前回は架空の法律相談を通じて、遺産分割を先送りすることに危険性があることをお伝えしました。
今回は具体的にどのようなことが起きうるのか、それを防ぐためにどのようなことをすべきなのかについてお話しします。
預貯金を巡るトラブル
弁護士: まず、金融機関との関係では、亡くなった方名義のまま預貯金口座を利用すること自体が、問題があります。
ただ、それ以上にお父様名義の預貯金を制約なく使ってしまう方が、後々トラブルになります。
相談者:それはどういったトラブルでしょうか?
弁護士:お母様が介護施設に入所する必要が生じるなど、大きなお金が必要になった時点で、お父様の預貯金が0になっている、と言われるケースです。この場合、「本当に全部母のために使ったのか」という疑念が生まれることで、トラブルになってしまうことがあります。
相談者: それは・・・兄に聞けばわかるのではないでしょうか?
弁護士: お互いに冷静に話し合うことが出来ればよいのですが、使い込みを疑われたということで感情的になってトラブルになってしまうケースがみられます。
相談者: なるほど・・・
弁護士: そうでなくとも、金融機関としては何らかのきっかけでお父様が亡くなったことを知った時点で、口座を「凍結」します。そうなればその時点で引き出しをすることができなくなります。
相談者:それは聞いたことがありますね。たしかにいつ凍結されるか分からないのは不安ですね。
弁護士:その時に遺産分割協議をすることも考えられますが、お母様が認知症などになってしまっていては、それもできなくなります。
不動産を父名義にしておくことのリスク
弁護士: さらに、不動産は一定期間内に相続登記を行うことが義務化されています。
また将来不動産を売却しようと思っても、お母様が認知症などで判断能力が低下した場合、遺産分割協議ができなくなり、不動産の処分にも支障を来たします。
相談者:たしかに、母がこのまま元気で暮らしていける保証はないですもんね・・・
今すぐ取るべき対策
弁護士: そのため、きちんとした遺産分割協議を行うことです。
相談者: でも、母に全部相続させたいという気持ちは変わりません。
弁護士: その場合でも、正式な遺産分割協議で「母がすべて相続する」と決めれば問題はありません。
きちんとした手続きを踏み、遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更、預金の解約・名義変更を行います。
相談者: それなら安心ですね。
適切な遺産分割の進め方
弁護士: お兄様にも、きちんと手続きをすることのメリットを理解してもらう必要があります。
お母様の財産として明確にしておくことで、将来お母様の介護費用が必要になった時も、不動産の売却も容易に行うことができます。
相談者: 兄もそこまでは考えていなかったと思います。
弁護士: さらに将来お母様が亡くなった時の相続対策として、一部の財産をあなたも含めて相続しておくことも考えられます。
例えば、実家はお母様が相続し、預貯金の一部をお兄さんとあなたが相続しておくことが考えられます。
それにより、お母様がに何かあった時にも、預貯金を使えるようにしておくことも考えられますね。
相談者:たしかに。もう少し柔軟に考えることが母のためになるかもしれませんね。
弁護士:そうですね。そのため、まずはフラットにいろいろな可能性を考えてみることが大切です。
相談者:分かりました。父の遺産分割について、一緒に検討してください。
相続リスク診断で家族の未来を守る
今回のケースのように、「とりあえず配偶者が取得しておけばよい、名義変更は後でいい」という判断が、将来の深刻な相続トラブルを引き起こすことがあります。
遺産分割の先送りは、使途不明金の問題や、適切な時期に財産を処分できなくなるなど、様々なリスクを生み出します。
当事務所の「相続リスク診断」では、お客様の状況を詳しく分析し、潜在的なリスクを洗い出します。そして、家族の関係を守りながら、適切な遺産分割を実現するための最適な方法をご提案します。
相続は「今困っていない」からといって放置すると、取り返しのつかない事態を招きます。早めの対策が、家族の財産と絆を守る鍵となります。
相続・遺産分割について、初回90分無料相談を実施しております。お気軽にご相談ください!