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「専門家に頼まなくても大丈夫?自筆証書遺言のリスク」知っておきたい相続リスク診断⑧

2025年06月23日

前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。
今回の相続トラブルのタネとは何でしょうか。
早速見ていきましょう。

自筆証書遺言に潜むリスク

相談者: リスクですか?自分でもインターネットで調べて書いているので、問題ないと思っていたのですが…

弁護士: 自筆証書遺言には気をつけるべきことがいくつもあります。
まず、形式不備による無効のリスクです。
例えば、本来、自筆で作成すべき部分をパソコンで作成してしまっていたり、日付などがなかったり、押印が適切でなかったりすると、せっかく書いた遺言が無効になる可能性もあります。
またエンディングノートに書いただけでは、一般的には遺言書として認められない可能性が高いですね。

相談者: エンディングノートだけでは駄目なんですね・・

弁護士: また表現の不明確さによるトラブルのリスクもあります。
「その他の財産は3人で平等に分ける」という表現ですが、具体的にどの財産をどのように分けるのかを巡って争いになることがあります。

相談者: たしかに、具体的な分け方まで書いていませんでした。

弁護士: 特に不動産のように分割しにくい財産があると、結局は遺産分割協議が必要になり、相続人同士の関係悪化につながることもあります。
またご長男に会社の株式をすべて相続させるとなると、その評価をどうするか問題にもなります。

相談者:うちの会社は小さい会社ですから、株式自体にはそこまで価値はないと思いますよ?

弁護士:いえ、会社の業績や会社名義の資産次第で、評価額が高くなるケースも多くあります。またそれに関連して、他の相続人の方の「遺留分」についても検討をしておく必要があります。

相談者: 遺留分というのは、必ず相続できる分という意味ですよね?

弁護士: 遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された権利のことです。お子さんや奥様には法定相続分の2分の1の遺留分があります。
これらに配慮をしておかないと、トラブルが生じることもあります。

相談者: それは知りませんでした…

弁護士: さらに重要なのは、相続開始後の紛争リスクです。
自筆証書遺言は法務局での保管手続をしない限り、紛失や改ざんのリスクがあります。また「これは本人が書いたものではない」といった疑いが生じると、最悪の場合は「遺言の有効性」を巡って裁判になることもあります。

相談者: 裁判になると、かなりの弁護士費用がかかりますよね?

弁護士: そのとおりです。相続トラブルが裁判になった場合、弁護士費用が数百万円に上ることもあります。

相談者: 節約しようと思ったことで、それ以上のお金がかかってしまうこともあるんですね。でも公正証書遺言にすれば安全なのでしょうか?

弁護士: 公正証書遺言には大きな利点があります。まず公証人が関与するため形式不備のリスクはほぼありません。
また弁護士と一緒に作成すれば内容も明確になります。それに原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんのリスクがなく、検認手続も不要です。

相談者: 公正証書遺言の費用はどれくらいかかるのでしょうか?

弁護士: 公正証書遺言自体の手数料は、財産額によって異なりますが、高くても十数万円で収まることが多いです。相続トラブルが発生してしまった場合にかかる費用や手間を考えると、十分に価値のある投資と言えます。

相談者: なるほど・・・自分が考えていたよりずっと複雑なんですね。
特に会社の株式や不動産について具体的に考える必要がありそうです。

相続リスク診断をお勧めします

弁護士: そのような場合こそ、当事務所の「相続リスク診断」サービスが役立ちます。あなたの財産状況や家族関係を詳しく分析し、どのような相続リスクがあるかを洗い出します。そして、最適な対策を提案させていただきます。

相談者: そうなんですね。
その相続リスク対策まで弁護士さんにお願いした場合、具体的にはどのようなことをしてもらえるのですか?

弁護士: 例えば、遺産目録の作成をお手伝いし、不動産や株式の評価額を把握します。
その上で、相続人それぞれの法定相続分や遺留分を計算し、あなたの希望に沿った遺産分割プランを検討します。特に事業承継も併せて、様々な選択肢をご提案できます。

相談者: 生前対策もできるんですね。

弁護士: はい。場合によっては生前の財産承継プランニングも含めて、総合的な対策をご提案します。これにより、将来の相続トラブルを未然に防ぎ、お子さん同士の関係悪化も防止できます。何より、膨大な弁護士費用がかかる相続紛争を避けることができるのです。

相談者: わかりました。自分だけで考えるのは限界がありそうですね。
まずは「相続リスク診断」をお願いしたいと思います。
会社を守ることも、子どもたちの関係も大事にしたいので。

まとめ

今回は自筆証書遺言に潜む見えないリスクをご紹介しました。
特に事業承継を含む複雑なケースでは、専門的なアドバイスなしに進めることで、予想外のトラブルにつながる可能性があります。

当事務所の「相続リスク診断」では、具体的なリスクや考えられるトラブルを分析し、それを防ぐための対策を提案します。

早めの準備が家族の平和と財産を守ります。 ぜひご相談ください。

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