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Q&A

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よくあるご質問

私は病気の影響で字が書けないので、私のメッセージを自分でビデオで録画して、それを遺言として残そうと思います。このようなものも法律上の遺言として有効でしょうか?

 遺言は民法の定める方式に基づいて行わなければならないとされているので(民法960条参照)、録画や録音によるメッセージがあったとしても、それは法律上の遺言としては無効です。
 字が書けない場合であっても、公正証書遺言を作成することは可能ですので、公正証書遺言の作成をお勧めします。

私の父は高齢で、認知症の疑いもあります。この場合には、遺言は作成できないのでしょうか?

 遺言は15歳以上で、遺言作成時に遺言能力を有していれば作成することができます(民法961条、963条)。
 そのため、認知症の疑いがあれば、絶対に遺言作成が出来ないというわけではないと考えられますが、意思能力がすでに失われているような状態では、遺言を作成することはできないと考えられます(そのような状態で作成された遺言については、後で無効と主張され、争いが生じる可能性もあります)。

 ですので、まずは医師の診断を仰ぎ、遺言を作成できるだけの意思能力が残されているかどうか、を確認する必要があります。

遺言を作らなくてはと思っていますが、作った後で誰にどの財産を相続させるのか、気持ちも変わるかもしれません。その場合にはどうしたら良いのでしょうか?

 遺言者は遺言を作成した後でも、遺言の方式に従って撤回をすることが出来ます(民法1022条)。
 また、新たに作成した遺言が前の遺言と抵触する時には、抵触した部分については後の遺言で撤回したものとみなされます(民法1023条)。 
 そのため、気が変わった場合には、新たな遺言を作成して、前の遺言の内容を撤回することが可能です。

私の母が公正証書遺言を作成したいと言っているのですが、足腰が弱っており公証役場まで行くことが困難です。この場合、公正証書遺言を作ることはできるのでしょうか?

 公証役場まで行くことが出来ない理由がある場合、公証人にお母さんがいるところまで出張してもらって、公正証書遺言を作成することは可能です。
ただし、この場合には通常よりも手数料がかかることになり、また出張日当や交通費がかかることになります(具体的な費用については、お近くの公証役場にお問い合わせください)

 なお、当事務所では高齢で外出が困難な方に対しては、ご自宅などへのの出張法律相談も実施しております。
 お気軽にお問い合わせください。

父が認知症になった場合に備えて、父と任意後見契約を結ぼうと思っています。任意後見人には、誰でもなれるのでしょうか?

 任意後見契約は、ご本人と後見人候補者との間の契約で行われますが、任意後見人候補者には特別な資格は法律上要求されていません。また、法人も任意後見人になることもできます。

 ただ、任意後見受任者(任意後見人の候補者)が次の事由に該当する場合には、任意後見監督人が選任されないので、任意後見契約の効力が生じません。
 ですので、候補者が次の事由に当たるかどうかについては、確認する必要があります(任意後見契約に関する法律4条1項3号、民法847条)。
 ①未成年者
 ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
 ③破産者
 ④本人に対して訴訟をし、またはした者およびその配偶者ならびに直系血族
 ⑤行方の知れない者、
 ⑥不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

 いずれにしても、本人の財産を長期間にわたり管理することが予定されているので、任意後見人を誰にするかについては慎重に検討してください。

身寄りがない人でも、成年後見制度を利用することはできるのでしょうか?

 成年後見人などは、ご本人の親族ではない第三者が就任することもできるので、身寄りがいない方でも利用することは可能です。

 その場合、ご本人に判断能力(意思能力)がある時には、ご本人自らが申立人となって、家庭裁判所に申し立てを行うことが考えられます。
 ご本人が高齢で判断能力(意思能力)がなく、申立をすることが出来ない場合には、市町村長による申立てが考えられます(老人福祉法第32条など参照)。

父の判断能力が衰えてきたので、成年後見制度を利用しようと思っています。ですが、父自身が成年後見制度の利用について、反対しているのですが、このような場合でも成年後見制度を利用することはできますか?

 成年後見開始の審判申立には、成年被後見人となるべき人の同意は必要とされていません。保佐開始の審判申立についても同様です。
 他方で補助開始の審判申立については、本人の同意が必要とされており(民法15条2項)、また保佐人に代理権を付与する審判を行うには、本人の同意が必要とされています(民法876条の4 第2項)。

 そのため、お父さんについて成年後見制度の利用が必要であれば、お父さんの判断能力の程度によっては、本人の同意がなくても、制度自体は利用できる可能性があります。
 もっとも、本人自身の意思を尊重する必要もありますし、また本人が成年後見制度についてよく知らなかったり、誤解をしている場合がありえますので、まずは本人と話し合いを行い、必要に応じて弁護士から制度について説明を受けるなどして、本人の理解を求めることも重要です。

高齢者虐待の防止のために、成年後見制度はどのように活用できるのでしょうか?

 高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止法)は、高齢者虐待の通常などがあった場合、市町村長は養護者による虐待の防止および高齢者の保護を図るために、市町村長による成年後見等開始審判の申し立て(老人福祉法32条参照)を行う、としています(高齢者虐待防止法9条2項)。
 また、国および地方公共団体に対して、高齢者虐待の防止などの目的のため、成年後見制度の利用促進の措置を講じ、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないと定めています(高齢者虐待防止法28条)。

 そのため、高齢者虐待の防止の観点から、成年後見制度を利用することは有用と考えられます。
 例えば、経済的虐待を受けている高齢者に対して、成年後見人が選任されれば、適切に財産が管理されることにより、高齢者本人の介護や医療に必要な資産を確保出来ることが考えられます。
 また、介護放棄などを受けている高齢者に対しては、成年後見人が本人を代理して介護保険サービスを利用し、高齢者本人に適切な介護サービスが提供される、ということも考えられます。

成年後見人に選任されているのですが、成年被後見人について手術の必要があるかもしれないとのことです。  この場合、成年後見人である私が手術に対する同意をすることはできますか?

 成年後見人が行う身上監護については、身上監護に関する法律行為を行うこととされており、被後見人の身体に対する侵襲を伴うような行為についての同意は出来ないとされています。
 そのため、成年後見人が被後見人に対する手術について、同意をすることは出来ないと解されます(実務上も、問題が多いところなので、立法などによる解決が待たれるところです)。
 また、生命維持装置などの取り外しについても、同意が出来ないと解されています。

母が認知症と診断されました。主治医の先生からは、「補助相当」と言われています。補助開始の審判の申立てをしようと思いますが、気をつけることはありますか?

 精神上の障害により、事理弁識能力が不十分である人について、家庭裁判所は申し立てに基づいて補助開始審判をすることができます(民法15条)。
 まず、被補助人(本人)以外の申立権者からの申立ての場合には、補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。
 そのため、申立ての時点において、本人と協議をした上で、予め同意をとっておくべきでしょう。
 また、補助開始の審判は同意を要する行為を定める審判または代理権を付与する審判と同時にしなくてはならないとされています。
もっとも、この同意権は民法13条1項に定める行為の一部に限定され、また代理権も、包括的な代理権は認められず、個別具体的に定められます。
 そのため、同意権、代理権の範囲についても、予め本人と協議をしておくことも必要と考えられます。

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