前回に引き続き、相続の時の使途不明金問題についてお話しします。
被相続人が亡くなったあと、生前の預貯金の使途について、相続人間でトラブルが起きてしまったケースを想定します。
次のようなケースです。
・被相続人Aさん(相続人は長男Bさん、長女Cさんのみ)
・長女Cさんが同居し、預貯金を管理。
・Aさんが亡くなったあと、長男BさんがAさんの預貯金通帳を見て、亡くなる数年前の預貯金の使途について、疑念が生じた。
この場合、BさんとCさんとの間で生前の預貯金の使途について争いが生じてしまうと、遺産分割協議に入ることができない場合があります。
遺産分割協議においては、対象となる遺産の特定が必要になってきますが、もし使途不明金がある場合には、それも遺産に含まれる可能性もあります(正確には、AさんからCさんに対する不当利得返還請求権か損害賠償請求権が遺産に含まれる可能性があります)。
そうなると、この使途不明金の問題を解決してからでないと、遺産分割協議に入ることできない、となりますが、その使途不明金問題の解決が長引けば、余計に時間がかかることになります。
場合によっては、裁判で決着をつける必要もあり、遺産分割協議に入るまでに1年以上を要する、といったことも考えられます。
(もちろん、使途不明金と遺産分割の問題を分けて協議することも可能ですが、そのためには相続人全員の同意が必要になります)
またこの使途不明金問題の解決には、手間と時間がかかります。
・当時の被相続人の判断能力の状態
・引き出したのは誰か
・引き出したお金の使い道
・それが被相続人のため、もしくは被相続の意思に基づくものか
などを一つ一つ検討していく必要に迫られます。
そのため、使途不明金問題が生じてしまうと、全体的な解決の時間が長引いてしまいます。
このように、遺産分割の前哨戦のような形で裁判にまで発展する可能性がありますので、このような問題が生じたら速やかに弁護士にご相談下さい。
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