Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
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「遺言はどの方法で作成しておけばよいの?②」

2023年11月01日

前回は自筆証書遺言について説明をしましたが、今回は公正証書遺言についてお話しします。   公正証書遺言は、簡単に言ってしまえば、公証人と証人2名の目の前で遺言の内容を伝え、公証人がそれを文書にしたものを遺言者・証人に読み聞かせ(または閲覧させ)、内容に間違いがないことを確認した上で公正証書として作成するものです。   この公正証書遺言ですが、事前に遺言の内容を公証役場とやり取りをして、当日は形式が整ったものを確認・読み聞かせを行うという形で作成しており、初めて公証役場に訪れたその日のうちに、1から作り上げて作成をする、という運用を行っているところは少ないのではないかと思

「遺言はどの方法で作成しておけばよいの??①」

2023年10月25日

前回まで遺言を作成しておいた方がよい人についてお話をしました。 では、遺言を作成するにしてもどのように作成すればよいのでしょうか??   まず、遺言は要式行為とされており、法律に定められた形式に則って作成する必要があります。 そのため録音や録画データ、パソコンのワープロソフトで作って打ち出したものなどは、遺言としては認められません(2023年10月現在)。   そのため、一般的なものとしては「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が挙げられます。   自筆証書遺言は全文を自分で書き、日付氏名を自書し、押印をする必要があります。この要件を欠いてしまうと、無効になるお

「こんな人は遺言を作っておいた方がいい? ③」

2023年09月26日

今回も遺言を作成しておいた方が良い方についてお話しします。   <のこされた家族に負担をかけたくない> 前回まで、ご自身の財産を一覧化しておくメリットをお話してきました。もちろん、これ以外にもメリットはたくさんあります。   まず遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成する必要があります。それか各金融機関が指定する書類に全員で署名捺印し、印鑑証明書を全員分準備するよう求められることがほとんどです。 このような手続は、初めて相続手続きをされる方にはとてもハードルが高いと言えます。 また相続人の中に海外赴任中の方がいたり、仕事や育児、介護で忙しくなかなか時間が取

「こんな人は遺言を作っておいた方がいい? ②」

2023年09月25日

前回に引き続き、遺言を作成しておくことをお勧めする場合をお伝えします!     <家族に自分の財産について話をされていない方> ご家族とは言え、自分の財産についてお話をするのは気が進まない、という方もいらっしゃいます。 では、その方が突然亡くなってしまった場合、ご家族は、どこの銀行にどれだけの預貯金や株式などをがあるか、どのように調べればよいのでしょうか?? 特にご家族の生活費や施設利用料などを支払っていた口座すらも分からない、となってしまうと、手続きを進めるのにも支障を来たしてしまいます。 以前はご自宅に届く郵便物から、どこの銀行や証券会社などにご資産をお持ちかを、あ

「こんな人は遺言を作っておいた方がいい? ①」

2023年09月22日

「終活」という言葉が一般的になり、相続対策に関心がある方が非常に増えたという印象を受けています。 その反面、やはり自分や自分の親には関係ないと思っている方も多いのではないでしょうか?   今回はこれまでとまた視点を変えて、遺言を作成しておくことをお勧めする場合をお伝えします。 ご参考にしていただけると幸いです。   <資産が「複数種類」ある方> 資産なんてないよ、と思われる方も多いかもしれません。 ですが、ご自身の財産を見直していただくと、   ・メインバンク以外にもいくつかの金融機関に口座を持っている ・自宅が持ち家である ・退職金を受け取り、その一部を投

「後見制度を利用するのは不安なんだけれど・・・③」

2023年09月14日

前回に引き続き、後見制度を利用する場合に、良くいただくご質問についてお話しします。     <後見人には費用はどれくらいかかるの?> 第三者の専門職が後見人などに就任した場合、毎年いくらくらいかかるのか、というのは気になるところだと思います。 この報酬の金額ですが、法定後見の場合には決めるのは家庭裁判所です。 まず、後見人は必ず毎年1回は裁判所に対して、1年間の業務内容と収支、財産の状況などを報告します。 裁判所はこの報告をもとに、後見人の業務量やご本人の財産状況(収支や持っている財産)に応じて後見人の報酬を決めます。   このように報酬を決める際、ご本人の財

「後見制度を利用するのは不安なんだけれど・・・②」

2023年09月13日

前回に引き続き、後見制度の利用について、良くご質問を受ける点をお伝えします。   <後見人には誰が選ばれるの?> 後見制度を利用する際に気になるのが、誰が後見人に選ばれるのか?という点です。 まず、原則として誰を後見人に選ぶのかは、家庭裁判所が決めるとされており、そのこと自体には不服の申し立てができません。 これだけ聞くと、全く見ず知らずの第三者が選ばれてしまうのではないかと不安になると思います。   しかし、実際の運用では、家庭裁判所にはいろいろな事情を説明し、後見人の候補者を挙げることもできます。 例えば、親族を候補者に挙げることもできますし、自分が信頼できる弁

「後見制度を利用するのは不安なんだけれど・・・①」

2023年09月05日

後見制度に関するご相談を受ける中で、「後見制度を利用するのは何となく不安」という声を良く伺います。 ニュースなどで後見制度の悪い側面を見てしまっていることも原因かと思われますが、後見制度についてよく分からないということも一因にあるのではないでしょうか。   そこで今回から何回か渡り、後見制度についてよくご質問いただく点についてお話していきます。   <本人のお金は適切に管理してもらえるの??> ご相談に訪れるみなさんが一番心配される点と言っても過言ではないかもしれません。  まず後見人は広い代理権を有し、ご本人の財産を管理します。 もっとも、この財産の管理については裁判所

「相続問題が起きやすいのはどんなケース?③」

2023年09月04日

今回も相続問題が起きやすいケースをご紹介します。   <ケース1> 被相続人:Xさん 相続人:配偶者Aさん、XさんのきょうだいB、C、Dさん 被相続人と配偶者Aさんとの間に子どもはおらず、相続人はAさんと、Xさんのきょうだいという場合です。 この場合、B、C、Dさんがどこに住んでいるか分からず、その所在から調査する必要がある場合も多くあります。 またBCDさんも高齢という場合も多く、認知症などで遺産分割協議自体ができないというケースもあります。 この場合、後見人の選任など別途手続が必要になることもあり、遺産分割協議に入るまで相当程度時間がかかってしまうことがあります。  

「相続問題が起きやすいのはどんなケース?②」

2023年08月29日

前回に引き続き、相続問題が起きやすいケースをご紹介します。 相続人の方が、被相続人の介護の負担を引き受けていたような場合です。 例えば次のようなケースです。   <ケース1> 被相続人:Xさん(配偶者はすでに他界) 相続人:長女Aさん、長男Bさん 被相続人は長男Bさん家族と亡くなる直前まで同居していた。 介護は長男Bさんとその家族が行っていたというケースです。 この場合AさんがBさんに対して、法定相続分に基づく遺産分割を求めたところ、Bさんは自分達が介護をしてきたのに納得ができない!とAさんの申し出には応じられない、という主張がされることがあります。 この場合、「寄与分」という制

「相続問題が起きやすいのはどんなケース?①」

2023年08月24日

前回、相続対策の準備についてお話をしましたが、今回はもう一歩進んで相続問題が起きやすいケースについて、最近ご相談が多い類型を何回かに分けてご紹介いたします(このテーマは以前にもお話ししていますが、復習の意味を込めてご覧いただけると幸いです)   まず遺産の中で、「自宅不動産」の価値が占める割合が高い場合です。 例えば、次のような場合です。 <ケース1> 被相続人:Xさん(配偶者はすでに他界) 相続人:長男Aさん、長女Bさん 遺産の総額が5000万円で、自宅不動産が4000万円、預貯金が1000万円、その自宅不動産には長女Bさんが住んでいるというケースです。   Bさんは

「久々に家族で集まったけれど、しておいた方がよいことはある?」

2023年08月17日

今年のお盆は久しぶりに帰省された、という方も多いのではないでしょうか? このような時期に、ご両親の年齢が70を超えている方にお勧めしているのが、相続対策とご両親の老後の準備を始めることです。 昔と比べて、70歳と言っても元気な方は本当に多いと思います。 ただ、当事務所にご相談をいただく方の中には、両親の相続対策を始めようと思った時には認知症になってしまっていたり、病気で入院してしまって思うように進めることができなかったという方が数多くいらっしゃいます。   このコラムでもご説明はしていますが、相続対策はご本人の判断能力がしっかりしている間であればできることはたくさんあります。