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私は母と任意後見契約を結んでいます。代理権目録に記載されていない事柄も、母に代わって行う必要が出てきました。この場合、どうすればいいでしょうか?
任意後見契約を締結していても、任意後見人は代理権目録に記載されていない事項については、代理権を有しません。 そのため、代理権目録に記載されていない事項を、お母さんに代わって行うことは出来ません。 この場合、改めて任意後見契約を結んで代理権目録への記載事項を増やすことが考えられます。 もし、お母さんに契約を行うだけの判断能力がない場合には、成年後見制度を利用することが考えられます(任意後見契約に関する法律第10条1項参照)。
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父について後見開始の審判の申立てを考えていますが、診断書が作成できるか分かりません。この場合でも、申立てはできますか?
申立てを行う際、家庭裁判所に提出する書類として「本人の診断書」が要求されています。ただ、この診断書の提出は法律上必須とされているわけではありません。 そのため、本人の診断書がどうしても取れない理由がある場合には、事情を説明した上で、診断書を提出しないまま申立てをすること自体は可能と考えられています。 ただ、本人の判断能力の程度を把握した上で、本人の判断能力が成年後見、保佐、補助のいずれに該当するかを予め把握しておくことも大切ですし、この診断書の作成は精神科医に限定されていない、とされています。 なるべく本人に説明・説得をするとともに訪問診療を行ってくれる医師に協力を求めるなどして、診断書は準備をした方が良いと思われます。
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成年後見人の報酬額はどのように決められるのでしょうか?
後見人の報酬については、家庭裁判所が被後見人の資力などを考慮し、その財産の中から相当な報酬を与えることができるとされています(民法862条参照)。 そのため、後見人が勝手に被後見人の財産から報酬を受け取ることはできません。 必ず家庭裁判所に報酬付与の審判を申立て、報酬額を決めてもらう必要があります(保佐人、補助人も同様です)。
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父に成年後見制度を利用しようと考えています。ですが、私の弟が反対しています。この場合、成年後見制度を利用することはできないのでしょうか?
後見開始などの申立てについては、本人の親族の同意は要件にはなっていません。 そのため、親族が反対している場合であっても、後見開始などの申し立てを行うことは可能です。 家庭裁判所に申し立てを行う際には、親族の同意書の提出が求められますが、これはあくまでも裁判所が審理の際に参考にするためとされています。 そのため親族の同意を取れないような場合であっても、後見制度を利用すること自体は可能です。
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本人の判断能力が衰えてきている時に、任意後見契約を締結することはできるのでしょうか?
任意後見契約も「契約」なので、当事者には契約を締結するだけの判断能力があることが必要です。 この判断能力については、本人の年齢や要介護度、関係者などの意見などを踏まえて個別具体的な判断にならざるを得ないと考えられます。そのため、認知症などで判断能力に疑いがある場合には、本人に上記の契約を締結するだけの判断能力があるかどうかを医師に診断してもらう必要があると考えます。 その結果、判断能力が無い、と診断された場合には、本人の状態に応じて成年後見制度の利用を検討することが考えられます。 他方で任意後見契約を締結できるだけの判断能力が認められる場合には、任意後見契約を締結することができます。
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身寄りがない人でも、成年後見制度を利用することはできるのでしょうか?
成年後見人などは、ご本人の親族ではない第三者が就任することもできるので、身寄りがいない方でも利用することは可能です。 その場合、ご本人に判断能力(意思能力)がある時には、ご本人自らが申立人となって、家庭裁判所に申し立てを行うことが考えられます。 ご本人が高齢で判断能力(意思能力)がなく、申立をすることが出来ない場合には、市町村長による申立てが考えられます(老人福祉法第32条など参照)。
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父の判断能力が衰えてきたので、成年後見制度を利用しようと思っています。ですが、父自身が成年後見制度の利用について、反対しているのですが、このような場合でも成年後見制度を利用することはできますか?
成年後見開始の審判申立には、成年被後見人となるべき人の同意は必要とされていません。保佐開始の審判申立についても同様です。 他方で補助開始の審判申立については、本人の同意が必要とされており(民法15条2項)、また保佐人に代理権を付与する審判を行うには、本人の同意が必要とされています(民法876条の4第2項)。 そのため、お父さんについて成年後見制度の利用が必要であれば、お父さんの判断能力の程度によっては、本人の同意がなくても、制度自体は利用できる可能性があります。 もっとも、本人自身の意思を尊重する必要もありますし、また本人が成年後見制度についてよく知らなかったり、誤解をしている場合がありえますので、まずは本人と話し合いを行い、必要に応じて弁護士から制度について説明を受けるなどして、本人の理解を求めることも重要です。
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高齢者虐待の防止のために、成年後見制度はどのように活用できるのでしょうか?
高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)は、高齢者虐待の通常などがあった場合、市町村長は養護者による虐待の防止および高齢者の保護を図るために、市町村長による成年後見等開始審判の申し立て(老人福祉法32条参照)を行う、としています(高齢者虐待防止法9条2項)。 また、国および地方公共団体に対して、高齢者虐待の防止などの目的のため、成年後見制度の利用促進の措置を講じ、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないと定めています(高齢者虐待防止法28条)。 そのため、高齢者虐待の防止の観点から、成年後見制度を利用することは有用と考えられます。 例えば、経済的虐待を受けている高齢者に対して、成年後見人が選任されれば、適切に財産が管理されることにより、高齢者本人の介護や医療に必要な資産を確保出来ることが考えられます。 また、介護放棄などを受けている高齢者に対しては、成年後見人が本人を代理して介護保険サービスを利用し、高齢者本人に適切な介護サービスが提供される、ということも考えられます。
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成年後見人に選任されているのですが、成年被後見人について手術の必要があるかもしれないとのことです。 この場合、成年後見人である私が手術に対する同意をすることはできますか?
成年後見人が行う身上監護については、身上監護に関する法律行為を行うこととされており、被後見人の身体に対する侵襲を伴うような行為についての同意は出来ないとされています。 そのため、成年後見人が被後見人に対する手術について、同意をすることは出来ないと解されます(実務上も、問題が多いところなので、立法などによる解決が待たれるところです)。 また、生命維持装置などの取り外しについても、同意が出来ないと解されています。
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母が認知症と診断されました。主治医の先生からは、「補助相当」と言われています。補助開始の審判の申立てをしようと思いますが、気をつけることはありますか?
精神上の障害により、事理弁識能力が不十分である人について、家庭裁判所は申し立てに基づいて補助開始審判をすることができます(民法15条)。 まず、被補助人(本人)以外の申立権者からの申立ての場合には、補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。 そのため、申立ての時点において、本人と協議をした上で、予め同意をとっておくべきでしょう。 また、補助開始の審判は同意を要する行為を定める審判または代理権を付与する審判と同時にしなくてはならないとされています。 もっとも、この同意権は民法13条1項に定める行為の一部に限定され、また代理権も、包括的な代理権は認められず、個別具体的に定められます。 そのため、同意権、代理権の範囲についても、予め本人と協議をしておくことも必要と考えられます。
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父について、成年後見制度を利用しようと思いましたが、主治医からは「保佐相当」と診断されました。 保佐人の代理権はどのように決められるのでしょうか?
保佐人の代理権は、申立権者からの申立てに基づき、特定の法律行為について付与されます。 この代理権は包括的に与えられるわけではなく、被保佐人の保護の必要性に応じて、個別具体的に定められます。 なお、代理権を付与する審判を行うには、被保佐人(本人)の同意が必要です。
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姉が母の成年後見人をしていますが、姉の財産管理が適正かどうか疑問に思います。母の財産がきちんと管理してもらえるような方法はないでしょうか?
まず成年後見人の財産管理が適正かどうかについては、後見人からの報告を求め、その内容を確認することなどにより、家庭裁判所による監督が行われます(民法863条参照)。 また、裁判所に対して成年後見監督人の選任を求め、成年後見監督人による成年後見人の後見事務の監督を求めることも考えられます。 他方で、お姉さんがお母さんの財産を横領しているなどといった、不正な行為をしていることが明白であれば、家庭裁判所に対して、成年後見人の解任を求め、新たに成年後見人を選任してもらうことを求めることも考えられます。