Column

突然の相続で慌てないための準備とは?知っておきたい相続リスク診断⑳

2025年07月21日

前回は架空の法律相談を基に、突然相続手続きをしなくてはいけなくなった方が気を付けるべきことについて触れました。
今回は具体的に手続きをどのように進めていくのかを見ていきましょう。

手続きを進めるにあたって注意することは?

弁護士: お話をお聞きした中で、いくつか重要なポイントがありますので、ご説明しますね。

相談者: お願いします。

弁護士:まず、相続放棄は自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。
3カ月は長いと思われますが、調査などに時間がかかることを考えると出来る限り早く動く必要があります。

相談者: えっ、そんなに短い期間なんですか?

弁護士: はい。お父様に借金などの負債があった場合、そのままでは相続人であるお母様、あなた、妹さんがその責任を負うことになります。
まだ財産の全容が分からない状況でしたよね?

相談者: そうです。正直、借金があるかどうかも分からないんです。

弁護士: だからこそ、早急に財産調査を行う必要があります。預貯金、不動産、生命保険、そして負債も含めて全体像を把握しなければなりません。
また3か月の期間中であっても、遺産を処分したりすればその時点で相続をしたものとみなされてしまいます。

相談者: 知りませんでした。それは怖いですね。

弁護士: 逆に遺産が多い場合には相続税申告を行う必要があります。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の数」で計算されます(2025年6月現在)。
今回の場合お母様、あなた、妹さんの3人が相続人ですので、4,800万円が基礎控除額になります。原則として、これを超える遺産があれば相続税申告が必要とされます。

相談者: 4,800万円ですか。不動産を含めると場合によっては超えてしまう可能性もあると思います。

弁護士: 相続税申告における不動産の評価は、皆さんが想像する以上に複雑です。特に相続税の申告はお父様が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。また税理士の先生とも連携をして対応した方がいいですね。

相談者: そうなんですね。そうなると余計に早く動いた方がいいですね。

弁護士: そして遺産分割の問題もあります。
お父様の遺言書がない場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもたちで2分の1となります。つまりお母様が2分の1、あなたと妹さんがそれぞれ4分の1ずつです。ただし、具体的にどのように分けるかは、全員での話し合いが必要です。

相談者: 妹との話し合いはとても心配です。

弁護士: 遺産分割協議では、相続人全員の同意が必要です。一人でも反対すると成立しません。また、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所での調停や審判になる可能性もあります。

相談者: 裁判になったら、費用も時間もかかりそうですね。

弁護士: そのとおりです。だからこそ、早い段階での適切な対応が重要なんです。そのためトラブルが起こりそうな場合には弁護士に依頼をいただき、対応することが有用です。

相談者: 具体的にはどのようなことをしていただけるのでしょうか?

弁護士: まず、財産調査を行います。必要書類の取得も含めて、平日お忙しい方に代わって手続きを進めることができます。
また遺産分割についても、最適な分割方法をご提案し、妹さんとの話し合いもサポートします。その上で、必要に応じて税理士の先生のご紹介も行います。

相談者: それは助かります。

弁護士: 今回のように、突然の相続で事前の準備も全くできていなかった場合、早めに対応を任せることをお勧めします。
手続きの漏れや期限切れによる不利益を防ぐことができますし、結果的に時間と費用の節約にもつながります。

相談者: 分かりました。まずは母にも今日の話をして、一緒に依頼に伺います。

まとめ

今回は突然の相続に直面した際の注意点と対策をご紹介しました。
相続の手続きには期限があり、知らないうちに重要な選択肢を失ってしまうリスクがあります。

当事務所の「相続リスク診断」では、具体的なリスクや考えられる問題を分析し、効率的な手続きの進め方を提案します。

突然の相続でお困りの際は、一人で悩まず、早めにご相談ください。

相続・遺産分割について、初回90分無料相談を実施しております。お気軽にご相談ください!