前回に引き続き、被相続人を介護したことが相続の場面でどのように評価されるかについてお話します。
被相続人の方が遺言を残していない場合、法定相続分に基づき遺産が分割されます。
これはあくまで原則なので、相続人同士で話し合いをして法定相続分と異なる割合での分割を行う場合もあります。例えば、相続人全員で、介護をした相続人の割合を高くするという合意をすることが考えられます。
他方で、そのような合意ができない場合、介護をしたことが「被相続人の療養看護」に当たるとして、寄与分(民法904条の2)に基づく法定相続分の修正を行うことが考えられます。
ちょっと専門的な用語が並んでしまいましたが、法律上の要件を満たせば法定相続分を一部修正することができる、というように理解していただければと思います。
ただ、この寄与分としての療養看護が認められるハードルは高いと言えます。
まず親族間には扶養義務が認められるため、これの範囲内であると認められる場合には、「特別の寄与」(民法904条の2)があったとは評価はされません。
それを超えるものであったとしても、そのまま寄与分として認められるわけではありません。
一般的には、①被相続人の状態(客観的にどの程度の介護が必要だったのか、認知症を患っていたのか、その程度など)がどの程度であったのかということを前提に、②その介護に対価をもらっていないこと、③療養看護が長期間に及んでいること、④専従性が認められることなどと言った要件をクリアする必要があります。
その上で、相続人の行った行為が、被相続人の財産(遺産)の維持・増加につながったという関係が必要になります。
このような要件を満たしたとしても、その評価額は納得できるものになるという保証もありません。
またヘルパーさんを入れていた場合や、ショートステイなどを利用していた場合には、その期間は寄与分においては考慮されない、という考え方もあります。
このように、介護は相続の場面では評価されづらいというのが率直な印象です。
そのためこのような事態を防ぐためには、事前に対策をしておくことが必要です。
この点については、また次回にお話をさせていただきます。
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