘れはあるが、認知症などはないと言われています。ただ、最近、めっきり体力も落ちてしまい、銀行に出かけることも難しくなってきてしまいました。 今後、老人ホームなどに入ったりすることを考えると、自分の預金を管理してくれる人がいればいいのにとBさんは思っています。     まず、Bさんは財産管理をするための判断能力がありますが、重要な財産

認知症で相続の手続きができない? ~後見制度のお話し~

2021年05月31日

今回は相続と後見制度についてお話しします。   Aさんは認知症で、妻のBさんの介護を受けながら生活していました。 妻のBさんも今後いつまでAさんの介護を続けられるか不安に思うようになり、Aさんの財産の管理などのために成年後見制度を利用することにしました。 その後Aさんが亡くなりました。 Aさんの相続人は、妻であるBさんだけだったので、問題なく相続手続きができると思っていました。   しかしそのときにはBさんも認知症が進んでいて、ご自分の財産管理も不安な状態になっていました。 そのため、Bさんは、相続人が自分しかおらず争いにもなっていないのに相続手続きをすることができません。 そこでBさんも

施設に入居したいが契約ができないといわれてしまった ~後見制度のお話~

2021年05月26日

認知症が進みご自宅での生活が難しくなったので、介護施設に入居したいと考えたAさん。   いくつか見学して、気に入った施設があったので入居したい、と伝えたところ、施設から今の状態では契約ができないので後見人を就けてください、と言われてしまいました。   このように最近、施設入所の条件として、「成年後見人」を就けることを提示する施設が多いと聞きます。 「後見人という名前は聞いたことがあるけれど、どうしたらいいの??」 ということで悩んでしまう方も少なくありません。   どうすればいいのでしょうか??   まず、施設に入居するためには、施設(運営者)と利用者との間で「契約」を結ぶ必要があります。 契

自分が亡くなったあとの、片付けや費用の精算はどうすればいいの??~財産管理のお話~

2021年04月20日

今は問題なく一人で生活できているけれど、自分が亡くなった後に自宅の片付けや病院や介護施設の費用精算はどうなるのか?とご不安に思われている方もいらっしゃると思います。 お子様や身近な親族がいらっしゃるとしても、その方たちに負担をかけたくないと思われる方もいらっしゃいます。 実際、当事務所にご相談をされる方の中にも、上記のようなことを気にされる方も多くいらっしゃいます。 そのような場合に備えて、準備できることの一つに、「死後事務委任契約」があります。 これは、ご自宅が賃貸であった場合には、ご自宅の片付けをした上で契約を解除したり、病院や施設の料金などを精算したりといったことを、予め誰かに任せら

一人暮らしで備えておく必要があることって何?~財産管理のお話~

2021年04月07日

当事務所では、ケアマネージャーや地域ケアプラザの方からご紹介をいただいて、ご高齢者の方やそのご家族から相談を受ける機会が多くあります。 ここ数年、特に多いのが「ご高齢で一人暮らしをされている方」についてのご相談です。 例えば、 外出が難しくなり、銀行に行って生活費の引き出しをすることができなくなってしまった。 認知症になってしまい、自宅に現金が無造作に置かれている(適切な財産の管理ができない)。 施設に入居したいが、身近な親族がいないので契約できない、といわれてしまった。 自分が亡くなった後、賃貸アパートの片付けや病院、介護施設の精算が必要だった場合どうなるのか不安だ。

遺言で自分の財産を寄付をすることはできるの??

2021年03月22日

遺言を作ろうと思っても、自分には親族がいない、また親族には渡したくないとおっしゃる方も多くいらっしゃします。   そこで、ご自身が亡くなった後、残された財産を寄付する方法はあるの?というご相談を受けることがよくあります。 今回はそのような場合にどうすればよいか、ということをお話しします。   ご自身が亡くなったあと、特定の団体に財産を寄付するためには、遺言を利用することが考えられます。 「自分の財産については、●●に遺贈する」ということを書いておくことで、ご自身が亡くなったあと自分の財産をその団体に渡すことが出来ます。   この時に重要なのは、遺言の内容を実現してもらうために、預貯金の払い戻し

遺言を書くには若すぎる?

2021年03月15日

遺言を書くことを戸惑われる理由のひとつとして、自分が亡くなるまでの間に財産状況が変わるかもしれない、というお話をよく伺います。 まず、多くの方が誤解されているのですが、基本的には預貯金の増減があったとしても遺言の効力には影響がありません。 また遺言を書いた後に取得した不動産や財産などをどなたか特定の方に引き継いでもらいたい場合には、その点だけ追加をして遺言を作成することも可能です。 そもそも遺言は作ってから実際の効力が生じるまで、長い時間がかかることが想定されている文書です。 そのため時間の経過とともに多少の変化があることは想定されています。 (なお、遺言の中で誰か特定の人に相続させようと

終活が必要なのはわかるけれど・・・

2021年03月08日

遺言や終活というとどうしても縁起が悪い気持がして気が進みません・・・とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。 たしかにご自身が亡くなられたときのこと考えるのは気が進まないことだと思います。 でも万が一に備えることは本当に縁起が悪いことでしょうか? たとえば、自然災害に備えて非常食や飲料水を常備していらっしゃる方もいらっしゃると思います。 また物件探しをするとき、いくら眺望が抜群で好立地のマンションでも、非常階段がついていないマンションには住みたくないですよね? このように万が一に備えているからこそ、安心して日々の暮らしを送っていけるということもあります。   実際に当事務所に遺言作成