「遺言書は自分で書けば十分」「公正証書なんて面倒だし費用もかかる」
こう考える方も多いのではないでしょうか?
実は自分で対策したつもりでも、後になって大きな問題が発生することが相続問題では多くあります。
当事務所の「相続リスク診断」は、問題が起こる前に潜在的な危険を見つけて対策する予防サービスです。病気の早期発見と同じで、早めの対策がご家族の平和を守ります。
「専門家に頼むほどのことはない」と考えている方の典型的な例を、架空のご相談者からの法律相談をベースに、ご紹介します。
ぜひご自身の状況と比べてみてください。
見えない相続の危険を見つける相続リスク診断
相談者 70代 男性 会社経営者
弁護士: 本日はご相談いただきありがとうございます。相続に関してどのようなことが気になっていらっしゃいますか?
相談者: 私は自分で会社を経営しているのですが、最近は年齢のこともあり、相続について考えるようになりました。
自筆証書遺言は準備しようと思っているのですが、公正証書遺言まで必要があるのかどうか相談したいと思いました。
弁護士: なるほど。では、まずご家族構成を教えていただけますか?
相談者: 妻と子どもが3人います。
長男は私の会社で働いていて、次男と長女は別の道に進みました。会社は長男に継がせたいと考えています。
弁護士: ありがとうございます。お持ちの財産について、簡単に教えていただけますか?
相談者: 自宅と預貯金や有価証券があります。
それに自分の会社の株式がありますね。不動産は最近土地が値上がりしていることもあり、いい評価額になると思います。
弁護士: 遺言書についてはどのようにお考えですか?
相談者: インターネットで調べましたが、自分で書いた遺言書でも要件を満たせば十分効力があると書いてありました。
公正証書遺言は手続きが面倒ですし、費用もかかります。それに内容も第三者に知られてしまうと聞いたので、自筆証書遺言で十分だと思っているんです。
弁護士: ご自身でもかなり調べられているんですね。
お子さん同士の関係はいかがですか?
相談者: まあ、普通ですね。
ただ、長男に会社を継がせることについては、次男と長女は少し不満があるようです。「公平に分けるべきだ」と言っていますね。でも私としては、長男が会社を守り発展させていくことが一番大事だと思っています。
弁護士: 財産の分け方について、具体的なイメージはありますか?
相談者: 会社の株式は長男に、残りの財産は3人に公平に分けるつもりです。ただ不動産はできれば分割せずに済む方法がないかと考えています。
あまり複雑にならないようにしたいんです。専門家に頼むと、余計な費用がかかりますからね。
弁護士: なるほど。現時点で自筆証書遺言の下書きはされていますか?
相談者: はい、エンディングノートに書いています。「会社の株式は長男に相続させる。その他の財産は3人で平等に分ける」という感じで簡潔に書いています。これで十分だと思うのですが、いかがでしょうか?
弁護士: お話を伺う限り、いくつか気になる点があります。
特に自筆証書遺言には見えないリスクがあること、そして将来的に大きな問題になる可能性がある点を、これからお伝えしますね。
この事例ではどこに問題があるでしょうか?
自筆証書遺言と公正証書遺言。二つを比べると、自分で書けるほうが良いのではないかと考える方も多くいらっしゃいます。
ただそこにはどうしてもリスクも存在しています。
今回もご相談者が気づいていない複数の相続トラブルのタネが多く隠されています。
どんな問題点があるか、どのような対応が必要になるでしょうか。
次回詳しく見ていきます。