Column

コラム

執筆時点での法令などを参考に記載しております。予めご了承ください。
無断転載、引用はお断りしています。

最新記事はこちらをご覧ください。

遺産分割調停の平均審理期間について

2018年12月12日

「遺産分割の調停には、どれくらい時間がかかりますか?」  ご相談をいただく中で、必ずと言っていいほどいただくご質問です。  当事務所でご依頼をいただいてから、解決までにかかった期間の平均値・中央値(2017年時点)は、以前事務所のHPにてお話をさせていただきました(詳しくは、こちらの「案件が解決するまでの期間について②」をご覧ください)。  今回は遺産分割調停などの平均審理期間について、最高裁判所が公表している資料を元にお話ししたいと思います。  遺産分割調停に関する平均審理期間は「11.2ヶ月」とされています(平成28年時点)。  遺産分割調停が始まってから調停成立(解決)まで、

年末年始を迎えるに当たって

2018年12月11日

 2018年も残り1ヶ月を切りました。  この年末年始には帰省される方も多いと思います。  当事務所では、12月や翌年の1月・2月に「相続」に関するご相談をいただくことが増えます。  夏休みの時もそうなのですが、帰省をして家族で集まった時に、相続について真剣に考える時期に来た、と考える方が多くなるからではないかと思っています。  今回は年末年始を迎えるにあたり、「親からの相続」について、問題が起きやすい類型をお話しします。  まず、ご両親が再婚で、前妻・前夫との間に子どもがいる、という方の場合、相続の場面で争いが起きやすいと言えます。  また、ご自身のご兄弟で連絡が付かない人がいる、ま

遺産分割で争いになるのは、お金持ちだけ??

2018年12月08日

 ある方が亡くなった時、遺言が残されていない時には相続人の間で遺産をどう分けるかを話し合う必要があります。  この話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。 「うちは財産がないから、トラブルにならない」「遺産分割調停は、お金持ちがやることでしょう?」といったことをおっしゃる方が多くいらっしゃいます。  ところが、実際に遺産分割調停になっているケースの4件に3件は「遺産総額が5000万円以下」というデータがあります(最高裁判所 司法統計より)。 遺産総額が1000万円以下のケースは30パーセント、5000万円以下のケースは75パーセントとされています

相続準備サポートを始めました

2018年10月28日

 法律事務所に相続の問題を相談するのは、問題が起きてから、と考えている方が多いのではないでしょうか?  ここ数年、生前の財産管理や遺言、そして遺産分割の相談や案件対応を多くさせていただいておりますが、問題が起きる前から『できる限り早く相談する』ことで、問題の発生を防いだり、またトラブルを最小限にすると言うことが出来ます。  でも、どの時点で相談をして良いか分からない、という方もいらっしゃいます。  そこで、当事務所では相続手続準備サポートを始めました。  ご親族が亡くなった時点で相談をいただくことで、法定相続人(相続を受けることが出来る人)の調査、公正証書遺言の調査、財産の調査(不動産、

お盆を迎えるにあたって

2018年07月30日

 夏休みには帰省される方も多いのではないかと思います。  当事務所は相続などに関する案件を扱っておりますが、毎年9月に相続・後見に関するご相談を多くいただきます。  これは、帰省に伴い、家族で集まった結果、真剣に考える時期に来たと思う方が多くなるからではないか、と考えています。  今回は、ご自身の相続について、考えておいた方が良いと思うことをお話しします。  まず、ご自身が相続に際して、どのような希望があるか、考えてみてください。  例えば、ご自宅を残したい、平等に分けたい、残された配偶者の面倒を見てほしいなどといったことが考えられます。  もちろん、その前提としてご家族にトラブルが生じ

使途不明金にご用心

2018年07月19日

 遺産分割に関する案件をご相談いただく中で、「被相続人が亡くなる前の預貯金の管理」が問題となることが、増えています。  例えば、お父さんと長男家族が同居している家族がいるとします。  この時、お父さんから依頼を受けて、長男家族がお父さん名義の預貯金を管理することもあります。  このような場合、お父さんが認知症になってしまったとしても、成年後見制度を利用しないで、そのまま管理を続ける方も多いのではないでしょうか?  このようなケースでは、お父さんが亡くなった後、「お父さん名義の預貯金の使い道」が問題になることがあります。  管理を続けている中で、お父さんのために使ったことを1円の誤差もな

女性弁護士への相談を希望される方

2018年06月25日

 相続や後見に関するご相談をいただくことが非常に増えていますが、その中で、高齢者の女性から「女性弁護士に財産管理などをお願いしたい」という要望をいただくこともあります。  後見などの業務を行う上で、ご本人の状況を確認する必要などもありますので、定期的にご自宅に伺います。  それを考えると、女性の依頼者の方が、後見人などに女性の弁護士の就任を希望されるお気持ちも分かります。  当事務所では、女性の相談者の希望に応じて、女性弁護士による相談を実施しております。  補助・保佐・後見人の候補者に推薦することもできますので、お気軽にご相談下さい  ※法定後見制度を利用する場合、誰を選任するかは最

セカンドライフを安心して過ごすために

2018年05月13日

 セミナーや法律相談を通じて、ご自身のセカンドライフについて、心配という声を多く伺います。  「この制度を使えば、全てが解決!」 というものがあれば、良いのですが実際には家族の状況や、その方の希望に応じて制度を使い分けていく必要があります。  例えば、自分が持っている賃貸物件の管理は長男に任せて、自分は自宅で生活しながら、認知症になってしまったら自宅を売却して、有料老人ホームに入る、自分が亡くなったら自分の財産は家族で分けて欲しい、ということを希望されている場合、民事信託、任意後見契約、遺言を作成しておくことなどが考えられます。  また、相続税が心配という場合には、相続税対策も検討する必

インターネットを使った取引と、相続手続

2018年04月05日

 以前、このコラムでデジタル機器やインターネットと相続に関する記事を書きました。  その後、ご依頼をいただいた案件の中で問題になったこともありましたので、改めて記載したいと思います。  ある方が亡くなった時点で、相続が発生します。  残されたご家族が、その亡くなった方の財産を把握していれば良いのですが、そうでない場合には、亡くなった方の通帳や郵便物などを調べるなどしてどのような財産があるかを探すこととなります。  ただ、最近はペーパーレスが進んでいることから、紙の通帳がなかったり、金融機関からも連絡もメールで済ませているケースも多いようです。  そのため、亡くなった方のパソコンやス

成年後見制度が広まらない理由は??

2018年02月26日

 地域包括支援センターで、ケアマネジャーの方や社会福祉士の方とディスカッションをする機会が定期的にあります。  そこでよく話題になるのですが、成年後見制度が広まらない理由は何か、ということです。  介護保険制度と同時に発足して、もう15年以上経ちますが、なかなか制度が活用されていない、というのが、現場で働いている方の認識とのことです。実際、統計資料などを見ても、同じように感じます。  いろいろと理由はあるの思うのですが、誰かに財産を管理してもらう、ということに対して、アレルギーというか抵抗感がある方が多いからではないでしょうか。その管理をする人が第三者であればなおさらのことだと思います。

遺言書の無料診断について

2018年02月18日

 「終活」がブームになっています。  そのためか遺言書を作成されてる方が、以前よりも増えてるような気がします。  ただ、ご相談をいただく中で遺言書を確認させていただくと、必ずしもご本人が希望する結果を実現できないリスクがあったり、またた遺言を執行する際にに問題が生じそうな遺言を見かけることもあります。  遺言はご本人の希望を叶えるために残す物ですから、希望が実現できなければ意味がありません。そのため、亡くなった後に初めて問題があることに気がつく、ということは避ける必要があります。  当事務所では相続に関する相談に関しても無料相談を実施しておりますが、それに加えて、ご自身だけで作成された

セミナーの難しさについて

2017年09月11日

    ここ数年、セミナーをご依頼いただく機会にめぐまれています。     テーマは、そのときによって異なりますが、最近では、遺言、成年後見制度など高齢者の方の財産管理に関するテーマを多く取り扱っています。また、一般の方を対象としたものだけでなく、医師・看護師、介護職、社会福祉士など専門職を対象としたセミナーも実施しています。  ただ、セミナーは「独特の難しさ」を感じます。  こちらが伝えたい、大切だと思うことと、参加者の方が知りたいと思うことは、必ず一致するわけではありません。  そのため、主催者の方と打ち合わせをするのはもちろんのこと、事前に参加を予定されている方に「聞いてみたいこ