Column

「母が全部相続するから大丈夫」その考えが招く相続トラブル②

2025年11月10日

前回は架空の法律相談を基に、遺産分割協議を先延ばしにしてしまうことのリスクについて触れました。
今回は具体的にどのようなトラブルが生じうるのかを見ていきます。

遺産分割を先送りすることの隠れたリスク

弁護士: まず最も大きな問題は、二次相続、つまりお母様が亡くなったときの相続です。今回の遺産分割協議を行わないと、将来的に大きなトラブルになる可能性があります。

相談者: どういうことですか?母が亡くなったときに、私たち兄弟で分ければいいのではないですか?

弁護士: 実は、そう単純ではありません。
遺産分割の問題においてご両親が亡くなったあとに、遺産の分け方を巡ってトラブルになってしまうケースは多々あります。
ご両親のうちどちらかがご健在の場合には言えなかったことも、亡くなったあとでは遠慮なく言えるというのもあります。

相談者:言われてみれば、兄は父の介護が大変だったのに、お前たちは何もしなかった、と愚痴を私達に言っていました。

弁護士:相続トラブルでご相談、ご依頼される方にも、相続が開始するまでは兄弟姉妹の仲はとても良かったという方がいらっしゃいます。

相談者: そうなんですね・・・

不動産の名義変更を放置するリスク

弁護士: また、不動産の名義を亡くなった方のままにすることも問題です。2024年から相続登記が義務化され、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記をしないと過料が科される可能性があります。
また亡くなった方名義のままだと、将来売却や活用をする際の障害にもなります。
弟さんが海外にいらっしゃるということであれば、例えばお母さんの施設費用を捻出するためにすぐ売りたい、となった時にスムーズな対応ができない可能性があります。

相談者: そうなんですね・・・軽く考えていたかもしれません。

弁護士: また、考えたくはないですが、あなた自身も含めて、ご兄弟が突然亡くなってしまう可能性もあります。
その場合、ご兄弟の配偶者や甥姪と話し合いをしなければならなくなりますが、場合によってはここでトラブルが生じてしまう可能性もあります。

相談者:たしかに、甥や姪とはそこまで深いつながりはないですからね・・

早期の遺産分割協議をお勧めする理由

弁護士: 今なら、お母様もお元気ですし、兄弟の皆さんも話し合いができる状況です。この時期に遺産分割協議を行い、将来を見据えた分割方法を決めることが大切です。
また相続税の申告が必要かどうかもきちんと見極める必要があります。

相談者: なるほど・・・でも遺産分割協議書の作成はどうすればいいか分かりませんし、なにが私達にとって一番良いのか分かりません。

弁護士: だからこそ、弁護士のサポートが重要になります。
詳しくご事情を伺い、遺産分割方法をご提案します。相続税についても、税理士の方と連携をして対応していくことも可能です。

相談者: たしかに今のうちにきちんと対応しておいた方が良さそうですね。母のためにも、私たち兄弟のためにも。
遺産分割の話し合いをサポートしていただきたく思います。

まとめ

今回は、「母が全部相続すればいい」という考えに潜む相続リスクをご紹介しました。一見簡単に思える相続も、将来的に大きなトラブルの種となる可能性があります。

当事務所では、トラブルを予防するためにも、ご家族にとって最適な遺産分割方法をご提案します。
早めの対策が、家族の平和と財産を守ります。

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