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コラム

遺産分割協議書にハンコを押すときは、慎重に!

2020年01月09日

 「遺産分割協議書にハンコを押してしまったんだけれども、やはり内容に納得できない」、「もう一回話し合いをやり直したい」。
 そういったご相談を受けることもあります。
 遺産分割協議書に目を通し、ご自身で署名・押印をした場合、それを撤回することは非常に困難です。
 ご自身で協議書に押印した場合、その協議書自体が有効に成立したものと推定されます。
 そのため、協議書の成立を争う人が、それを法律上覆せる事実を証明しなくてはなりません(例えば、錯誤無効(民法95条)、詐欺・強迫による取消(民法96条)が考えられます)。
 ただ、内容について納得ができなくなった、というだけでは遺産分割協議をやり直すことはできません。やり直すためには、他の相続人全員の同意が必要になります。。
 また一人の相続人が「遺産分割協議書上は自分のものにするけれども、後からお金を払う」、と約束をしたので、署名・押印したところ、その相続人が約束を守らなかった、という場合もあります。
 この場合、遺産分割協議を債務不履行解除することも考えられますが、しかし、遺産分割協議についての債務不履行解除は、最高裁判所の判例において否定されています(最高裁判所第一小法廷平成元年2月9日付判決/最高裁判所民事判例集43巻2号1頁参照)。
 あとは詐欺取消を主張することが考えられますが、その相続人による欺罔行為(詐欺行為)を証明しなくてはいけません。そもそも、約束が口頭でなされている場合には、約束があったことの証明をすることにも困難が伴います。
 このように、遺産分割協議書が有効に成立すると、それを後から争うことは非常に困難です。
 このような事態は、相続人のうちの一人(もしくはその方の配偶者)が中心になって遺産分割協議を進め、他の方は任せてしまっている場合に良く起きている、という印象を受けます。
 相続が開始した時点で、相続人の方は、「相続人」の立場で遺産の調査を行うことができます。
 そして、内容に納得できなければ、遺産分割協議書に署名・押印をしない自由もあります。
 そのため遺産分割協議書に署名・押印を求められた場合、落ち着いて内容をよく確認しましょう。
 その上で、まずは弁護士にご相談いただき、内容を一緒に確認すると共に、その遺産分割協議書を作成することが本当にご自身のためになるのかどうか、を一緒に考えることが大切です。
 当事務所では、遺言作成については2回目まで、遺産分割・後見については、初回1時間無料相談を実施しております。
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