「亡くなったお父さん名義の自宅について、とりあえず法定相続分で共有することにした。」
相談の中で、このような事実が分かることもあります。
ただ相続した不動産を共有状態としておくことで、後々深刻なトラブルになることがあります。
当事務所の「相続リスク診断」は、問題が起こる前に潜在的な危険を見つけて対策する予防サービスです。病気の早期発見と同じで、早めの対策がご家族の平和を守ります。
今回も架空のご相談者からの法律相談をベースに、共有不動産の相続リスクと対策をご紹介します。ぜひご自身やご家族の状況と比べてみてください。
見えない相続の危険を見つける相続リスク診断
相談者 60代 女性
弁護士:本日はご相談いただきありがとうございます。
どのようなことでお悩みでしょうか?
相談者:5年前に父が亡くなり、実家の土地と建物を私と弟で相続しました。父の遺言はなく、母は20年前に亡くなっていましたので、私と弟で2分の1ずつ相続することになったんです。
弁護士:なるほど。現在その不動産はどのような状態ですか?
相談者:弟が住んでいます。私は結婚して別の場所に住んでいるので、弟に自由に使ってもらっています。固定資産税は2人で折半して払っていますよ。
弁護士:なるほど。
相談者:実はここ数年、いろいろあって弟と連絡が取りにくくなっているんです。固定資産税の支払いの話をする時くらいしか連絡を取っていません。
特に大きなもめごとはないのですが、何となく気まずい関係になっています。
弁護士:それは少し気になりますね。その不動産について、将来的にどうしたいとお考えですか?
相談者:正直なところ、私自身は住むつもりはないので、いずれは売却して現金化したいと思っています。ただ、弟は今後も住み続けたいようなので、売却の話はしづらいです。
弁護士:この不動産の評価額はどれくらいでしょうか?
相談者:東京の郊外なので、土地だけでも5000万円くらいはすると思います。建物は古いですが、土地の価値が上がっているようです。
弁護士:ご兄弟の他に、何かこの不動産に関わる方はいらっしゃいますか?例えば、弟さんのご家族など。
相談者:弟は離婚しており、子どもが一人います。弟と一緒に住んでいますが、どうやら最近失業したようです。
私には息子と娘がいます。二人とも成人していて、独立しています。
弁護士:お話を伺う限り、現在は大きなトラブルはないようですが、将来的に相続や売却の際に問題が生じる可能性がいくつか見えてきます。
相談者:そうなんですか?具体的にはどんな問題がありますか?
この事例ではどこに問題があるでしょうか?
不動産の処分について、先延ばしにされる方も多くいらっしゃいます。
ただ共有にしてしまうことで、別な問題が生じしてしまうこともあります。
今回もご相談者が気づいていない複数の相続トラブルのタネが多く隠されています。
次回は、問題点とその対策について詳しく見ていきましょう。