このコラムでも何回か取り上げてきましたが、相続のご相談をいただく際に、「使途不明金問題」についてもご相談をいただくことが増えています。
そこで今回から改めて、相続時の使途不明金問題について取り上げていきます。
まず、相続時の使途不明金については、法律上の用語ではないので、明確な定義はありません。
一般的には、「被相続人の預貯金について、生前に行われた、理由が分からない引き出し・送金」を指すことが多いかと思われます。
例えば、次のようなケースです。
Aさんが亡くなったあと、Aさんの相続人BさんがAさんの預金通帳を確認しました。すると、Aさんが亡くなる数年前から、口座から毎月100万円近く下ろされており、最終的にはAさんの預金は0円になってしまっていました。
そして、Aさんの通帳とキャッシュカードは、同居していた相続人Cさんが管理を行っており、通帳とキャッシュカードを預かった時期から引き出しが始まっている、というような場合です。
この時、Aさんが亡くなる数年前から引き出されたお金について、Bさんから見れば、「使途不明金」ということができます。
このような場合、BさんはCさんに対して説明を求めると思われますが、この時にCさんから納得できる説明がないと、トラブルが生じてしまうこともあります。
他方で、CさんとしてはAさんのために使っていたのに、Bさんから「使い込みをした」かのような扱いを受けたことで、トラブルが生じてしまうこともあります。
遺産分割においては、本来は被相続人が亡くなった時点での財産を対象にして協議が行われます。
しかし、「生前の預貯金の使い途」を巡って、相続人間でトラブルが起きてしまうことが多々あります。
特に被相続人の方が認知症を患っており、お金の管理ができない状態であったという場合には、問題はより大きくなります。
この使途不明金の問題が解決できないと、遺産分割協議に進めないことも多くあります。
そのため、使途不明金問題が生じそうな場合には、なるべく早く弁護士にご相談いただき、対応を検討することをお勧めします。
相続・遺産分割・後見・労災・離婚について、初回無料相談を実施しております。ZOOM相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください!
お問い合わせは、こちらから