遺言作成のご相談・ご依頼を受ける中で、このようなご質問を受けることもあります。
遺留分は、配偶者・子・直系尊属(親)に保障された遺産に対する一定割合の取り分、と考えていただければわかりやすいかと思います。
これは、その人の法定相続分の2分の1(直系尊属のみが法定相続人の場合には3分の1)とされています。
例えば法定相続人が子ども3人、そのうちの一人に遺言で全て遺産を相続させた場合を見てみます。
この場合、遺産をもらえなかった他の子どもから、相続を受けた子どもに対して、自分の遺留分相当額を金銭で払ってほしい、という請求をすることが可能です(これを遺留分侵害額請求といいます。民法1046条 参照)。
このような場合に備えて、遺留分侵害額請求をさせない方法について聞かれることもありますが、結論から言えば、相続人の意思に反してそのような対応を取ることは、ほぼ不可能だと考えられます。
例えば、相続の開始前に遺留分を放棄する(民法1049条)という制度もありますが、これは遺留分を有する方が家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所から許可を受けることが必要です。
そのため、推定相続人自身が拒否をすれば実現することはできません。
また相続人の欠格事由に該当した場合や推定相続人の廃除が認められた場合には、その方は相続人ではなくなりますので、遺留分自体が認められなくなります。
もっとも、欠格事由は極めて例外的な事情に限定されています。また廃除については、家庭裁判所が厳格にその事由の有無を判断するとされていることから、一般的に認められるものではないと言えます。
そのため遺留分侵害額請求をさせない、ことは困難ということが言えます。
他方で遺留分侵害額請求を行うかどうかは、その相続人に委ねられます。
そのため、遺留分を侵害するような内容の遺言を作成する場合には、その理由を「付言事項」という形で遺言で残しておき、理解を求めるといったことが考えられます。
いずれにしても、どのような遺言を作るかは、ご本人の自由に委ねられています。もっとも遺留分という制度がある以上、どのように対応するかは検討しておく必要があります。
以上から、遺言を作成する時には弁護士に相談することをお勧めします。
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