Column

「これって大丈夫?」知っておきたい相続リスク診断②

2025年06月09日

前回、架空のご相談者との法律相談を見ていただきました。
相談者が気づいていない複数の相続トラブルのタネが隠れています。

どんな問題点があるか見ていきましょう。

相続には見えない危険が隠されている

弁護士: お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
いくつか気になる点がありますので、お伝えします。

相談者: 問題があるんですか?

弁護士: 相続には「見えない危険」がいくつかあります。
まず、奥様が認知症であることは相続手続きの際に大きな問題となりえます。

相談者: どういうことですか?

相続人の中に認知症の方がいる場合

弁護士: もしあなたが先に亡くなった場合、法律では奥様と長男さん、長女さんが遺産を受け取る権利を持ちます。

誰が何を受け取るか、という点については遺産分割協議を行って決めることになりますが、奥様が重度の認知症の場合、話し合いができません。
その場合、「成年後見人」などを家庭裁判所に選んでもらう必要があり、手続きが複雑になってしまいます。

相談者: そんな難しいことになるとは思いませんでした…。

弁護士: また、成年後見人は奥様のためにしっかり財産を確保する義務があります。これが家族の希望とは異なる結果を生むことがあります。

相談者: なるほど・・・

自宅の不動産の価値が高い場合には注意が必要

弁護士: もう一つ気になるのは、ご自宅の価値が預金の2倍以上あるということです。
長男さん家族と一緒に住んでいるので、長男さんは「自分が住み続ける」「自分が自宅を相続する」と考えるのも自然ですが、いかがでしょうか?

相談者: 当然そう思っていると思います。

弁護士: 奥様と長女さんにもそれぞれ権利があります。
特に長女さんからすると「私の取り分はどうなるの?」という疑問が出てくるかもしれません。

相談者: 長女とはそういう話はしたことがないですね…。

弁護士: また実は長女さんと長男さんの関係があまり良くない可能性もあります。相続が始まると、今までの積もり積もった感情のもつれが出てくることも多いんです。

相談者: ・・・実は最近、長女がうちに来なくなったんです。
何か長男とあったのかもしれませんね。

弁護士: さらに長男さんやそのご家族が、あなたの介護などを行った場合、その苦労に対して、遺産を分ける時に反映させるかを検討する必要があります。

相談者: 長男は妻の面倒も見てくれていましたし、今も私の生活を助けてくれています。それも考えるべきなんですね。

弁護士: ただ、面倒を見た、介護をしたということは当然には遺産分割の時に反映されません。
話し合いがこじれて調停などになってしまった場合、全く考慮されない、ということも、ざらにあります。

相談者:そうなんですか?!

弁護士:このような場合、遺言書を書くことが役立ちます。
あなたの希望をはっきりさせて、お子様同士のもめごとを防ぐことができます。特に今回のように遺産に偏りがある場合や、相続人となる方に認知症の方がいる場合は、事前の準備がとても大切です。

相談者: 遺言書があれば、問題は解決するんですか?

弁護士: すべての問題が解決するわけではありませんが、大きな危険は減らせます。例えば、自宅を長男さんに相続させる意思がはっきりします。
ただし「遺留分」の問題は残りますから、長女さんへの配慮も必要です。

相談者: 初めて聞く言葉ばかりで難しいですね・・・

相続リスク診断をお勧めします

弁護士: そうですね。だからこそ、早めに弁護士に相談をすることが大切です。当事務所では「相続リスク診断」というサービスを行っています。

ご家族の状況や財産から、どんな相続トラブルのリスクがあるかを詳しく調べて、最適な対策を提案します。
今日お話を聞いただけでも、いくつかの危険が見えてきました。

相談者: そうですね、自分では気づかなかったことばかりです。長男が言っていた通り、一度相談に来て良かったです。

弁護士: あなたの思いをきちんとカタチにして、残されるご家族がもめないように、一緒に考えていきましょう。

相談者: ぜひお願いします。詳しい相続リスクの診断をしてもらいたいですし、対策にも力を貸してください。

まとめ

相続の隠れた危険をご紹介しました。
特に今回挙げたものは、ご相談の中でよく出てきますし、深刻なトラブルの原因になります。

当事務所の「相続リスク診断」では、具体的なリスクや考えられるトラブルを分析し、それを防ぐための対策を提案します。

早めの準備が家族の平和を守ります。
ぜひご相談ください。

相続・遺産分割について、初回90分無料相談を実施しております。お気軽にご相談ください!