うちの家族は仲がいいから遺言なんて必要ない
本当にそうでしょうか?
よくある相続の困りごとの一例を見てみましょう。
Aさんは、自分に万が一のことがあったら「全部の財産を妻であるBさんに。」考えていました。
お二人の間のお子さん(Cさん、Dさん)もAさんと同じ考えでした。
ある日、Aさんが亡くなり、実家に集まったCさんとDさんは、Bさんに「お父さんの遺産は、全部お母さんのこれからの生活に役立てて。」と言いました。
そこで、Bさんは、相続の手続のために銀行を訪れました。
すると担当の方から「この書類にご相続人全員の署名と実印で押印してもらって、印鑑証明書も提出してください。」と言われました。
Bさんは、「うちは仲がいいし問題もないのに、こんなにたくさん書類がいるの?」と驚きました。
「Cさんは近くに住んでいるけど、夫のご両親の介護やまだまだ手のかかるお子様達のお世話に忙しそう。
「Dさんも海外赴任中で、お正月とお盆しか日本に帰れないのに、私のためにすぐに書類を準備してなんて言えないわ。」
「でも夫の口座は凍結されてしまっているから、私の貯金と年金だけでいつまで生活できるかしら・・・。」
と途方に暮れてしまいました。
ご家族が亡くなると、親戚や親しかった方への連絡、葬儀やお墓の手配、健康保険や年金の手続きなどしなければならないことは山ほどあります。
Bさんのように、落ち着いたころに相続の手続きを始めてみたら相続人全員の協力が必要なことが分かったけれど、次に家族が集まれるのは、いつになるかわからない、ということはよくあることです。
仮にこのケースでAさんが、全部の遺産をBさんに引き継いでもらう、手続きは全てBさんに任せるというような公正証書遺言を作っていれば、Bさんだけで相続手続をすることができます。
もちろん、その手続は弁護士に任せるという遺言にすることもできます。
仲が良い家族だからこそ、遺されたご家族の負担を軽くしてあげたいという気持ちを持たれる方もいらっしゃると思います。
このような思いを実現するためにも遺言は、有効な方法なのです。