Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
無断転載、引用はお断りしています。

ケアマネージャーの方からの法律相談について

2016年10月27日

 事例検討会に参加させていただいたり、セミナーを開催したりしている関係で、ケアマネージャーの方から、利用者の方についての法律相談を受けることがあります(もちろん、匿名化や、利用者の方から事前に承諾を得ているなど個人情報については十分に注意されています)。  その中で、自宅で生活をされている独居の方についてのご相談が多いと感じます。  具体的には、現在は認知症にはなっていないものの、親族がいなかったり、関係が悪く協力を見込めなかったりという場合に、今後、どうしたら良いかという相談が多いです。  この場合、ご本人に判断能力があるうちには、任意後見契約を結んだり、ご本人に補助開始の申立てをしても

介護施設、事業所の方と後見制度への理解について

2016年10月20日

 仕事をしていく中で、介護施設や事業所の方とお話をする機会が多くあります。  その中で、「後見制度は、知識としては知っていても、どう使うのか良く分からない」といった声も多く聞かれます。  後見制度は一見すると複雑ですし、利用者に家族がいる場合には、必要性を感じられないという方もいらっしゃいます。  ただ、「契約」と後見制度をは切っても切り離せないものですし、家族がいるから場合でも後見制度が必要な場合は多くあります。  特に高齢者の方を対象とする事業では、後見制度をきちんと理解しておくことが、事業を続けていく上では重要です。  また、金銭が絡む場面で、安易な対応をしてしまうと従業員や事業所を危険

高齢者の方への「経済的虐待」について

2016年10月13日

 最近、親が他の親族から経済的な虐待を受けているのではないか、という相談をいただくことが増えています。  経済的な虐待とは、一言でいえばご本人の財産を不当に使ったり、正当な理由がないのにご本人の財産をご本人に使わせないといったことを指します。  ご本人に判断能力がしっかりとあり、ご本人の希望に基づいて親族が使っているような場合には、当てはまりませんが、中にはご本人に判断能力が全くないにもかかわらず、使われてしまっていることもあります。  この場合、成年後見制度および保全制度を利用することで、ご本人のための財産管理を実現することが可能といえます。  ただ、外から見ているだけでは、実態が良く

相続対策はどのように進めるの??

2016年10月06日

 ご自身が亡くなったあとの、相続対策について相談を受ける機会が増えています。それだけ、関心が高まっているということなのだと思います。  ただ、一口に相続対策と言っても、その内容は様々です。  「相続税が心配」、「自分の妻にきちんと財産を残したい」、「自分が亡くなったら、認知症の夫はどうなるのか」というように、人によってお悩みは様々です。  反面、相続に関する情報は多く出ていますが、それをどのように活用したら良いか分からない、という方も多くいらっしゃいます。  そのため、当事務所では相続の相談に来られた方が、一番何を心配しているのか、自分が亡くなった後でどのような問題が一番起きてほしくない

紛争を予防するために弁護士を活用する、という考え方

2016年05月09日

 所属している委員会の関係で、中学校や高校に出向いて、お話をさせていただく機会があります。  その中で、「弁護士はどういう仕事をする人?」という質問をすると、「裁判を担当する人」とか、「トラブルになったらお願いをする職業」という回答が多く寄せられます。  こういった認識をもっているのは、何も学生だけではないのではないでしょうか?  弁護士の仕事の中には「争いが起きないように、予防すること」も、含まれています。  弁護士は裁判になってしまったり、トラブルになってしまったりした案件を多く経験しています。だからこそ、それを防ぐ術、つまり争いが起きやすいところを把握し、手当しておく術に長けているとい

後見制度の利用を検討するタイミングについて

2016年05月04日

 今年のGWは10連休になる方もいらっしゃるみたいですね。  帰省される方も多いのではないかと思いますが、それを機に遺言や後見などについても検討されるという方も多いそうです。  今回は、当事務所が考える「後見(法定後見・任意後見)を検討し始めた方がいいケース」を紹介させていただきたいと思います。  ①親の年齢が80歳を超えている   →80代の方の2人に1人は認知症になってしまう、というデータもあるそうです。  ②親に老人ホームなどの施設に入居してもらいたいが、その費用は親自身の財産から支払いたいと思っている   →ホームの入居金や、毎月の支払いは多額に上ることがあります。その費用を金融

他職種の視点

2015年12月23日

後見人を務めさせていただいている関係で、被後見人の方が入居している老人ホームのカンファレンスに参加する機会もあります。ご本人の食事のことなどを話し合うのですが、「誤嚥」の予防はどこでも話題になります。ニュースなどでも話題になっていますが、嚥下の能力が落ちている方については、食事の際に食べ物などが誤って肺に入ることがあります。 それをきっかけにして肺炎になることもあり、体力が落ちている高齢者の方には、危険な病気の一つとされています。 そのため、むせ込まないように、食べ物を刻んだり、流動食にしたりするという対策が取られているそうなのですが、流動食は一見誤嚥を予防するように見えても、口の周りの筋肉を

電話での初回法律相談を行っていない理由について

2015年12月02日

 最近、ホームページをご覧になった方から、お問い合わせを頂くことが増えています。  ありがたい限りなのですが、中には「電話による無料法律相談」を希望される方もいらっしゃいます。ただ、相談のページにも記載しているとおり、当事務所では電話による初回法律相談を承っておりません。  ご本人確認が出来ないということも、理由の1つですが、もう1つは当事務所では相談の前提となる事情を十分に伺うことが出来ないというところが大きいからです。  ご相談者の方が聞きたいと思うところと、実際に問題が生じている部分が異なることは、法律相談を受けていると良く見受けられます。そのため、ご相談者が聞きたいと思うことに回答す

弁護士とのコミュニケーションについて

2015年11月25日

 当事務所に相談に来られる方の中には、現在依頼をしている弁護士に聞けないのでということで、法律相談に来る方もいらっしゃいます。  前提として、他の弁護士に依頼されている方については当事務所が介入することはできませんので、その弁護士とよく協議してもらうことを勧めています。  ただ、お話を聞いていると弁護士とうまくコミュニケーションが取れていない、それも依頼者の方が質問などをすることを控えてしまっていることも原因になってしまっているケースも多く見られます。  当事務所では、ご依頼いただいた件については、弁護士にまかせておけば自分は何もしなくてもいいということではなく、依頼者の方による積極的な協

遺言を作成しておいた方がいいケースについて

2015年11月23日

 今回は、特に遺言作成をおすすめしているケースについてお話しします。  当事務所では遺言がなく、遺産分割協議も難航している件について、ご相談を頂くことも多いのですが、遺言を作成しておけば紛争の発生を予防できたり、また紛争の拡大を防止できたりする事案を多く見かけます。  そのように問題が起きてしまっている事案から考えて、次のような場合には特に遺言作成をお勧めしています。  ①ご本人が建物(一戸建てやマンション)を所有しており、そこに推定相続人の一人と同居している場合  不動産をどう分けるかというのは、遺産分割の際には問題になります が、特にそこに相続人の方の一人が住んでいる場合には特に問題

成年後見制度の利用を躊躇する理由は何か

2015年09月26日

 成年後見制度を利用している方は、最高裁判所家庭局公表の資料によれば、平成26年12月の時点で、合計で約18万人とされています。  成年後見制度は判断能力が、乏しくなった人を援助する制度と一般的に説明されていますが、一方で認知症を罹患されている方は、厚生労働省公表の資料によれば平成24年の時点で、約460万人とのことです。  罹患者の数は増加傾向にあるとのことですので、平成26年における認知症をり患した人の数は、平成24年よりも増えていると思われますが、成年後見制度を利用している方は、上記と比べると圧倒的に少ないと思われます。  特に、成年後見制度はご本人の判断能力に応じて、補助、保佐を利用す

継続法律相談サービスについて

2015年08月13日

 今回は当事務所で行っている「継続相談サービス」についてご紹介します。  成年後見の申立てや、遺産分割協議などについてご相談に来られる方の中には、弁護士に依頼をするほどではないけれども、手続や交渉を進める中で、継続的にアドバイスをしてもらいたいと希望される方もいらっしゃいます。その場合、法律相談をその都度ご予約していただいても良いのですが、費用がかさんだり、また相談者のご都合によっては日程が合わないこともあります。  そのため、当事務所では昨年から離婚、成年後見、相続といった一定の分野について「継続相談サービス」を実施しております。  相談料は1ヵ月1万5000円(および消費税)を固定し、