Column

「自宅が亡くなった父親名義のままになっている?」知っておきたい相続リスク診断⑫

2025年07月02日

前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。
今回の相続トラブルのタネとは何でしょうか。
早速見ていきましょう。

相続の二重発生と推定相続人の認知症リスク

弁護士:お父様名義の不動産についてですが、これは「お父様に関する相続問題」と「お母様の相続問題」という2つの相続の問題につながります。

相談者:どういうでしょうか?

弁護士:お父様の遺産である不動産について相続手続きが完了していない状態で、お母様が亡くなってしまうと、お父様に関する相続手続とお母様の相続手続きを行わなければならなくなります。

相談者:そうすると何が問題になるのでしょうか。

弁護士:たとえば、お父様の相続人はお母様とお子様たちですが、お母様が亡くなっている場合、お母様の相続分について、さらにお子様たちで分けることになります。
一般的に計算が複雑になり、必要となる書類や手続きも増えてしまいます。

相談者:たしかに面倒そうですね…

弁護士:この場合、お父様名義の不動産について名義変更を先に行うことが考えられます。お母様としてはお父様名義の不動産を全て相続したいと考えられているかと思います。
ただお姉様が現時点で認知症であることは問題になります。
遺産分割協議を行う場合には、相続人全員が参加する必要がありますが、認知症が重度ですと場合によっては法的な判断能力がない、とされてしまいます。

相談者:その場合、手続きができないんですか?

弁護士:そのままでは手続きができません。
成年後見人」という制度を利用して、家庭裁判所に後見人を選んでもらう必要があります。これには時間とコストがかかりますし、後見人が選任されても、後見人は被後見人、この場合はお姉さんの利益を最優先しなければならないため、家族が望むような遺産分割に同意できないこともあります。

相談者:そんなに複雑になるんですね...
今のうちに何とかしておくべきでしょうか?

弁護士:はい。お母様自身も判断能力があるうちに対策を講じることが非常に重要です。
お母様に事情を話し、遺言書の作成、特に公正証書遺言であれば、形式的な不備の心配もなく、後々の紛争を防ぐことができます。

相談者:遺言書は弁護士さんに相談して作るほうがいいのでしょうか?

弁護士:はい、特にご状況のように複雑なケースでは紛争発生に備えて、弁護士のアドバイスが役立ちます。
またお母様の判断能力が低下する前に、任意後見契約を結んでおくことも選択肢の一つです。これはお母様の判断能力が低下した場合に、あらかじめお母様と契約をした方が財産管理などを行う制度です。

相談者:任意後見契約・・・知りませんでした。

弁護士:また、お父様名義の不動産についても相続手続を行っておいた方がいいでしょうね。

相談者:それはどうすればいいのでしょうか?

弁護士:こちらは、まずお姉様の判断能力がどの程度残されているのかについて、診断書などを取得して確認する必要がありますね。
またお母様や他の相続人の方の希望も確認する必要があります。
それを踏まえて対応していく必要があります。

相談者:難しそうですね。具体的に今から何をすればいいでしょうか?

相続リスク診断をお勧めします

弁護士:まずはお母様と一緒にご来所いただき、当事務所の「相続リスク診断」を受けられることをお勧めします。
これは、現在の状況を詳しく分析し、潜在的なリスクを洗い出すサービスです。

相談者:そういったサービスがあるんですね。わかりました。
母の判断能力がまだあるうちに、早めに対策したほうがよさそうですね。

弁護士:はい、早期の対応が非常に重要です。
今行動することで、将来の大きなトラブルや余計な費用負担を避けることができます。

相談者:まずは母にも事情を話して、改めて「相続リスク診断」をお願いしたいと思います。そこから具体的な対策を一緒に考えてもらいたいです。

弁護士:承知しました。お母様と皆様の状況をしっかり分析し、最適な対策をご提案させていただきます。

まとめ

今回はお父さんの相続手続が完了していない状態で、お母さんが亡くなってしまった場合の問題、相続人に認知症の方がいらっしゃる場合の相続リスクについてお話をしました。

当事務所の「相続リスク診断」では、具体的なリスクや考えられるトラブルを分析し、それを防ぐための対策を提案します。 早めの準備が家族の平和を守ります。 ぜひご相談ください。


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