高齢のご両親の通帳を預かっているという方、多いのではないでしょうか。
このような「善意」の行動が将来の相続トラブルにつながってしまうことがあります
当事務所の「相続リスク診断」は、問題が起こる前に潜在的な危険を見つけて対策する予防サービスです。
病気の早期発見と同じで、早めの対策がご家族を平和を守ります。
今回も架空のご相談者からの法律相談をベースに、通帳の管理に潜むリスクと対策をご紹介します。
ぜひご自身やご家族の状況と比べてみてください。
見えない相続の危険を見つける相続リスク診断
相談者 60代 女性
弁護士: こんにちは。本日はご相談いただきありがとうございます。
相続についてのご心配があるとのことですが、まずはご状況を詳しくお聞かせいただけますか?
相談者: はい、父のことがちょっと気になって相談に来ました。
父は今80代で、私の近所に住んでいます。母はもう10年前に亡くなっています。
弁護士: そうですか。お父様のことを心配されているのですね。
お父様はお一人で暮らしているということですね。
相談者:はい。ヘルパーさんに来てもらったり、私の方で家事の手伝いをして一人で暮らしています。
弁護士:ご家族構成はどのようになっていますか?
相談者: 私と2歳年上の兄、それから5歳年下の妹がいるんですが、妹とは10年以上連絡を取っておらず、今どこに住んでいるのかも分かりません。
弁護士: なるほど。お父様は80代ということですが、お金の管理などはどうされていますか?
相談者:父から頼まれて、私が預貯金の管理をしています。
父から通帳とキャッシュカードを預かって、必要な時にお金をおろして渡しています。またヘルパーさんなどの費用は口座から引き落とされるようにしています。
弁護士: 具体的にはどのような形で管理されていますか?
相談者: 父から「お金が必要だ」と言われたら、私がATMに行ってお金をおろして渡しています。ときには1回で20万円ほど下ろすこともあります。
正直、父がそのお金を何に使っているのかはよく分かりません。
弁護士: なるほど。お父様からあなたや他のご家族へのお金の流れはありますか?
相談者: はい、父は私や兄の子供たちにお小遣いをあげることもありますし、一緒に外食した時は父がお金を出してくれることが多いです。
弁護士: お父様のお体の状態はいかがですか?
相談者: 最近、認知症らしき症状が出てきているような気もします。
でも、会話はしっかりできますし、話も通じるので年相応の物忘れかもしれないと思っています。
弁護士: お父様は遺言書などは作成されていますか?
相談者: 父は遺言書は書いていないと思います。
ただこの前、何かの折に私と兄に財産を相続させたいと言っていました。妹のことは全く触れません。
弁護士: ご兄弟との関係はいかがですか?
相談者: 兄とは基本的に仲は良いのですが、父の預貯金の管理のことで一度だけ口論になり、少し関係が険悪になったことがあります。
兄は「自分も管理に関わりたい」と言っていたんです。
弁護士: なるほど。
お話を伺いましたが、どのようなことがご不安でしょうか。
相談者: 正直なところ、私自身は相続トラブルに巻き込まれることはないと思っています。
兄とも基本的には仲が良いので大丈夫だと思いますし、妹は10年以上も父とも音信不通ですから、まさか相続の時だけ出てくるということはないと思います。
ただ、もしもの時に備えてやっておいた方がいいことを教えてもらいたいと思ってきました。
この事例ではどこに問題があるでしょうか?
ご高齢の両親のお金を、子どもが管理をしてあげている、というご家庭は多いのではないでしょうか。
この相談者の方は、自分自身では相続トラブルは起きないと考えています。
でも今回もご相談者が気づいていない複数の相続の危険が隠れています。
どんな問題点があるか、それに対してどのような対応が必要かについて、次回詳しく見ていきます。