遺産分割に関する案件をご相談いただく中で、「被相続人が亡くなる前の預貯金の管理」が問題となることが、増えています。
例えば、お父さんと長男家族が同居している家族がいるとします。
この時、お父さんから依頼を受けて、長男家族がお父さん名義の預貯金を管理することもあります。
このような場合、お父さんが認知症になってしまったとしても、成年後見制度を利用しないで、そのまま管理を続ける方も多いのではないでしょうか?
このようなケースでは、お父さんが亡くなった後、「お父さん名義の預貯金の使い道」が問題になることがあります。
管理を続けている中で、お父さんのために使ったことを1円の誤差もなく証明できれば問題は生じません。ですが、同居の家族の場合、そこまで厳密にやられている家庭は、ごく少数だと思います。
そのため、誤差が生じてしまうこともありますが、この「使途不明金」を預貯金を管理をしていた人達が使い込んだのではないか、ということで問題になることが増えています。
このような場合、まずは管理をしていた方に「何に使ったか」を説明してもらうと共に、①お父さんの認知症の症状や程度、②使途不明金の金額、③引き出しの頻度や1回あたりの金額、④同居していたのか、施設に入居していたのかなどの個別具体的な事情から、判断をしていくことになります。
ですが、これはお互いに非常に大変な作業になりますし、感情的な対立があおられてしまうことにもなりかねません。
このような問題が起きないようにするために、どのような対策が可能でしょうか。
まず、お父さんに後見制度の利用しておくことで、後見人として法的な根拠に基づいて預貯金を管理することが考えられます。また、もし長男の預貯金の管理に疑問がある場合には、親族はご本人が生きている時から確認し、おかしいと思えば積極的に後見制度を利用して適正に預貯金を管理することも考えられます。
遺産分割の場面では、感情的な対立が生じてしまうことがありますが、このような生前の使途不明金の問題は、それを増幅させてしまう可能性もあります。
このような問題が起きないようにするためにも、後見制度の利用をお勧めします。
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