認知症の方でも遺言は作成できるの??
2021年03月01日
前回までのコラムで遺言を書く際に注意することなどをお話してきました。 そこで遺言を書こう!遺言を書いてもらおう!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 その矢先、遺言を作成する方が認知症と診断されてしまったら、どうなるのでしょうか?? もう遺言を作ることや、前に作成した遺言を書き換えることはできなくなってしまうのでしょうか? 今回はこの点をお話しします。 遺言は、ご自身の財産を誰かに引き継いでもらう、という法律上の効果を発生させる書面です。 そのため遺言を書く段階では、このような法律的な判断ができる状態である必要があります。逆の言い方をすれば、このような判断ができない状態で作成され
遺言を書き直したいと思ったら??
2021年02月22日
遺言は亡くなってから効果が生じるものです 1回遺言を作ってから何年か経つと、気持ちが変わるという方もいらっしゃいます。 そうなったときに、「遺言を書きなおしたい」と思われたら、どうすればいいでしょうか? 今回は、遺言の書き直しについてお話しします。 まず、誤解されている方も多いので説明をすると遺言は何度でも書き直すことができます。 何度でもです。 具体的にどうやるかというと、いくつか方法があります。 まず、一番わかりやすいのが「以前作成した遺言を全て撤回して新しく内容を作成すること」です。 これは自筆証書遺言でも公正証書遺言でもすることができます。 自筆証書遺言であれば、自分で破棄してしまっ
遺留分を主張・請求されない方法ってあるの??
2021年02月15日
前回までのコラムでは、遺留分についてお話をしました。 簡単に言うと、ある方が相続人の一部の方や相続人でない方にすべての遺産を取得してもらうなど遺言などを作成した場合、遺産をもらえなかった相続人から遺産を受け取った方に対して、一定金額の金銭を請求するということができるというのが、遺留分です。 このようなお話を聞くと、ご自身が作ろうとしている遺言が、どなたかの遺留分を侵害する可能性がないか心配になった方もいらっしゃるかもしれません。 そこで今回のコラムでは遺留分を主張されないようにする方法はあるのか?というお話をしたいと思います。 まず遺言を作られた方が亡くなる前であれば、推定相続
私も「遺留分」を請求できる??
2021年02月08日
前回のコラムで一部の相続人にすべての遺産を相続してもらう内容の遺言が残されていたとしても、遺産の一部を取得できる権利があることをお話いたしました。 これがいわゆる「遺留分」といわれるものです。では法律で相続人になると定められている方は、全員この権利を主張できるのでしょうか。 遺留分の権利を主張することができるのは、 被相続人の配偶者、お子様、ご両親や祖父母などの存続 に限られています。 つまり被相続人のご兄弟には遺留分は認められていません。 たとえばAさんという方が亡くなったとき、相続人に配偶者であるBさんとAさんのご兄弟であるCさんがいたとします。 Aさんは、Bさんと長らく別居状態
四十九日法要の後で自宅を片付けていたら遺言を発見した!あなたならどうしますか?
2021年02月01日
今日は遺言についてのお話です。 AさんBさん夫妻には、CさんとDさんというお子さんがいらっしゃいました。 Aさんはすでに亡くなっていて、Bさんも2ヶ月前に亡くなりました。 四十九日の法要も終わりひと段落したので、CさんとDさんはBさんが暮らしていたご自宅の片づけをはじめました。 ある日Cさんは、Bさんの自宅を訪れ、片付けをしていました。 なにげなく箪笥の引き出しをあけたところ・・・ Bさんの字で「遺言書」と書かれた封筒が入っていました。 遺言書には封がされていて、Bさんの名前と印鑑が押されています。 みなさんがCさんの立場だったらどうしますか? ①気になったので、
弁護士に依頼するのは「トラブル」がある時だけ?
2021年01月18日
弁護士に相談する、というと何かトラブルが起こっているときを思い浮かべる方も多いかもしれません。 そもそも争いがないのに相談に行っていいのかな? 弁護士に相談する必要があるのかな?と思われる方も多いのではないでしょうか? しかし相続に関していえば、弁護士がお手伝いできることは、トラブルが起きている時に限られません。 たとえばAさんBさん夫妻の間にお子様Cさんが1人いるご家族を思い浮かべてください。 ここで、Aさんが亡くなられたとします。 Aさんがお持ちだった預貯金、株など全てBに相続してもらうということになりました。 しかしBさんは高齢で外出が難しい、Cさんも仕事や家事、
今年こそ 万が一に備える対策を始めよう!と思われている方へ
2021年01月05日
2021年が始まりました。 今年こそは、万が一に備えて対策を考えたいと思っている方も多いのではないでしょうか。 けれど何から始めようか悩んでしまう方もいらっしゃると思います。 そこで今回は「今年こそは対策を始めよう」、と決意された方がどのようなことから始めればよいのかについて、ご紹介したいと思います。 遺言書の作成、と考えると気が進まない方も多いと伺います。 まずは、ご自身の思いを明確にするためにも、「ご自身の預金や財産の一覧表の作成」、「亡くなった時に財産を渡したい人」を考えてもらうことから始めることをお勧めします。 ご自身名義の預貯金、ご自宅をはじめとするご自身名義の
遺言作成に関するまとめ③
2020年12月26日
今回は2020年最後のコラムということで、今年から始まった自筆証書遺言の保管制度についてまとめのお話をして締めくくりたいと思います。 まずご自身で遺言を作成したら、遺言書保管所(法務局)に連絡をして予約を取ります。 実際に保管してくれる保管所は、①遺言を作成した方が住民登録をしている場所、②遺言を作成した方の本籍地、③遺言を作成した方が不動産をお持ちの場合はその不動産の所在地のうちのどこかです。なお、すでに遺言を作成されていて内容を変更する場合には、すでに遺言を預けている保管所で手続きをする必要があります。 保管所の場所は、こちらで詳しく調べることができます。 また保管所への予約はイ
遺言作成に関するまとめ②
2020年12月23日
今回のコラムでは、遺言の形式について注意点をまとめたいと思います。 自筆証書遺言の場合は、遺言の内容は基本的にすべて直筆で書き、遺言を作成した日付と署名と捺印をする必要があります。このときに使用する印鑑は実印でなくても大丈夫です。 法改正により「財産目録」と呼ばれる、遺言書に添付する遺産の一覧表については、パソコンで作成して印刷したものや通帳や登記事項証明書のコピーでもよいことになりました ただ、プリントアウトしたものや通帳などのコピーの場合は、それぞれのページに署名と捺印をする必要があります。 このように遺言には、法律上いろいろと形式が定められており、これが守られていないと、遺言が無
遺言作成に関するまとめ①
2020年12月22日
2020年も終わりに近づいてきました。 今年からこのコラムの担当を始めましたが、もうすぐ1年経つと思うと感慨深いものがあります。 このコラムでは遺言の書き方や相続で生じがちな問題、成年後見制度などについて情報発信をしてきました。 1年のしめくくりが近づいているところで今回は、コラムの中で紹介してきた遺言の書き方について、まとめてご紹介したいと思います。 一般的に利用されている遺言の形式は、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。 簡単に言ってしまうと公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成するもの、自筆証書遺言は、ご自身だけで準備するものという違いがあります。 この2つには、裁
配偶者居住権の効力はいつまで続くの??
2020年12月14日
配偶者居住権は、遺言や遺産分割の際に自由に期間を設定することができます。 例えば、終身、配偶者が亡くなるまでとすることもできますし、具体的に何年間と決めることもできます。 ただ、この期間内であっても配偶者の方が、所有者に無断で、増改築や居住権の譲渡、賃貸などをした場合で、それを所有者が止めるように求めても応じなかったときなどには、配偶者居住権が消滅してしまいます。 また配偶者が配偶者居住権は必要ないと考えた場合には、遺言で設定されていても、居住権を放棄することも可能です。 この配偶者居住権は存続期間中であっても、その配偶者が亡くなってしまった場合には、配偶者居住権は消滅します。 財産で
配偶者居住権ってなに?⑦
2020年11月30日
前回のコラムで配偶者居住権を売却することができない、といったことをお伝えしました。 では、この配偶者居住権に基づいて、ご自宅を賃貸することは可能でしょうか? 自宅に配偶者居住権が設定されたのち、ご自身は介護施設に入居することを検討する、というケースです。 この場合、自宅は残しておきたいので、誰かに貸して、その賃料を介護費用や生活費に充てたいと考える方もいらっしゃると思います。 ただ、配偶者居住権に基づいて、誰かに自宅を貸し出すということはできません。 これは配偶者居住権がご自宅に住むことを前提にしたものであって、そこから利益を得るということを前提としていないことによります。 配偶者には自