相続税制の改正に伴い、相続や遺言についての関心が高まっているようにも思えます。
それでは、遺言を作成している人は、全国でどれくらいいるのでしょうか?
日本公証人連合会のHPに公表されている資料によれば、平成26年における公正証書遺言の作成数は、10万4490件ということです。
平成25年は9万6020件、平成24年は8万8156件ということなので、ここ数年で公正証書遺言を作成している人が増えていることが分かります。
自筆証書遺言はご本人のみでも作成できるので、作成数を正確に把握することは不可能だと思いますが、公正証書遺言の作成数が毎年増えていることからすれば、自筆証書遺言の作成もここ数年で増えているのではないでしょうか。
ですが、まだまだ遺言を作成される方は少ないのではないかと思います。
その原因として、遺言を作るという文化が根付いていない、きっかけがないという声も聞きますが、「自分の家族には争いが起きないから、遺言を作成しなくて大丈夫」という考えも、遺言作成を妨げる要因の一つではないでしょうか。
たしかに、遺言がなくても争いが起きない、というところも多いと思いますが、遺言が残されておらず、実際に遺産分割でもめてしまっている方に話しを聞くと、「『うちの子ども達は争うことはないから大丈夫』と生前、親はよく言っていました。」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
遺言はその方の最後の意思表示と言われるように、遺言が残されていれば、亡くなったあとでもご自身の意思を表明することが出来ます。
遺言があることで、相続人も亡くなった方の意思が分かるので、それによって余計な争いが起きるのも未然に防ぐこともできます(もちろん、遺言が残されていれば必ず紛争の発生を防げる、というわけではないのですが、一定の効果が期待できます)。
ご自身が亡くなった後に、残された家族に争いが起きないようにするためにも、遺言の作成を検討されてみてはいかがでしょうか。