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大家さんが気を付ける相続問題とは? 知っておきたい相続リスク診断⑯

2025年07月12日

前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。
複数の不動産がある場合の相続トラブルのタネとは何でしょうか。早速見ていきましょう。

不動産の評価格差による不平等感

弁護士: お話を伺った限りでは、複数の深刻な相続リスクが潜んでいると思われます。
 まず、不動産の評価額に大きな差が生じるリスクです。自宅、実家、アパートでは立地や築年数、収益性が全く異なります。相続時にこれらを適正に評価すると、思わぬ格差が生まれる可能性があります。

相談者: 格差というのは?

弁護士: 例えば、アパートは収益物件として高く評価される一方、古い実家は建物部分の価値がほとんどなく土地のみの評価になると思われます。むしろ解体費用分がマイナスになる可能性があります。このような評価の違いが、相続人間での不平等感を生む原因となります。

相談者:たしかにそうですね。

弁護士: また、不動産を複数の相続人で共有することになった場合、将来的に大きな問題となります。
例えば、アパートを兄弟で2分の1ずつ共有した場合、売却や大規模修繕などの重要な決定は全員の同意が必要になります。
しかし意見が分かれると何も決められなくなってしまいます。

相談者: それは困りますね。

弁護士: さらに、アパートの管理については大きな問題があります。
現在、相談者さんが管理をされていて、次男さんも関わっているとのことですが、長男さんは全く関与していません。

相談者: そうですね。

弁護士: 相続後も同じ状況が続くと、実際に管理をする人と、単に収益を受け取るだけの人との間で不公平感が生まれます。管理の手間や責任は相当なものですから、これが兄弟間のトラブルにつながることも多いのです。

相談者:次男からしたら面白くないでしょうね。

弁護士: 実家の空き家についても注意が必要です。空き家は管理費用がかかりますし、老朽化が進むと周辺への迷惑にもなります。場合によっては、屋根瓦などが落ちて周りの人をケガさせてしまうかもしれません。

相談者: そんなことが起こったら大変ですね・・・

弁護士: これらの問題を解決する前提としてまず各不動産の正確な評価を行うことが有効です。その上で、それぞれの相続人の希望や能力を考慮した分割方法を検討します。

相談者: 具体的にはどのような方法があるのでしょうか?

弁護士: 例えば、アパート経営に関心のある次男さんにアパートを相続させ、他の相続人には他の財産で調整することが考えられます。
また一部の不動産を売却して現金で分割する換価分割も選択肢の一つです。

相談者: なるほど、いろいろな方法があるんですね。

弁護士: また、生前対策として、贈与や家族信託の活用も検討できます。これにより相続時の負担を軽減し、円滑な承継が可能になります。

相談者:なかなか自分だけでは対応できそうにないですね・・・

弁護士: 複数の不動産がある相続は非常に複雑です。当事務所の「相続リスク診断」では、お持ちの不動産を詳細に分析し、最適な相続プランを提案いたします。

相談者: ぜひお願いしたいと思います。自分だけでは考えつかないことばかりでした。

弁護士: 早めの対策により、ご家族の絆を守りながら、適切な財産承継を実現できます。一緒に最良の解決策を見つけていきましょう。

まとめ

複数の不動産がある相続では、それぞれの性質の違いから様々なトラブルが発生する可能性があります。
特にアパートなどの収益物件と、自宅などの居住用不動産が混在する場合は、管理や評価の問題で相続人間の関係が悪化することも少なくありません。

当事務所の「相続リスク診断」では、具体的なリスクや考えられるトラブルを分析し、それを防ぐための対策を提案します。 早めの準備が家族の平和を守ります。 ぜひご相談ください。

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