Column

「親の預金を任されていただけなのに...」きょうだいから使い込みを疑われた相続問題~解決事例より②

2025年07月26日

この記事でわかること

  • 親の預金管理で疑われがちな「使い込み」問題の実態
  • 判断能力の立証、そのための資料収集が解決の鍵となること
  • 弁護士への早期の相談が重要な理由

「まさか私が疑われるなんて…」

親の介護や身の回りのお世話をしている中で、預金の管理を任されることは珍しいことではありません。
しかし、親が亡くなった後に「使い込み」を疑われ、親族間の関係が一変してしまうケースがここ数年で急増しています。

多くのご家族が同じような辛い経験をされているのが現実です。

ご依頼者の状況

  • 母親から5年以上にわたり預金管理を依頼されていた
  • 主な使途:母親と依頼者の生活費、医療費、介護関連費用など
  • 相続開始後、きょうだいから「数百万円の使い込み」を主張される
  • 不当利得返還請求訴訟(使い込んだお金を返せという裁判)に発展

問題となった点

家族の信頼関係の破綻
長年、母のお世話をしてきた依頼者が、突然「泥棒」扱いされ、精神的なショックが大きい

証拠の収集が困難
5年以上前からの預金の使途を細かく説明する必要が発生

感情的な対立の激化
法的な争いにより、家族関係の修復が困難な状況に

立証の必要性
母親の判断能力・意思能力を「客観的」に証明する必要

解決への道筋

Step1:母親の判断能力を客観的に立証
医療記録、介護記録などを取り寄せて調査を行いました。
被相続人が亡くなるまで十分な判断能力を維持していたことを証明する資料を収集しました。

Step2:時系列での詳細な立証
預金の引き出し時期と被相続人の状況、必要な支出内容を時系列で整理。
被相続人の意思に基づく正当な支出であることを具体的に証明しました。

Step3:積極的な反論と証拠提出
「お金を預かって管理していた」という事実を、客観的な証拠と共に裁判所に提示。使い込みではなく、正当な財産管理であったことを主張しました。

解決結果

裁判所は依頼者の主張を認め、「被相続人が亡くなるまでの預貯金の引き出しなどは全て被相続人の意思に基づく」ことを認定し、その部分の請求を棄却しました。

なぜ早期相談が重要なのか

使途不明金問題は年々増加傾向
ここ数年で相談・ご依頼共に急激に増えているのが「使途不明金」問題です。この問題が解決しないと遺産分割協議も進まず, 相続手続全体が長期化してしまいます。

解決には専門的な対応が必要
使途不明金問題の解決には、法的な知識と豊富な経験が不可欠です。
感情ではなく、客観的な証拠に基づいて主張と証明を行う必要があります。

時間が経つほど証拠収集が困難に
医療記録や介護記録、金融機関の記録には保存期間があります。
時間が経過するほど、必要な証拠の収集が困難になってしまいます。

まとめ・メッセージ

親の介護や身の回りお世話をする中で、預金やお金の管理を任されることはうよくあることといえます。
しかし、親が亡くなった後に思わぬトラブルに巻き込まれてしまうケースが後を絶ちません。

大切なのは「備え」です

  • 預金管理を任された時点から出納帳などの記録を作成すること
  • 親の了解を得た上で、定期的に他の親族への報告
  • トラブル予防のための弁護士への相談

こういったことが考えられます。

そして、もし「使い込み」を疑われてしまった場合は、一人で抱え込まず、速やかに弁護士にご相談ください。
最善の解決に向けて、全力でサポートします

相続・遺産分割について、初回90分無料相談を実施しております。お気軽にご相談ください!