成年後見(法定後見制度)を利用しようとする方が気になるのは、実際に成年後見人などにはどのような人が就任するのか、という点です。成年後見などの開始の審判を家庭裁判所に申し立てる際には、後見人などの候補者を裁判所に伝えることが出来ます。
例えば、夫が認知症になってしまったので妻が自分を後見人の候補者として申立をするような場合です。
ここで、成年後見人などになるために、特殊な資格は要求されていません。 なお、法律上は、①未成年者 ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 ③破産者(復権をしていない人)、④被後見人に対して訴訟をし、またはした者、並びにその配偶者及び直系血族、⑤行方の知れない者は後見人、保佐人、補助人になることはできないとされています。
成年後見人などは本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しなければならないとされています。家庭裁判所は本人の状況や、必要とする支援の内容、候補者の状況などの状況を審理した上で、成年後見人を選任しますが、候補者以外が選ばれることもあります。先程の例でいうと、専門職による支援が必要だと判断された場合、弁護士が選任される可能性もあります。
最高裁判所事務総局 家庭局が公表している資料によれば、平成25年に成年後見人などに選任されたのは、本人の子が最も多いのですが、弁護士や司法書士といった専門職も多く選任されています。
なお、成年後見人などが後見事務を行った場合には、本人の財産から報酬が支払われますが、これは裁判所の審判に基づいて額が定まります。東京家庭裁判所の公表した資料によれば、専門職に対する報酬の目安としては月額2万円程度とされていますが、管理する財産が多い場合には増額されます。
また、通常の後見事務を超えて特別な行為をした場合には、別途報酬が発生します。