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遺言を作成しておいた方がいいケースについて

2015年11月23日

 今回は、特に遺言作成をおすすめしているケースについてお話しします。
 当事務所では遺言がなく、遺産分割協議も難航している件について、ご相談を頂くことも多いのですが、遺言を作成しておけば紛争の発生を予防できたり、また紛争の拡大を防止できたりする事案を多く見かけます。
 そのように問題が起きてしまっている事案から考えて、次のような場合には特に遺言作成をお勧めしています。
 ①ご本人が建物(一戸建てやマンション)を所有しており、そこに推定相続人の一人と同居している場合
 不動産をどう分けるかというのは、遺産分割の際には問題になります が、特にそこに相続人の方の一人が住んでいる場合には特に問題となり、長期化するケースが多く見られます。
 ②ご本人が推定相続人の一人から介護を受けている場合
  被相続人の方に対して行った介護について、遺産分割の場面でどのように評価するかは大きな問題になります。
 ③ご本人が推定相続人の一人に生活費の援助をしている場合
  これも②と同様に、生活費の援助を行っていたことを遺産分割の場面でどのように評価するかも大きな問題になります。
 ④ご本人が推定相続人の一人に財産管理を任せている場合
  後見制度などを利用している場合は別ですが、そうでない場合には遺産分割の場面で「使途不明金」などの問題が出てくるなどして、遺産分割協議が長期化することもあります。
 その他、遺言を作成しておいた方がいい場合は多く存在しますが、紛争を防ぐという意味では、上記に当てはまる場合には、遺言作成を検討することをお勧めしています。
 また、④のような場合には、遺言作成だけではなく、任意後見契約などを使って、財産管理の方法を明確にしておくことも、相続の場面で紛争を防止する観点からも大切です。