前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。相談者が気づいていない複数の相続トラブルのタネが隠れています。どんな問題点があるか見ていきましょう。
弁護士に依頼すべき理由と解決への道筋
調停を自分で行うリスク
弁護士:まず遺産分割調停においては、ご自身で主張を行い、それを証明する資料を提出する必要があります。
介護を行ってきたことや使途不明金があることなども、それを法的に整理して、主張していく必要があります。
相談者: そうなんですね。遺産分割調停は調停委員の方が間に入ってくれるので、なんとかなるのかと思っていました。
弁護士: 調停委員はあくまで中立の立場で話し合いを整理し、解決に向けて進行をするという役割をもっています。そのため、どちらにも法的なアドバイスをしてくれるわけではありませんし、どちらの味方というわけでもありません。
弟さんが法的知識を持っていたり、弁護士に依頼をした場合、ご自身できちんと反論ができないと不利な結論になる可能性もあります。
相談者: 弟が弁護士を付けてくる可能性もあるんですね。
弁護士: その可能性は十分あります。
専門知識が必要な場面も
弁護士: 今回のケースでは、まず「寄与分」の主張をきちんと整理する必要があります。
弟さんが主張されている事業への貢献やあなたの介護についても、法的に整理をした上で、どの程度の寄与分が認められるかを主張・立証していく必要があります。
相談者: そうなんですね。
弁護士: また、預金から引き出された1000万円についても、銀行の取引履歴を取り寄せ、不当な引き出しがあったかどうかを立証する必要があります。場合によっては、調停ではなく民事裁判手続の利用も検討する必要があります。
相談者:使い道がはっきりしない、だけではダメなんですね。
戦略的な解決へのアプローチ
弁護士: さらに重要なのは、着地点を見据えた上での対応です。
お母様に不動産を相続させたいというご希望ですが、これを実現するには他の相続人との調整が必要ですし、特に法定相続分を超えるとなると、弟さんに代償金を支払う必要が生じることも考えられます。
ただそれによってお母さんの今後の生活費が圧迫されてしまっては問題になります。
相談者: 言われてみればそうですね。
弁護士: そのため、この遺産分割とその先のお母さんの生活などを見据えて、手続きを進めていった方が良いかと思います。
相談者: やはり最初から弁護士さんにお願いした方が良さそうですね。
でも費用が心配で。
弁護士: たしかにご本人のみで調停を来なうことは費用を抑えられるのはメリットとはいえますね。ただ、今までお話ししたように、ご自身の権利を十分に守れない可能性があることがデメリットです。
たしかに弁護士費用は必要ですが、結果的に有利な解決ができれば、その価値は十分にあると考えられます。
また調停が長期化すれば精神的な負担も大きくなります。そのような負担も弁護士に依頼をいただくことで軽減することも可能です。
相談者:分かりました。では費用も含めて、具体的にお話を伺えますでしょうか。
まとめ
遺産分割においては、寄与分や特別受益、使途不明金の問題、実際に遺産をどのように分割するのかというように、複雑な問題がいくつも発生する可能性があります。
遺産分割調停を自分で行うことは不可能ではありませんが、専門知識なしではご私人の権利を守れないといったことも考えられます。
当事務所では、遺産分割調停の豊富な経験を活かし、依頼者様の利益を最大限に実現する戦略を立案します。初回90分無料相談で、まずはじっくりとお話をお聞かせください。早めの対策が、円満で有利な解決への第一歩です。