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保佐・補助について

2015年03月01日

保佐、補助制度については、ご存知でしょうか。
法定後見制度は成年後見(未成年後見)だけでなく、保佐、補助といったように本人の判断能力に応じて、適切なサポートが出来るように複数の制度が用意されています。

まず、保佐制度の概要について見ていきましょう。保佐人には重要な財産行為についての、同意権が与えられています。これは、一定の重要な財産上の行為(不動産の売買や、借財や保証行為など)を被保佐人が行うには、保佐人の同意が必要とされており、その同意を得ない場合には保佐人による取り消しが可能ということを意味しています。

また、保佐人には必要に応じて特定の法律行為について代理権を授与されることもあります(代理権を授与すること自体に、本人からの同意が必要です)。この場合でも、成年後見人のような包括的な代理権は認められていません。

このように保佐制度は自らも一定の法律行為は出来る一方で、重要な財産行為を行う場合には保佐人によるサポートを必要とする方に適した制度と言えます。

次に、補助制度の概要について見ていきましょう。
そもそも補助開始の審判の申立てのためには、本人の同意が必要です。また、被補助人は被保佐人よりも判断能力があるとされているので、本人が出来る行為が多いとされています。

そのため、補助人に同意権を付与するには別途審判の申立てが必要ですし、その範囲も重要な財産行為の一部に限定されており、保佐人に与えられる同意権よりは限定されています。また、代理権も特定の法律行為についてのみ与えられ、成年後見人のような包括的な代理権は認められていません。

このような保佐、補助制度ですが、利用数は平成25年12月の時点で、保佐制度の利用者は約2万2000人、補助制度の利用者は約8000人と、成年後見制度の利用者約14万人と比べると著しく低くなっています(最高裁判所 家庭局公表の資料より)。その理由は不明ですが、介護などの現場において「保佐、補助制度を利用しても何もできない」という誤った認識のもとに、そもそも利用をしないという声も聞きました。

しかし、保佐人、補助人は本人の能力に応じたサポートが可能です。
私自身も家庭裁判所から補助人として選任され、活動していますが、本人自身が法律行為をできる一方で、重要な行為については補助人と協議をしながら行っていくというように、本人の能力を活かしながらサポートが出来る場面も多いと感じています。

この保佐・補助制度の利用も広がっても良いのではないかと、個人的には考えています。