FAQ

よくある質問

  • 成年後見制度
  • 保佐
  • 補助

父の判断能力が衰えてきたので、成年後見制度を利用しようと思っています。ですが、父自身が成年後見制度の利用について、反対しているのですが、このような場合でも成年後見制度を利用することはできますか?

成年後見開始の審判申立には、成年被後見人となるべき人の同意は必要とされていません。保佐開始の審判申立についても同様です。 他方で補助開始の審判申立については、本人の同意が必要とされており(民法15条2項)、また保佐人に代理権を付与する審判を行うには、本人の同意が必要とされています(民法876条の4第2項)。 そのため、お父さんについて成年後見制度の利用が必要であれば、お父さんの判断能力の程度によっては、本人の同意がなくても、制度自体は利用できる可能性があります。 もっとも、本人自身の意思を尊重する必要もありますし、また本人が成年後見制度についてよく知らなかったり、誤解をしている場合がありえますので、まずは本人と話し合いを行い、必要に応じて弁護士から制度について説明を受けるなどして、本人の理解を求めることも重要です。

  • 成年後見制度
  • 成年後見
  • 高齢者虐待

高齢者虐待の防止のために、成年後見制度はどのように活用できるのでしょうか?

高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)は、高齢者虐待の通常などがあった場合、市町村長は養護者による虐待の防止および高齢者の保護を図るために、市町村長による成年後見等開始審判の申し立て(老人福祉法32条参照)を行う、としています(高齢者虐待防止法9条2項)。 また、国および地方公共団体に対して、高齢者虐待の防止などの目的のため、成年後見制度の利用促進の措置を講じ、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないと定めています(高齢者虐待防止法28条)。 そのため、高齢者虐待の防止の観点から、成年後見制度を利用することは有用と考えられます。 例えば、経済的虐待を受けている高齢者に対して、成年後見人が選任されれば、適切に財産が管理されることにより、高齢者本人の介護や医療に必要な資産を確保出来ることが考えられます。 また、介護放棄などを受けている高齢者に対しては、成年後見人が本人を代理して介護保険サービスを利用し、高齢者本人に適切な介護サービスが提供される、ということも考えられます。

  • 成年後見人
  • 成年後見制度
  • 成年後見

成年後見人に選任されているのですが、成年被後見人について手術の必要があるかもしれないとのことです。  この場合、成年後見人である私が手術に対する同意をすることはできますか?

成年後見人が行う身上監護については、身上監護に関する法律行為を行うこととされており、被後見人の身体に対する侵襲を伴うような行為についての同意は出来ないとされています。 そのため、成年後見人が被後見人に対する手術について、同意をすることは出来ないと解されます(実務上も、問題が多いところなので、立法などによる解決が待たれるところです)。 また、生命維持装置などの取り外しについても、同意が出来ないと解されています。

  • 成年後見制度
  • 補助

母が認知症と診断されました。主治医の先生からは、「補助相当」と言われています。補助開始の審判の申立てをしようと思いますが、気をつけることはありますか?

精神上の障害により、事理弁識能力が不十分である人について、家庭裁判所は申し立てに基づいて補助開始審判をすることができます(民法15条)。 まず、被補助人(本人)以外の申立権者からの申立ての場合には、補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。 そのため、申立ての時点において、本人と協議をした上で、予め同意をとっておくべきでしょう。 また、補助開始の審判は同意を要する行為を定める審判または代理権を付与する審判と同時にしなくてはならないとされています。 もっとも、この同意権は民法13条1項に定める行為の一部に限定され、また代理権も、包括的な代理権は認められず、個別具体的に定められます。 そのため、同意権、代理権の範囲についても、予め本人と協議をしておくことも必要と考えられます。

  • 遺言
  • 遺産分割

父の遺産の分割について、私の兄弟と協議をしています。父の葬儀費用を父の遺産から清算をすることはできるのでしょうか?

葬儀費用(通夜・告別式、火葬の費用など)は相続開始後に生じた債務であり、また一時的には喪主が負担することから、相続人全員の合意がなければ、当然に遺産から清算をすることは出来ません。その場合には民事訴訟などでその負担について解決することになります。 もっとも、相続人全員の合意が得られれば、葬儀費用を遺産から清算した上で、残りの遺産を分割するといったことも可能です。

  • 相続
  • 遺言

私と妻で遺言を作ろうと思っています。夫婦で一つの遺言書を作りたいと思っていますが、法的にも有効でしょうか?

民法上、同一の遺言証書で2名以上の者が遺言をすることはできないとされているので(民法975条)、原則として無効となってしまいます。 それにより、争いが生じてしまうことにもなりかねませんので、遺言はお一人ずつ作成してください。

  • 相続
  • 遺言

遺言を作ろうと思っていますが、きっかけがありません。遺言を作成するタイミングというものはありますか?

遺言はその人が満15歳以上であれば、作成することができます(民法962条)。 そのため、ご本人が必要性を感じた時点が、遺言作成のタイミングだと思われます。 もっとも、注意しなくては行けないのは、遺言を作成する時点では、遺言能力が必要です(民法763条)。 そのため、例えば認知症になってしまった後に遺言を作成した場合、ご本人が無くなった後で、ご本人に遺言作成の時点で遺言能力があったかどうか、つまりその遺言の有効性が争われる可能性が出て来てしまいます。 ですので遺言は必要性を感じたら、健康なうちに、なるべく早く作成しておくことをお勧めします。

  • 任意後見

私は長女と任意後見契約を結ぼうと思っていますが、契約した後に気が変わるかもしれません。その場合、途中で契約を解除することはできるのでしょうか?

本人または任意後見人となる人は、任意後見監督人が選任される前であれば、公証人の認証を受けた書面により、任意後見契約を解除することができます(任意後見契約に関する法律9条1項参照)。 例えば、契約解除の意思表示がなされている書面について、公証人から認証を受け、それを相手に送達することで、解除をすることができます。 一方で、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て解除することが出来ます(同2項参照)。

  • 任意後見
  • 成年後見
  • 法律相談

私は妻と二人暮らしで、子どもはいません。今は二人とも元気ですが、今後の老人ホームに入ることも考えています。不動産を処分したり、老人ホームと契約したりと色々しなくてはいけないと思っていますが、自分達だけで出来るか不安です。今から何か備えておくことは出来ますか?

セカンドライフを考えた時に、有料老人ホームに入るために不動産などの財産を整理される方は多いと思います。 このような場合、自宅の処分や有料老人ホームとの契約は大きなお金が動くこともあり、自分達だけでは不安という方もいらっしゃいます。 そのような場合に弁護士によるサポートが出来る場面もあります。例えば、弁護士が代理人として交渉や契約を行うことも考えられます。 また、財産管理契約や任意後見契約といった契約を利用することも考えられますので、一度ご相談ください。

  • 任意後見
  • 成年後見

私の両親は高齢ですが、まだ判断能力はしっかりしています。両親が認知症などになって判断能力がなくなった時に、成年後見制度を利用すれば問題ないと思います。この場合でも、任意後見契約は必要でしょうか?

成年後見制度を利用する場合、成年後見人に誰が選ばれるかは裁判所が決めることなので、申立てを行う人が希望する人が、必ず選任されるわけではありません。 見ず知らずの第三者が財産を管理することになることには抵抗があって、成年後見制度の利用を躊躇される方も実際にはいらっしゃいます。 ご本人がこれから財産管理を依頼したい人と思う人との間で、任意後見契約を結んでおくことで、基本的にはそのような事態を回避することができます。 そのような観点からも、任意後見契約について検討される必要もあると考えます。

  • 成年後見制度
  • 成年後見
  • 保佐

父について、成年後見制度を利用しようと思いましたが、主治医からは「保佐相当」と診断されました。 保佐人の代理権はどのように決められるのでしょうか?

保佐人の代理権は、申立権者からの申立てに基づき、特定の法律行為について付与されます。 この代理権は包括的に与えられるわけではなく、被保佐人の保護の必要性に応じて、個別具体的に定められます。 なお、代理権を付与する審判を行うには、被保佐人(本人)の同意が必要です。

  • 成年後見人
  • 成年後見制度
  • 成年後見

姉が母の成年後見人をしていますが、姉の財産管理が適正かどうか疑問に思います。母の財産がきちんと管理してもらえるような方法はないでしょうか?

まず成年後見人の財産管理が適正かどうかについては、後見人からの報告を求め、その内容を確認することなどにより、家庭裁判所による監督が行われます(民法863条参照)。 また、裁判所に対して成年後見監督人の選任を求め、成年後見監督人による成年後見人の後見事務の監督を求めることも考えられます。 他方で、お姉さんがお母さんの財産を横領しているなどといった、不正な行為をしていることが明白であれば、家庭裁判所に対して、成年後見人の解任を求め、新たに成年後見人を選任してもらうことを求めることも考えられます。