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「自宅が亡くなった父親名義のままになっている?」知っておきたい相続リスク診断⑪

2025年06月30日

自宅の不動産は亡くなった人名義のままになってしまっている。
お話を伺うと、このようなケースは多くあります。

手続を行わず、放置をしてしまっていると、後になって解決が難しい問題が発生することがあります。
当事務所の「相続リスク診断」は、問題が起こる前に潜在的な危険を見つけて対策する予防サービスです。病気の早期発見と同じで、早めの対策がご家族の平和を守ります。

今回も架空のご相談者からの法律相談をベースにご紹介します。 ぜひご自身の状況と比べてみてください。

見えない相続の危険を見つける相続リスク診断

相談者 60代 女性

弁護士:本日はご相談にお越しいただき、ありがとうございます。
どのようなことでお悩みでしょうか?

相談者:母のことで相談に来ました。母は今85歳で、一人暮らしをしています。父は10年前に亡くなりました。

弁護士:そうなのですね。お母様の状態はいかがでしょうか。

相談者:最近物忘れが進んでいて、心配しています。
私が近所に住んでいるので、買い物や病院の付き添いなどをしています。

弁護士:なるほど。ご家族の構成はどのようになっていますか?

相談者:私を含めて4人きょうだいです。
一番上の姉はすでに認知症で施設に入所しています。残りの兄と姉は遠方に住んでいて、あまり母のことには関わっていません。

弁護士:わかりました。お父様が亡くなられた際の相続はどうされましたか?

相談者:私の方では特に何もしていません。父の財産はすべて母が相続するものだと思っていました。預金を母名義にする手続きはしましたが、自宅の土地建物の名義はそのままになっていると思います。

弁護士:不動産の名義がそのままというのは、お父様名義のままということでしょうか?

相談者:はい。父名義のままだと思います。
母は「名義変更は面倒だから」と言って、そのままにしていたので。

弁護士:それは気になる点ですね。他に気になることはありますか?

相談者:母が認知症になったらどうしよう、ということです。
最近は銀行も本人確認が厳しいので、母名義の預金からお金をおろせなくなるのではないかと思っています。また父名義のままの不動産も気になっています。

弁護士:なるほど。お母様は遺言書は書かれていますか?

相談者:いいえ。特に書いていないと思います。
母は「あなたたちで仲良く分けなさい」と言うだけです。

弁護士:ごきょうだいとの関係はいかがですか?

相談者:兄とは連絡を取っていますが、二番目の姉とは少し疎遠です。
最近は母の介護のことでたまに意見が合わないこともあります。

弁護士:承知しました。お話を伺った限りでは、いくつか潜在的な相続リスクがあるように思います。

相談者:そうなんですか?どのような問題があるのでしょうか?

この事例ではどこに問題があるでしょうか?

先に亡くなった方名義のままになっている不動産は、ご相談を受けている中でよく見かけます。
このこと自体、相続時に様々な問題が発生する可能性があります。

またそれ以外にもご相談者が気づいていない複数の相続トラブルのタネが多く隠されています。

次回は、問題点とその対策について詳しく見ていきましょう。