前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。
今回の相続トラブルのタネとは何でしょうか。
早速見ていきましょう。
相続人が多数になる場合の相続リスク
弁護士: 今回のケースでは、大きく分けて三つのリスク要因があります。
相談者: どのようなことでしょうか?
弁護士: まず、相続人が複数かつ複雑な状況にあることです。
お母さんが亡くなった場合、相続人はあなたとお兄さんとお姉さん2人、そして亡くなった長兄のお子さん3人、と計7名がいることになります。
相談者: 甥や姪も、母の相続人になるんですか?
弁護士: はい。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。
簡単に言うと、先に亡くなった方の子どもが、親の代わりに相続人となる制度です。長兄のお子さん3人で、長兄の相続分を分けることになります。
相談者: そうなんですか。彼らとは20年近く連絡も取れていないですし、母にも会いに来たことがないのに…
弁護士: また、2番目のお兄さんが行方不明であることもリスクの一つですね。ご存命であれば相続人になりますし、亡くなっていたとしても先ほどと同じような代襲相続の問題が発生します。
相談者: 次兄を探すところから始めないといけないですね。大変だ・・・
弁護士:最後に、お母様の意思が一番大事だということです。
あとでご説明しますが、遺言はその方の意思を、亡くなったあとも有効にする制度です。そのため、お母様本人が現状を理解し、そのために対策を取ることの重要性を理解していただくことが大切です。
相談者: 母もここまで事態が複雑になるとは思っていないですね。早速話をしてみます。
弁護士: お母様は高齢であるため、何かの拍子に急に判断能力が低下することがあります。例えば転倒・骨折して、入院した結果、判断能力がガクンと落ちてしまったということもあります。 その場合、遺言書の作成が難しくなりますから出来る限り急いだ方がいいでしょうね。
相談者: 私はどうすれば良いでしょうか?
弁護士: まず、お母様がお元気なうちに、「公正証書遺言」の作成について話し合うことをお勧めします。公証役場で作成する正式な遺言書で、形式不備による無効リスクが低く、紛失の心配もありません。
相談者: 早速母に提案してみます。ただ介護の負担に対する配慮はできるのでしょうか?
弁護士: 「寄与分(きよぶん)」という制度があります。
これは亡くなった方の財産維持や増加に特別に貢献した相続人に、通常の相続分に加えて受け取れる部分です。
介護の負担も考慮されることになっていますが、現状、裁判所での認定はとても厳しいというのが私の印象です。
そのため、お母様が望めば、遺言書において相続分に反映してもらうことが一番確実です。
相談者: 母が亡くなったあと、次兄や甥、姪に連絡をする場合はどうすれば?
弁護士: その場合、弁護士を通じて相続人の調査を行うことは可能です。
相談者: そうなんですね。私も母もどこか簡単に考えていました。
弁護士: 当事務所では「相続リスク診断」というサービスを提供しています。お母様にもお越しいただき、財産状況、ご家族関係を詳細に分析し、潜在的なリスクを洗い出します。
その上で、最適な対策プランをご提案します。
相談者: ぜひお願いしたいです。母が健在なうちに対策を取りたいです。
弁護士: そうですね。早めの準備が大切です。
まずはお母様とお話をいただいて、改めてご来所ください。
ご家族の平和を守るため、一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。
まとめ
相続には、判断能力の低下により対策が取れなくなるリスク、複雑な家族関係による混乱、行方不明者の存在など、様々な「見えない危険」が潜んでいます。
当事務所の「相続リスク診断」では、こうした具体的なリスクを分析し、それを防ぐための最適な対策を提案します。
早めの準備が家族の平和を守る鍵です。
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