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遺産分割協議書作成前に預貯金だけ下ろしてしまうことのリスク②

2025年09月24日

前回は架空の法律相談を基に、遺産分割協議をまとめる前に、預貯金だけ下ろしてしまうことの問題点を取り上げました。
今回はどのような対応をすべきかについてお話をします。。

預金の先行引き出しが引き起こすトラブル

弁護士: 合意をした上で預金を先に引き出した場合、お兄さんに遺産分割への意欲が残るかという問題があります。

相談者: それはどういうことでしょう?

弁護士: お兄さんからすれば、預金の半分が入ってきます。ただ、遺産分割協議を進める場合、自宅を失う可能性もあります。このまま住み続けたいお兄さんからすれば、遺産分割協議をするモチベーションが失われる可能性があります。

相談者: 時間をかけて話し合えば解決すると思っていたので・・・

弁護士: 同様のケースで、相続人の一人が遺産分割に消極的になった結果、解決まで長引いたということもあります。
特に不動産を売却するには、相続人全員の同意が必要ですから、お兄さんが「売りたくない」と言っている間は、売却をして分けることは困難です。

相談者: それでは不公平ですね。でも、どうすることもできないのでしょうか?

弁護士: そのためには遺産分割調停を申し立てて、裁判所で解決を図ることになります。

相談者: そうなってしまっては時間もかかりますね。

弁護士: そうなりますので、きちんとお兄さんと遺産分割協議を行い、遺産全体について遺産分割協議書を作成することをお勧めします。

弁護士に依頼することのメリット

相談者: 自分たちだけで進めるのは難しそうですが、弁護士に依頼するとどうなりますか?

弁護士: まず、お兄さんに対して法的な観点から遺産分割の必要性を説明できます。感情的な話し合いではなく、客観的な根拠に基づいた協議ができます。

相談者: それは心強いです。

弁護士: また、不動産の適正な評価に基づき、公平な分割案を提示できます。お兄さんが実家に住みたい場合は、代償金による解決も提案できます。

相談者: 代償金というのは?

弁護士: お兄さんが不動産を相続する代わりに、あなたの持ち分相当額を対価として支払うという方法です。これにより、お兄さんは自宅に住み続け、その上で公平な分割が可能になります。

相談者: 分かりました。では対応をお願いします。力を貸してください。

まとめ

今回は「先に預金だけ引き出す」手続きのリスクを取り上げました。

相続は感情的な対立が生じやすい場面ですし、全員が遺産分割を希望しているとも限りません。そのため、安易に手続きを進めてしまうことは、紛争の長期化を招くことにもなりかねません。

そのため、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

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