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遺言を作る上で気を付けたいこと

2015年08月05日

 今回は遺言を作成する上で気をつけることをお話ししたいと思います。
 遺言を残しておくことで、その方が亡くなった後にご自身の財産をどのように処分したいのか、意思表示をすることが出来ます。
 例えば、相続人として子どもが3人いる場合、介護をしてくれた子どもに多く渡したいと思ったら、そのことを予め遺言に残しておくことで実現することもできます。
 ですが、遺言を残しておく方法を間違えてしまうと、結果として作成した方の意思が反映できない場合もあります。
 まず、遺言は要式行為とされ、法律に定められた形式を満たさないと無効になってしまいます。つまり、せっかく「遺言」を作っても、要件を満たさなければ遺言が無い状態と同じになってしまいます。
 例えば、ICレコーダーで音声に残しておく、またビデオカメラで動画で「遺言」として残しておいても、無効です。パソコンのワープロソフトで作成して印刷することも考えられますが、それだけでは遺言としては無効になってしまいます。
 民法が定める、普通の方式による遺言は①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言があります(特別の方式による遺言については、説明を割愛します)
 自筆証書遺言の作成には、費用もかからないし、自分だけで作成が出来るというメリットがあります。
 反面、要式を満たしているかどうかをきちんと確認しておかないと、無効になってしまう恐れがあります。また、自分しか知らない場所に隠していると、死後に発見されないといったデメリットが考えられます。また、遺言書に記載する言葉の使い方によっては、ご本人の意思が反映されない場合も考えられます。
 公正証書遺言の作成は、遺言者が希望する遺言の内容を、公証人が文書にまとめて作成するものです。
 公証人が関与するので一般的に信用性が高いとされており、要式を満たさないということも原則としてありません。また、公証役場において原本は保管されますし、遺言者が亡くなった後、相続人が公証役場に遺言の有無を問い合わせるということもできます。
 反面、証人2名が必要なので、公証人と証人には内容が分かってしまうこと、作成手数料がかかってしまうということが挙げられますが、メリットの方が大きいのではないかと考えます。
 秘密証書遺言は、遺言証書自体の作成には自筆が要求されていないこと(署名・押印は必要)、内容を第三者に秘密にできること、遺言書の存在自体は公証役場に記録されることはメリットとして挙げられますが、遺言証書の内容の問題や、遺言証書自体の保管は自分で行う必要があるため、紛失などのおそれは残ります。
 いずれの方式で作成するにしても、遺言者がどのような希望を持っているのか、そのためにどのような内容にするのかを十分に検討する必要があります。
 そのため、遺言作成を考えられたら、一度弁護士に相談されることをお勧めします。