- 任意後見
- 成年後見制度
父が私を任意後見人とする、任意後見契約を結びたいと言っていますが、父は最近、認知症と診断されました。本人の判断能力が衰えてきている時に任意後見契約を締結することはできるのでしょうか?
任意後見契約も「契約」なので、当事者には契約を締結するだけの判断能力があることが必要です。 この判断能力については、本人の年齢や要介護度、関係者などの意見などを踏まえて個別具体的な判断にならざるを得ないと考えられます。そのため、認知症などで判断能力に疑いがある場合には、本人に上記の契約を締結するだけの判断能力があるかどうかを医師に診断してもらう必要があると考えます。 その結果、判断能力が無い、と診断された場合には、本人の状態に応じて成年後見制度の利用を検討することが考えられます。
- 遺言
先日、母が亡くなったので遺品を整理していたら「遺言書」と書かれ、封がされた封筒が見つかりました。中身が気になるので、開けて確認しても大丈夫でしょうか?
相続人が遺言(公正証書遺言を除く。)を発見した場合、速やかに家庭裁判所に提出し、検認を請求しなくてはいけないとされています(民法1004条1項)。 また、封印がある遺言書は、裁判所以外では開封できないとされ、裁判所外で開封をしてしまった場合には、5万円以下の過料に処するとされています(民法1004条3項、同1005条)。 そのため、この場合には開けることなく、速やかに家庭裁判所に対して、検認の請求を行うべきです。
- 遺言
公正証書遺言を作成しようと思っていますが、証人が二人必要と聞きました。証人はどのような人が良いですか?また適当な人がいない場合、どうしたら良いですか?
公正証書遺言を作成する際には、証人が2名以上立ち会う必要があり(民法969条1号参照)、未成年者や推定相続人・受遺者とこれらの配偶者・直系血族、そして公証人の配偶者や四親等以内の親族、書記及び使用人は証人になれません(民法974条参照)。 ですので、公正証書遺言を作成する場合にご家族が証人になれない、というケースはよくあります。 他方で、証人は公正証書遺言の内容を全て確認することから、信頼できる人を選ぶ必要があります。 そのため、当事務所では公正証書遺言を作成する場合に、適当な証人がいない方には、弁護士らが証人として公正証書遺言作成に立ち会う、といったことも行っております。
- 遺言
私の母が亡くなりました。生前、遺言を作成したというような話をしていましたが、遺品を整理しても見当たりません。 遺言を探す方法などはあるのでしょうか?
自筆証書遺言の場合、亡くなられた方がどこに保管していたか分からないと、探すのは困難です。金庫や金融機関の貸金庫に入れている方もいるようなので、思い当るところを探すほかないと思われます。 他方で、公正証書遺言や秘密証書遺言であれば、昭和64年以降に作成している場合には、相続人であればどこの公証役場からでも検索をすることが可能です(それより前に作成した場合には、作成した公証役場であれば検索は可能とのことです)。 その際に必要な書類や詳細は、近くの公証役場にお問い合わせください。
- 遺言
私には子どもが一人がいますが、長年連絡を取っておらず、絶縁状態が続いています。私が亡くなった場合には、この子どもが相続人になるのですが、私が亡くなった後は、私の財産はお世話になった方に渡したいと思っています。このような場合にはどうすればいいでしょうか?
あなたが亡くなった場合には、お子さんが相続人のとなることから、原則としてお子さんが財産を全て相続することになります。 そのため、あなたがお子さん以外に財産を渡したいのであれば、まずは自分の財産を渡したい人に財産を遺贈する旨の遺言を作成しておくことが考えられます
- 遺言
高齢になってきたことから、遺言を作っておこうと思います。ですが、長い文章は書く自信がないので、パソコンで文章を作って印刷し、そこに自分で署名・押印しようと思います。このようなものでも、法律が定める自筆証書遺言として有効でしょうか?
自筆証書遺言はその全文、日付、氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされているので(民法968条1項)、その要件を満たさない以上、自筆証書遺言としては無効になってしまいます。 長い文章をご自身で書けない場合でも、公正証書遺言を作成することは可能ですので、そちらをお勧めします(なお、秘密証書遺言は全文を自筆で書く必要まではありませんが、その他民法が定める要件を満たす必要がありますので(民法970条)、ただ単にパソコンで印刷したものに署名・押印をするだけでは要件を満たしません)。
- 遺言
私は病気の影響で字が書けないので、私のメッセージを自分でビデオで録画して、それを遺言として残そうと思います。このようなものも法律上の遺言として有効でしょうか?
遺言は民法の定める方式に基づいて行わなければならないとされているので(民法960条参照)、録画や録音によるメッセージがあったとしても、それは法律上の遺言としては無効です。 字が書けない場合であっても、公正証書遺言を作成することは可能ですので、公正証書遺言の作成をお勧めします。
- 遺言
私の父は高齢で、認知症の疑いもあります。この場合には、遺言は作成できないのでしょうか?
遺言は15歳以上で、遺言作成時に遺言能力を有していれば作成することができます(民法961条、963条)。 そのため、認知症の疑いがあれば、絶対に遺言作成が出来ないというわけではないと考えられますが、意思能力がすでに失われているような状態では、遺言を作成することはできないと考えられます(そのような状態で作成された遺言については、後で無効と主張され、争いが生じる可能性もあります)。 ですので、まずは医師の診断を仰ぎ、遺言を作成できるだけの意思能力が残されているかどうか、を確認する必要があります。
- 遺言
遺言を作らなくてはと思っていますが、作った後で誰にどの財産を相続させるのか、気持ちも変わるかもしれません。その場合にはどうしたら良いのでしょうか?
遺言者は遺言を作成した後でも、遺言の方式に従って撤回をすることが出来ます(民法1022条)。 また、新たに作成した遺言が前の遺言と抵触する時には、抵触した部分については後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条)。 そのため、気が変わった場合には、新たな遺言を作成して、前の遺言の内容を撤回することが可能です。
- 遺言
- 法律相談
私の母が公正証書遺言を作成したいと言っているのですが、足腰が弱っており公証役場まで行くことが困難です。この場合、公正証書遺言を作ることはできるのでしょうか?
公証役場まで行くことが出来ない理由がある場合、公証人にお母さんがいるところまで出張してもらって、公正証書遺言を作成することは可能です。 ただし、この場合には通常よりも手数料がかかることになり、また出張日当や交通費がかかることになります(具体的な費用については、お近くの公証役場にお問い合わせください) なお、当事務所では高齢で外出が困難な方に対しては、ご自宅などへのの出張法律相談も実施しております。 お気軽にお問い合わせください。
- 任意後見
父が認知症になった場合に備えて、父と任意後見契約を結ぼうと思っています。任意後見人には、誰でもなれるのでしょうか?
任意後見契約は、ご本人と後見人候補者との間の契約で行われますが、任意後見人候補者には特別な資格は法律上要求されていません。また、法人も任意後見人になることもできます。 ただ、任意後見受任者(任意後見人の候補者)が次の事由に該当する場合には、任意後見監督人が選任されないので、任意後見契約の効力が生じません。 ですので、候補者が次の事由に当たるかどうかについては、確認する必要があります(任意後見契約に関する法律4条1項3号、民法847条)。 ①未成年者 ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人 ③破産者 ④本人に対して訴訟をし、またはした者およびその配偶者ならびに直系血族 ⑤行方の知れない者、 ⑥不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者 いずれにしても、本人の財産を長期間にわたり管理することが予定されているので、任意後見人を誰にするかについては慎重に検討してください。
- 成年後見人
- 成年後見制度
身寄りがない人でも、成年後見制度を利用することはできるのでしょうか?
成年後見人などは、ご本人の親族ではない第三者が就任することもできるので、身寄りがいない方でも利用することは可能です。 その場合、ご本人に判断能力(意思能力)がある時には、ご本人自らが申立人となって、家庭裁判所に申し立てを行うことが考えられます。 ご本人が高齢で判断能力(意思能力)がなく、申立をすることが出来ない場合には、市町村長による申立てが考えられます(老人福祉法第32条など参照)。