Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
無断転載、引用はお断りしています。

最新記事はこちらをご覧ください。

紛争を予防するために弁護士を活用する、という考え方

2016年05月09日

 所属している委員会の関係で、中学校や高校に出向いて、お話をさせていただく機会があります。  その中で、「弁護士はどういう仕事をする人?」という質問をすると、「裁判を担当する人」とか、「トラブルになったらお願いをする職業」という回答が多く寄せられます。  こういった認識をもっているのは、何も学生だけではないのではないでしょうか?  弁護士の仕事の中には「争いが起きないように、予防すること」も、含まれています。  弁護士は裁判になってしまったり、トラブルになってしまったりした案件を多く経験しています。だからこそ、それを防ぐ術、つまり争いが起きやすいところを把握し、手当しておく術に長けているとい

後見制度の利用を検討するタイミングについて

2016年05月04日

 今年のGWは10連休になる方もいらっしゃるみたいですね。  帰省される方も多いのではないかと思いますが、それを機に遺言や後見などについても検討されるという方も多いそうです。  今回は、当事務所が考える「後見(法定後見・任意後見)を検討し始めた方がいいケース」を紹介させていただきたいと思います。  ①親の年齢が80歳を超えている   →80代の方の2人に1人は認知症になってしまう、というデータもあるそうです。  ②親に老人ホームなどの施設に入居してもらいたいが、その費用は親自身の財産から支払いたいと思っている   →ホームの入居金や、毎月の支払いは多額に上ることがあります。その費用を金融

他職種の視点

2015年12月23日

後見人を務めさせていただいている関係で、被後見人の方が入居している老人ホームのカンファレンスに参加する機会もあります。ご本人の食事のことなどを話し合うのですが、「誤嚥」の予防はどこでも話題になります。ニュースなどでも話題になっていますが、嚥下の能力が落ちている方については、食事の際に食べ物などが誤って肺に入ることがあります。 それをきっかけにして肺炎になることもあり、体力が落ちている高齢者の方には、危険な病気の一つとされています。 そのため、むせ込まないように、食べ物を刻んだり、流動食にしたりするという対策が取られているそうなのですが、流動食は一見誤嚥を予防するように見えても、口の周りの筋肉を

電話での初回法律相談を行っていない理由について

2015年12月02日

 最近、ホームページをご覧になった方から、お問い合わせを頂くことが増えています。  ありがたい限りなのですが、中には「電話による無料法律相談」を希望される方もいらっしゃいます。ただ、相談のページにも記載しているとおり、当事務所では電話による初回法律相談を承っておりません。  ご本人確認が出来ないということも、理由の1つですが、もう1つは当事務所では相談の前提となる事情を十分に伺うことが出来ないというところが大きいからです。  ご相談者の方が聞きたいと思うところと、実際に問題が生じている部分が異なることは、法律相談を受けていると良く見受けられます。そのため、ご相談者が聞きたいと思うことに回答す

弁護士とのコミュニケーションについて

2015年11月25日

 当事務所に相談に来られる方の中には、現在依頼をしている弁護士に聞けないのでということで、法律相談に来る方もいらっしゃいます。  前提として、他の弁護士に依頼されている方については当事務所が介入することはできませんので、その弁護士とよく協議してもらうことを勧めています。  ただ、お話を聞いていると弁護士とうまくコミュニケーションが取れていない、それも依頼者の方が質問などをすることを控えてしまっていることも原因になってしまっているケースも多く見られます。  当事務所では、ご依頼いただいた件については、弁護士にまかせておけば自分は何もしなくてもいいということではなく、依頼者の方による積極的な協

遺言を作成しておいた方がいいケースについて

2015年11月23日

 今回は、特に遺言作成をおすすめしているケースについてお話しします。  当事務所では遺言がなく、遺産分割協議も難航している件について、ご相談を頂くことも多いのですが、遺言を作成しておけば紛争の発生を予防できたり、また紛争の拡大を防止できたりする事案を多く見かけます。  そのように問題が起きてしまっている事案から考えて、次のような場合には特に遺言作成をお勧めしています。  ①ご本人が建物(一戸建てやマンション)を所有しており、そこに推定相続人の一人と同居している場合  不動産をどう分けるかというのは、遺産分割の際には問題になります が、特にそこに相続人の方の一人が住んでいる場合には特に問題

成年後見制度の利用を躊躇する理由は何か

2015年09月26日

 成年後見制度を利用している方は、最高裁判所家庭局公表の資料によれば、平成26年12月の時点で、合計で約18万人とされています。  成年後見制度は判断能力が、乏しくなった人を援助する制度と一般的に説明されていますが、一方で認知症を罹患されている方は、厚生労働省公表の資料によれば平成24年の時点で、約460万人とのことです。  罹患者の数は増加傾向にあるとのことですので、平成26年における認知症をり患した人の数は、平成24年よりも増えていると思われますが、成年後見制度を利用している方は、上記と比べると圧倒的に少ないと思われます。  特に、成年後見制度はご本人の判断能力に応じて、補助、保佐を利用す

継続法律相談サービスについて

2015年08月13日

 今回は当事務所で行っている「継続相談サービス」についてご紹介します。  成年後見の申立てや、遺産分割協議などについてご相談に来られる方の中には、弁護士に依頼をするほどではないけれども、手続や交渉を進める中で、継続的にアドバイスをしてもらいたいと希望される方もいらっしゃいます。その場合、法律相談をその都度ご予約していただいても良いのですが、費用がかさんだり、また相談者のご都合によっては日程が合わないこともあります。  そのため、当事務所では昨年から離婚、成年後見、相続といった一定の分野について「継続相談サービス」を実施しております。  相談料は1ヵ月1万5000円(および消費税)を固定し、

遺言を作成している人の数

2015年08月11日

 相続税制の改正に伴い、相続や遺言についての関心が高まっているようにも思えます。  それでは、遺言を作成している人は、全国でどれくらいいるのでしょうか?  日本公証人連合会のHPに公表されている資料によれば、平成26年における公正証書遺言の作成数は、10万4490件ということです。  平成25年は9万6020件、平成24年は8万8156件ということなので、ここ数年で公正証書遺言を作成している人が増えていることが分かります。  自筆証書遺言はご本人のみでも作成できるので、作成数を正確に把握することは不可能だと思いますが、公正証書遺言の作成数が毎年増えていることからすれば、自筆証書遺言の作成も

遺言を作る上で気を付けたいこと

2015年08月05日

 今回は遺言を作成する上で気をつけることをお話ししたいと思います。  遺言を残しておくことで、その方が亡くなった後にご自身の財産をどのように処分したいのか、意思表示をすることが出来ます。  例えば、相続人として子どもが3人いる場合、介護をしてくれた子どもに多く渡したいと思ったら、そのことを予め遺言に残しておくことで実現することもできます。  ですが、遺言を残しておく方法を間違えてしまうと、結果として作成した方の意思が反映できない場合もあります。  まず、遺言は要式行為とされ、法律に定められた形式を満たさないと無効になってしまいます。つまり、せっかく「遺言」を作っても、要件を満たさなければ

成年後見人と成年被後見人に対する手術の同意について

2015年08月04日

 成年後見人が選任されている場合、被後見人が高齢者であることも多いと思います。  そのため、被後見人の方が入退院を繰り返したりするといったことも起きることが考えられますが、 その被後見人の方に手術などの医療行為が必要になった場合、成年後見人は本人に代わって、手術について同意をすることが出来るのでしょうか?  まず、成年後見人は被後見人の財産管理権を有し、包括的な代理権を有しています。  もっとも、成年後見人は入院などに関する契約については代理をすることが出来ますが、手術などの身体的侵襲を伴う行為については、成年後見制度の趣旨から、代理権が及ばないと考えられています。  そのため、病院側から

平成26年における成年後見制度の概況について

2015年07月31日

 最高裁判所事務総局家庭局から、平成26年1月から12月までの成年後見関係事件の概況が公表されています。  全体の申立件数は34373件で、平成25年に比べると、約0.5パーセント減少しているとのことです。  後見開始の審判の申立ては1.9パーセントの減少、保佐開始の審判の申立ては約6.6パーセント、補助開始の審判の申立ては約2.5パーセント「増加」しているとのことでした。  また、成年後見人等と本人との関係でみると、親族が選任されたものが、全体の約35.0パーセント、親族以外の第三者が選任されたものは全体の約65.0パーセントとのことでした。中でも、弁護士、司法書士が選任される割合は上昇