Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
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「介護をしたことは、相続の場面でどのように評価されるの?②」

2023年12月14日

前回に引き続き、被相続人を介護したことが相続の場面でどのように評価されるかについてお話します。   被相続人の方が遺言を残していない場合、法定相続分に基づき遺産が分割されます。 これはあくまで原則なので、相続人同士で話し合いをして法定相続分と異なる割合での分割を行う場合もあります。例えば、相続人全員で、介護をした相続人の割合を高くするという合意をすることが考えられます。 他方で、そのような合意ができない場合、介護をしたことが「被相続人の療養看護」に当たるとして、寄与分(民法904条の2)に基づく法定相続分の修正を行うことが考えられます。 ちょっと専門的な用語が並んでしまいまし

「介護をしたことは、相続の場面でどのように評価されるの?①」

2023年12月13日

ご高齢のご家族を、ご自宅で介護されている方も多いのではないでしょうか。ただお子さんが複数いる場合、介護の負担が特定の親族に集中してしまう場合もあります。 このような場合、相続の場面でどのように評価されるのでしょうか。   まず「相続の場面で有利に評価してほしい」と思って、介護をされる方はほぼいないと思われます。それは親族だからというような善意の気持ちでされる方が大半だからだと思います。   ただ介護自体は大変であり、精神的に負担も大きいかと思います。場合によっては経済的な負担も生じます。 そのような負担をしているのに、いざ相続の場面になったら、何もしていない親族と平等

「お金の管理に不安がある場合はどうすれば・・・??③」

今回も、ご自身のお金の管理に不安がある場合についてお話をします。   身近な親族の方がいらっしゃらない場合、自分が亡くなったあとのことについてどうすればよいかと不安になる方もいらっしゃいます。 例えば、賃貸物件や施設の利用料金の支払、荷物の引き取り・処分など亡くなられたあとにも様々な手続きや支払いが必要になります。   周りの方に負担をかけたくないとお考えの場合には、死後事務委任契約を締結しておくことが考えられます。   例えば、自分が亡くなったあとの葬儀、荷物の処理、病院代などの支払いなどを委任する契約を結んでおくことで、亡くなったあとでも依頼を受けた方が

「お金の管理に不安がある場合はどうすれば・・・??②」

2023年12月12日

前回に引き続き、今後のお金の管理に不安がある場合についてお話します。 今の時点では認知症にもかかってないし、自分でもいろいろ判断はできる。でも将来的に判断能力が低下したときに備えておきたいという方もいらっしゃいます。   その場合、任意後見契約を締結し、いざというときに信頼できる人に財産の管理などができるようにお願いしておくことが考えられます。     この契約を結んでおくことで、ご親族や専門家など事前に財産の管理をお願いしたい方を指定しておくことができます。   法定後見制度との一番の違いは、「後見人を自分で選ぶことができる」という点です。 法定後見

「お金の管理に不安がある場合はどうすれば・・・??①」

2023年12月11日

お一人で生活をされているご高齢者が不安に思われるのが、お金の管理です。 今は一人で管理できているからよいけれども、例えば入院した場合どうしようとか、一人で銀行まで行けなくなった場合どうしよう、といったことで悩まれる方も多いです。   銀行に行く回数を減らすため、まとまった現金を引き出して自宅で保管される方もいらっしゃいますが、大金を自宅においておくこと自体、防犯上の不安もあります。 そのような場合に考えられられる手段の一つが、財産管理契約です。   ご自身の財産を管理できるだけの判断能力は十分あるけれど、年金を引き出すために銀行まで行くのが難しくなってきた場合など、

「後見人はどんなことをしてくれるの?③」

2023年12月06日

今回も成年後見人がどのようなことを行うのかについて、お話をします。   入院や施設入所などに限らず、日常的なお金の管理なども後見人の仕事です。   介護サービスや施設の利用費は引き落としで対応できることも多いですが、ご自宅や施設でのちょっとしたお買い物や理美容のために現金が必要になることもあります。   このような日常的な支出に備えて、ご本人やご親族、施設の方に毎月決まった金額の現金をお渡しすることも後見人の仕事です。 この金額は、それぞれの方のライフスタイルや施設で預かれる上限に合わせてご本人や周りの方と相談しながら決めています。   また、家具

「後見人はどんなことをしてくれるの?②」

2023年12月01日

今回も成年後見人がどのような業務を行うのかについて、具体例とともに見ていきます。   自宅で生活をされている場合、急な病気やけがが原因で入院をする場合があります。また入院後もすぐには自宅に戻れず、リハビリのための施設への入居や、老人ホームへの入居が必要になることがあります。 この病院への入院の際には、入院の契約や入院中に使う物品のレンタル・リースなどの契約など様々な手続きを行う必要があります。 これらの手続や雑貨の購入をご本人に代わって後見人がすることができます。     また退院後、ご自宅での生活が難しい場合にはリハビリのための病院・施設や、老人ホームへの

「後見人はどんなことをしてくれるの?①」

2023年11月24日

成年後見制度については、言葉は知っているけれども後見人が具体的に何をしてくれるのかについては知らない、という方が多い印象を受けます。 そこで今回から後見人はどのようなことをしてくれるのか、について具体例を交えてお話します。 ※成年後見(法定後見)の利用にあたってはご本人の判断能力の程度に応じて、補助・保佐・後見と分けられますが、後見人を前提にお話をします。     後見人が対応する仕事は多岐に渡りますが「日常的な介護サービスの利用に関する手続」については、後見人が日頃から対応する業務の一つです。   ご自宅で生活されている方の場合、食料品の買い出しや食事の準

「相続の時の使途不明金問題ってなに?③」

2023年11月15日

相続の時に使途不明金問題が起きてしまった場合、遺産分割協議にも影響をすることをお話ししました。 では、実際にそのような問題が起きないように、または起きてしまった場合にはどのように対処すればよいのでしょうか?   <生前からできること> まず、家族とは言え通帳を管理する以上、管理について書面を取り交わしておきましょう。特に、ご本人からある程度自由に使ってよい、ということを言われていたのであれば、そのことについての書面も取り交わしておきましょう。 その上で、使途については記録をしておき、出納帳などをつけておくことが考えられます。 またご本人が認知症になってしまった場合などに備えて、任意

「相続の時の使途不明金問題ってなに?②」

2023年11月10日

前回に引き続き、相続の時の使途不明金問題についてお話しします。  被相続人が亡くなったあと、生前の預貯金の使途について、相続人間でトラブルが起きてしまったケースを想定します。   次のようなケースです。 ・被相続人Aさん(相続人は長男Bさん、長女Cさんのみ) ・長女Cさんが同居し、預貯金を管理。  ・Aさんが亡くなったあと、長男BさんがAさんの預貯金通帳を見て、亡くなる数年前の預貯金の使途について、疑念が生じた。   この場合、BさんとCさんとの間で生前の預貯金の使途について争いが生じてしまうと、遺産分割協議に入ることができない場合があります。   遺産分

「相続の時の使途不明金問題ってなに?①」

2023年11月09日

このコラムでも何回か取り上げてきましたが、相続のご相談をいただく際に、「使途不明金問題」についてもご相談をいただくことが増えています。 そこで今回から改めて、相続時の使途不明金問題について取り上げていきます。   まず、相続時の使途不明金については、法律上の用語ではないので、明確な定義はありません。 一般的には、「被相続人の預貯金について、生前に行われた、理由が分からない引き出し・送金」を指すことが多いかと思われます。   例えば、次のようなケースです。 Aさんが亡くなったあと、Aさんの相続人BさんがAさんの預金通帳を確認しました。すると、Aさんが亡くなる数年前から

「遺言はどの方法で作成しておけばよいの?③」

2023年11月05日

自筆証書遺言、公正証書遺言とお話をしてきましたが、今回はどの方法で遺言を作成すればよいのか、についてお話しします。   結論から言えば、遺言を作成する時点で相続トラブルが発生する可能性が高そうであれば、公正証書遺言を作成することをお勧めします。   相続トラブルが発生する可能性が高いケースというのは、このコラムでも何度かお伝えをしていますが、簡単に言えば ・相続人同士の仲が悪い ・遺産の大半を不動産が占めており、そこに相続人の一人が住んでいる ・お金の管理を相続人の一人に任せている   場合などが挙げられます。   相続トラブルが生じるようなケー